ワンランク上の商品が選ばれる営業術
高いものは売りづらい。そう考え、つい普及価格帯の商品を勧めてしまうリフォーム営業マンは多い。だが、顧客ニーズに真に合うのは、機能やデザインがより優れた中・高級価格帯の商品かもしれない。顧客満足度を高め、自社の利益を確保するために、よりグレードの高い提案を行うことが求められている。そこで必要となってくるのが、商品知識やヒアリング・プレゼン力など様々なスキルやノウハウだ。高付加価値商品の販売を得意とする、各社の営業担当者4名にその秘訣を伝授してもらった。
さりげない後押しによって7割強の施主がグレードアップ
担当案件の7〜8割の顧客が中・高級価格帯の商品を選ぶというのが、水回りリフォーム専門店「リフォーる」吹田店の脇本佳澄店長だ。その神髄は、顧客の心をくすぐるポイントを押さえた、さりげない後押し術にある。
客観的なリアリティある意見が最後の決め手に
CONY JAPANの水回りリフォーム専門店「リフォーる」は、大量仕入れによる設備機器の安さが売りで、最大70%強の割引率を明示したチラシによる反響営業を主としている。
そのため、「チラシの10万円台のキッチンで、一番安く見積もってほしい」という顧客も多いという。そんな時、脇本店長は指名のキッチンですぐに見積もりを出す。そこで一言、「せっかく新しい設備を入れるのだから、一度実物をショールームに見に来てみませんか」と誘う。
脇本店長が所属するリフォーる吹田店には、キッチン4台、バス2台、洗面台4台、トイレ5台が並ぶ。商品はメーカーをバランスよく取り混ぜつつ、各グレードのものを展示しており、訪れた顧客は様々なグレードの商品を自然と見ることになる。そして、チラシの10万円台の商品と60〜70万円台のハイグレードの商品を比較して見て、「ここまではできないけど中間のグレードにしようか」などと言い始める。
脇本店長はあえてグレードアップに誘うことはしないが、顧客はプロの営業の後押しを求めていると感じるという。
自身の強みは常に生の声に接していること。ネットには「特定の個人」の「購入直後」の意見が多数出ているが、長期間使用した人の意見はほとんどない。「これは長く使っているとこうですよ」とアドバイスしたり、多くの人の意見を集約した客観的な評価を伝える。人気の商品を聞かれれば、「先月はこの商品を一番工事しました」と具体的に示すこともできる。
タイミング良く、ほど良くアドバイスをしながら、あくまでも顧客を主体に。心地良いアシストによって、最終的には7〜8割の顧客がグレードアップする。そして納品後に、「勧めてもらったのにして良かった」と喜んでくれるのが、脇本店長のモチベーションになっている。
お買い得商品が並ぶチラシの反響営業から始まる逆転劇
チラシの表には、金額を抑えた目玉商品が並ぶ。中・高級商品は裏面に小さく掲載されており、このチラシで指名してくる人は少ない。だが、ショールームで実物を見せることで逆転劇が始まる。
体系的に設備機器を見てもらえるショールーム
リフォーる店舗の中では比較的小さいほうだという吹田店のショールームだが、各社の商品の特徴を知り、グレードによる違いを見比べるには十分の機能を備える。見積もり後、ここに来店してもらうことが鍵になる。
《脇本さん流提案術》
いい商品は機能面が総合的に優れているけど、「この顧客だからこそ!」というピンポイントの提案が刺さりやすいです
例えば、同じシステムキッチンでも…
1. 収納力をアピール
「1、2人暮らしならあちらでもいいけど、〇〇さんは5人家族なのでこちらのほうがいいかもしれません」
2. お手入れのしやすさをアピール
「2人暮らしだから、食器を手洗いで済まされることが多いですよね。それだと汚れにくいシンクのこちらがおすすめです」
《脇本さんが考える中・高級品提案への近道》
現場を見ることで生きた知識を得るべし
現場数や知識量が足りない1~2年目の頃に、脇本さんが心掛けていたのが、先輩の現場を見に行くことだ。
カタログの情報を暗記し情報を列挙して提案するよりも、「昨日この商品を現場で見たんですけど、むちゃくちゃカッコよかったんです」と抽象的でも本音を言うことによって、顧客の心が動いたという。
「新人だからこそできた方法かもしれません(苦笑)」。
実際に納品された商品を見ることで、得られる知識も格段に増える。
お話をうかがったのは…
CONY JAPAN(本社 大阪府大阪市)リフォーる吹田店店長 脇本佳澄さん
2018年4月にCONY JAPANに新卒入社し、水回りリフォーム専門店「リフォーる」の営業に配属される。2021年2月店長に抜擢され、現在、店長歴1年強の入社5年目。営業として信頼されることを大切にし、後輩指導でも、人間性の部分で誤りがないよう特に気を配る。
リフォマガ2022年7月号掲載
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