ワンランク上の商品が選ばれる営業術~一点豪華主義の提案で顧客のやる気スイッチを入れる

ワンランク上の商品が選ばれる営業術

高いものは売りづらい。そう考え、つい普及価格帯の商品を勧めてしまうリフォーム営業マンは多い。だが、顧客ニーズに真に合うのは、機能やデザインがより優れた中・高級価格帯の商品かもしれない。顧客満足度を高め、自社の利益を確保するために、よりグレードの高い提案を行うことが求められている。そこで必要となってくるのが、商品知識やヒアリング・プレゼン力など様々なスキルやノウハウだ。高付加価値商品の販売を得意とする、各社の営業担当者4名にその秘訣を伝授してもらった。



一点豪華主義の提案で顧客のやる気スイッチを入れる

何か1つにコストをかけるだけで空間全体の魅力は増し、顧客のやる気や満足度は高まる。だからこそ、その顧客にとっての価値のある商品であれば、金額は気にせずに強い気持ちでお勧めポイントを伝える。そう語るキタセツのデザインチームリーダー、中村香織さんに、メリハリある提案術について聞いた。



価値ある提案だと自信を持ってプレゼン

自社ホームページからの問い合わせが多いキタセツ。初回は会社1階のサロンで顧客と面談し、要望などを聞いて現調に伺う。水回りで特に指定がなければ、中村さんはまず、スタンダードな商品で見積もりを出す。そこで気になるメーカーまで絞り込んだら、メーカーショールームへ一緒に赴く。

例えばLIXILの場合、シエラで見積書を出しているが、「ここの売りってセラミック天板なんですよ。ちょっと見てみます?」などと言って他の商品も見てもらう。するとリシェルSIやアレスタがいいとなることも多い。「他にわかりやすいのが水栓金具。全く考えていなかった方がタッチレス水栓を体験すると、ほぼ100%採用されます」。見る、体験するというのは大きな転換を促すのだ。

スペックを上げる提案で大切なのが、「自分だったら買えない」という感覚を持たないこと。「高くてもそれがベーシックな質のいいもので、気に入って長く使えば元を取れます。なんでもスペックを上げようとするのは自己満足だけど、きちんと緩急をつけ、顧客にとって価値のある一点豪華主義の提案はいいことだと思うんです」。

「これを手に入れるとこんな生活が待っていますよ」と自信満々で言い切ること。これがプレゼンのコツだ。最近、「やる気に火がつき家中をリフォームした例」の事例の施主に「最終的に家電も全部買い替えちゃった!」とわくわくした様子で報告されたという。こうなれば大成功だ。



やる気に火がつき家中をリフォームした例

魅せるキッチンが起点となり憧れを次々と叶えていった

キッチンリフォームの依頼で、スタイリッシュなステンレスキッチンを思い切ってリビング側に見せることを提案。すると施主のやる気に火がつき、洗面室、子供室、暖炉付きリビングのリフォームに発展。予算300万円が最終700万円に着地した。



2つの建具で空間を演出した例

建具にコストをかけると空間にメリハリがつく

フレンチシックにまとめたリフォームの主役に、インナーテラスの引き戸と、玄関ホールの親子ドアを据えた事例。使用したのはパナソニックの「VERITIS CRAFT LABEL(ベリティスクラフトレーベル)」。



《中村さん流提案術》
恐る恐る提案すると、顧客もそれを感じ取り決まりません。「高い」という自分の感覚は横に置いて、自信を持って提案します。

全体のバランスを見て根拠ある提案を

リフォームもファッションと一緒と考える中村さん。全部フルブランドにする必要はない。「ストールなど一番顔の近くで肌に触れるものにコストをかけて、ユニクロなどのお求めやすいシャツに合わせると全体が決まりますよね。リフォームも同じです」とたとえ話をし、空間を引き立てるためにここはコストをかけたいと顧客に話すと納得してもらいやすいという。

中・高級品を提案する場合、費用や別商品との性能の差などを聞かれたら、間髪入れずに根拠を示して答えられることも大切。信用を得るために、念入りな下調べは必須だ。



《中村さんが考える中・高級品提案への近道》
機能重視かデザイン重視かタイプを見極めて接客

顧客は大きく「機能重視」と「デザイン重視」の2つに分かれる。中村さんは相手をよく観察して、タイプによって話し方を変えながら顧客の夢を膨らましていく。

例えば、手入れがわずらわしいという人は機能重視タイプ。スペックを伝え、リフォームするとこんな家事楽の夢の世界が待っていますよと話す。デザイン重視タイプだったら、しつらえやデコレーションの素敵さを話し、おしゃれな家への憧れを膨らませてもらう。



お話をうかがったのは…

キタセツ(東京都大田区)デザインチーム リーダー 中村香織さん

リフォーム関連の会社で働いていた時にキタセツに出会い、社員の仲が良くいい会社だと感じていた。2014年に入社し、現在、デザインチームのリーダーとして活躍中。二級建築士、カラーコーディネーター、住空間収納プランナーの資格を持つ。キッチンのプランニングが得意。



リフォマガ2022年7月号掲載



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