2022年トレンド大予測!
必ず知っておきたい16のキーワード
年頭にあたり、リフォーム・住宅市場をリードする5名の識者に、住宅業界に関わる人が知っておくべき、最新のトレンドや展望について聞いた。テーマはキッチン、インテリア、エクステリア、性能向上(断熱・耐震)の4つ。計16のトレンドキーワードをピックアップし詳しく解説もする。2022年、変化の激しい住宅業界を生き抜くヒントになれば幸いだ。
インテリアトレンド
インテリアやエクステリア、DIYの商品をオンラインショップで3万5000点以上取り扱う友安製作所。リアル店舗を大阪、東京、福岡に持ち、商品の展示販売やDIYの啓蒙活動などを行い、さらに工務店としてリフォーム工事も請け負う。複合的な視点から見えてくる、今の消費者のニーズを友安啓則社長に聞いた。
キーワード4 ワークショップ
近年、ニーズが爆発的に伸びたDIY。やったことがなくてもチャレンジしてみたいという人は多い。自社でDIYイベントを開催したり、リフォーム提案に一部取り入れることで、受注率や顧客満足度をアップさせられるかもしれない。
コロナ禍でDIYが本格化。ユーザーのすそ野も広がった
2020年は誰もが在宅を余儀なくされた影響で、DIYのニーズが爆発的に伸びた。家にいて時間があるため、初めてチャレンジするという人が非常に多く、すそ野が広がった印象だ。「家族で塗り壁して思い出づくり」するなど、あえて作業が発生するものを、複数名でやるニーズも散見された。
2021年は新規ユーザーの増え方は鈍化したものの、高いDIY人気は続いている。賃貸でも原状復帰の必要がない物件が増えるなど、DIYの価値が公にも認められつつあり、マーケット規模は拡大の一途だ。ただし、我々と同じようなオンラインショップも増えているので、差別化は重要だと考えている。
以前はDIYといってもライトユーザーが多かったが、プロとDIYの境目がなくなりつつあるのも特徴だ。友安製作所でもリアル店舗でワークショップを開催したり、ホームページやYouTube、SNSなどで積極的に発信し、ライトユーザーに最終的に自走してもらえるような取り組みを継続してきた。リフォーム会社は、一部に施主DIYを取り入れてプロの仕事と組み合わせた提案を行うと、満足度が非常に高くなるかもしれない。
オンラインショップでDIYアイテムを多数扱う
▲塗料や塗り壁材、施工・塗装道具、工具、真鍮・アイアン雑貨、パイプ、スイッチ・コンセント、簡単DIYキットなどDIY資材が豊富に揃うオンラインショップ
▲リアル店舗でも展示販売
週末開催のワークショップでDIYの啓蒙活動を行う
カフェ、商品の展示販売、イベントスペースを兼ねたリアル店舗を大阪、東京、福岡に持つ友安製作所。ここで木工や壁紙張り、左官など毎週何かしらのワークショップを行っている。
▲壁の一面だけDIYで人気のアースカラーの壁材を塗った例。塗りムラも味になる
キーワード5 尖った提案
キーワードで画像検索ができるピンタレストやインスタなどの影響で、施主の要望が具体化する一方で、エッジの効いた提案も受け入れられやすくなっている。リフォーム会社もSNSで積極的に勉強しておく必要がある。
SNSの影響で好みがより具体化&個性的になった
ノルディック、フレンチモノトーン、アンティーク調、インダストリアル、オーセンティックブリティッシュ……。ピンタレストやインスタグラムなど画像メインのSNSの影響で、こんな風にしたいという施主の要望が、以前より具体的になってきている。
ただ、こだわりが強いと細部がなかなか決まらなくなる恐れがある。そのため当社は、お任せなら受けるというスタイルを取っている。一方で、無難な提案、それなりに凝った提案、かなりエッジの効いた提案という3つを施主に出すと、エッジの効いたものが高頻度で選ばれる。「ピンタレストで見たことがある」ため容易に想像でき、冒険がしやすくなっているのだ。
個性的なリフォームのニーズが顕在化しているのだから、それを掴まないわけにはいかない。リフォーム会社には技術も商品知識もあるので、必要なのは情報だけだ。最低限顧客と同じ知識は必要で、まずはピンタレストやインスタで勉強し、見よう見まねでやってみれば、きっと上手くいくのではないかと思う。
▲オフィストイレの事例。左の個室に入ると、黒ベースの大きなバラ柄の壁紙に圧倒される。右の個室はシンプルなコンクリート調の内装で、また違った印象だとか
キーワード6 一石二鳥
友安製作所で売れ筋なのが、室内外で兼用できる椅子など1つで2役以上の商品。シート、タープ、ハンギングチェーンにもなるサンシェードなどは一石四鳥。特別な時だけでなく、普段使いして収納場所を減らせる点が強い。
アウトドア人気が続きホームパーティが流行る
オンラインショップでウッドデッキ用建材がたくさん出たことに象徴されるが、在宅時間が長くなり、住まいの内から外に意識が広がりつつある。ベランダとグランピングを組み合わせたベランピングという造語も生まれたが、アウトドアとインドアの中間というのはねらい目だ。
アウトドア人気はしばらく続きそうだ。秋になっても売れているのが、シートにもタープにもなるというオリジナルのサンシェード。その他、室内でも室外でも使える兼用の椅子が受けている。家でもアウトドアでも使えるという一石二鳥のものは、特に人気が高くお勧めだ。
ここからは2022年の予想だが、コロナが落ち着いたら、いきなりレストランに行くよりも、まずは家でまったり集まる人が多いのではないだろうか。そのため、今年はホームパーティが流行りそうだと考えている。
そこでプライベートとオフィシャルを分けた間取りや、大人数が座れる壁ベンチ、中庭に向けたアイランドキッチンなど、人が集まる仕組みをもった家を、施主に提案するなんていうのもいいかもしれない。
▲9月からの発売でも売れたというアウトドアサンシェード「BOWER」。UVカット、遮光、防水機能搭載なので様々な目的で使える。
外でも室内でも使えるオリジナルの椅子が人気
折り畳み式で軽い、革張りの「グランピングウッドチェア」。持ち運びしやすく、室内に置いてもチープに見えないところがポイント。室内で普段使いすれば収納場所の心配がない。
キーワード7 集まる場としてのオフィス
リモートワークが主流となり、オフィスが週に1、2回集まる場に変わった。そこでくつろげるホーム感と、アイデアが生まれる創造の場としての機能が新たに求められ、リノベーションニーズが生じている。
在宅ワーク併用を前提としたオフィスリノベーション
当社の工務店事業で増えているのが、オフィスのリノベーションだ。コロナ以前は、オフィスの効率化と生産性が最も重視された。それが、リモートワークで週に1、2回集まる場に変わったことで、来るのが楽しみになるような場にしたいという意識が生まれ、その依頼が来るのだ。
具体的には、ショップのようなおしゃれな内装でホーム感を演出し、間隔を置きゆったりと過ごせる自席を設けることが多い。私自身、イノベーションはリアルで起きると考え、会社という場を重視している。そのため、アイデアが生まれるような刺激を与える場づくりを心掛ける。
おしゃれな店舗風リノベの依頼が増えている
木の天井とフローリング、一部タイル張りのコンクリート調の壁、ペンダント照明などを用い、全体にモノトーンでまとめたオフィス。デスクの天板は木で、カフェにいるような気分で仕事ができそうだ。
お話をうかがったのは…
友安製作所(本社 大阪府八尾市)代表取締役社長 友安啓則さん
高校1年生の2学期よりアメリカへ留学。大学院でMBAを取得し商社勤務を経て、10年滞在したアメリカより帰国。2004年に父親が営む線材加工製造業者の友安製作所へ入社。2004年インテリア部門、2009年にエクステリア部門を立ち上げる。2016年に代表取締役社長に就任。
リフォマガ2022年1月号掲載
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