ワンランク上の商品が選ばれる営業術~オーダーキッチンのショールーム開設でキッチンの平均単価が2倍に!

ワンランク上の商品が選ばれる営業術

高いものは売りづらい。そう考え、つい普及価格帯の商品を勧めてしまうリフォーム営業マンは多い。だが、顧客ニーズに真に合うのは、機能やデザインがより優れた中・高級価格帯の商品かもしれない。顧客満足度を高め、自社の利益を確保するために、よりグレードの高い提案を行うことが求められている。そこで必要となってくるのが、商品知識やヒアリング・プレゼン力など様々なスキルやノウハウだ。高付加価値商品の販売を得意とする、各社の営業担当者4名にその秘訣を伝授してもらった。



オーダーキッチンのショールーム開設でキッチンの平均単価が2倍に!

オーダーキッチンとはなんぞや、というのをショールームで体感してもらい、キッチンをインテリアと捉えてLDK全体のリフォームに誘うという形をとるのが、大塚工務店の大塚健矢専務だ。ライフプランニングと結び付けて付加価値のある提案を行うなど、その手法には学ぶところが多い。



LDK空間全体を提案するキッチンショールーム

宮大工を抱える、昔ながらの工務店の大塚工務店。その三代目として、新たな取り組みをはじめたのが大塚健矢専務だ。「アメリカ留学時代、現地の友人たちがキッチンをインテリアと捉え、LDK空間全体のつながりを考え抜いているのが衝撃的でした。それで、既製品の組み合わせに留まらないオーダーキッチンをやりたいと思ったのです」。

3年前、大きな公園が目の前という好立地に、3台のオーダーキッチンを備えるショールーム「STUDIO OR」をつくった。ここで料理人による料理教室や食育イベントなどを開催し、オーダーキッチンの概念を近隣に浸透させていった。

「形から入るのではなく、どんなライフスタイルを送りたいのかを考えてもらえるきっかけとしてのキッチンと思って、空間をつくり込んでいます」。ここを訪れると、縁がないと思っていたオーダーキッチンが身近になる。さらに夢は広がり、多くはLDKリフォームへと発展する。「キッチンを演出する照明計画をトータルプロデュースすることも多いです」。

機器は輸入物にこだわって、食洗器やIHクッキングヒーター、オーブンなどを置く。実際に体験もしてもらうと、日本製との違いや使い勝手がわかり、採用する人が多い。

キッチン単体で見ても、それまでコア層は100〜150万円ほどだったのが、ショールーム開設後には200〜250万円になったという。



テイストが大きく異なる3台のキッチンを展示

ショールームに並ぶ3台のキッチン。(右上)スタイリッシュな黒ベースのアイランド型は、壁一面の壁面収納を備えた隠す収納タイプ。(左上)アイアンと木を組み合わせたL型はオープン収納。実際に立って比べてみると、自分だったらどの収納が使いやすいかがわかる。



「利き脳」から合うキッチンを探れる⁉

大塚専務は初来店した顧客にまず「利き脳」という考え方を話す。表のように、指を組んだ時に左右どちらの指が下に来るかと、腕を組んだ時に左右どちらの腕が下に来るかを組み合わせ、4パターンに分けられる。

右親指も右腕も下という「うう脳」タイプは直観力や空間把握力に優れるが、隠す収納だとどこに何があるかわからなくなってしまう傾向がある。そのため、オープン収納が向いている。逆に「ささ脳」は論理的な思考を得意とし、隠す収納が向いているのだという。



《大塚さん流提案術》
いきなり「予算いくらですか?」とキッチンの話を始めるのではなく、ライフプランニングをするようにしています

キッチンを起点にライフスタイルを共に考える

今現在の家計における支出の内訳を伺い、暮らし方や趣味、料理の頻度などを聞いて、お金の設計も含めて総合的に一緒に考えていく形でリフォームを進めるという大塚さん。これだと感覚的な予算にならず、具体的にいくら使うことができるのかが見えてきやすい。

例えば、共働きだから散らからないキッチンにしたいという要望を受けたとする。すると、壁面収納やカウンターの設置、さらにLDKリフォームまで発展することも珍しくない。光熱費が大幅に削減でき、実は±ゼロだと話すと、断熱リフォームになることも多いという。



空間全体をキッチンを用いてコーディネートするSTUDIO ORの事例集

1. ダイニング側が雑誌のディスプレイラックになった、木製家具のようなキッチン。


2. アイランドの赤と壁面収納の青の対比が美しい魅せるキッチン。


3. コンクリートの天板+黒の塊のスタイリッシュなキッチン。カトラリー収納も整然として美しい。



お話をうかがったのは…

大塚工務店(静岡県藤枝市)専務 大塚健矢さん

専門学校で大工のいろはを学び、東京のデザイナーズマンション投資会社に勤務。アメリカ留学、外資系アパレル会社勤務を経て、28歳で家業の大塚工務店に入社。神社仏閣などを手掛ける昔ながらの工務店に、モダンなデザインをプラスする新風を巻き起こしている32歳。



リフォマガ2022年7月号掲載



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