顧客満足度満点営業の秘密ノウハウ徹底習得!
新規顧客獲得のコストや難易度が上がっている今、リピート受注を得る重要性は増している。また、リフォーム仲介サイトでは、竣工後の口コミの評点が新規顧客獲得の数を如実に左右する。OBからの評価が高いリフォーム会社5社に取材をし、商談、施工、アフターといったシーンにおける、全社的な取り組みから個人の営業スタイルまで、顧客満足度アップのための様々な手法を取り上げる。
アフター強化と家族向けモール建設で顧客満足度のアップと囲い込みへ
住宅メンテナンス&リフォーム専門のグループ会社を立ち上げ、リピート受注強化で売上2億円を目指すという熊木住建。2019年にはファミリー向けモールを兼ねた本社ビルを建設し、潜在顧客の開拓や既存顧客の囲い込みも図る。その思い切った施策の全貌を、熊木宏行社長とグループ会社社長に就任した宮尾聡社長に語ってもらった。
会社規模拡大に伴いアフターの重要性が増す
現在、熊木住建のリフォーム部門は6000万円の売上だが、住宅メンテナンス専門会社の設立で、リピート受注を強化し、初年度売上2億円を目指す。そもそも熊木住建は、熊木社長の父親が1987年に設立した会社だ。年間数棟手掛ける規模だったのが、2代目の熊木社長入社後に拡大し、現在は年間約50棟の新築を手掛ける。
着工数が増えアフターフォローの必要性を感じ、リフォーム専門部門を設けたが、自然発生するリフォーム対応が中心となり、アフターフォローにまで手が回らない状態だった。そこで今回、グループ会社を設立するに至ったという。
▲水を想起させるブルーの「リメンテプラス」車両で住宅の点検に訪問する
事務所も入るモールは人を集める仕掛けだらけ
本社ビル兼モールには、保護者同伴で平日は3歳以下、土日祝日は小学校6年生まで入場可能な「木育ひろばぬくもく」をつくった。家づくり世代に通ってもらい、受注に結び付ける狙い。ほかにも様々な集客の仕掛けがある。
「よろず屋」的立ち位置で顧客に寄り添う会社に
2020年10月に住宅メンテナンス&リフォーム専門のグループ会社「リメンテプラス」(以下、リメンテ)を設立。取引のある地場メーカー「オアーゾ」の宮尾社長に社長を兼任してもらった。「オアーゾが取り扱う浄水器や家庭用人工温泉装置は、いずれもメンテナンスが必要な商品。上手く住宅の点検と結び付けられると思ったんです」と熊木社長は話す。
熊木住建では、浄水器と竣工後10年間の無料点検が標準仕様の新築販売を開始。2年に1度、浄水器のカートリッジ無料交換の際にリメンテが点検を行い、交換のない年も点検に訪問する。「多くの工務店で点検を強化したいと聞くが、すぐに利益に結び付かないので、人員をなかなか割けないのが実情。今回、新築販売時に予算を確保することで実現できました」(熊木社長)。10年目までに有償メンテナンスを行えば、20年目まで無料点検を延長もできる。
点検で接点を持ち続ければ、自然と顧客満足度はアップし、強い信頼関係が構築できる。これまでにあったような、いつの間にか他社がリフォームしていたという事態も防げる。毎年の訪問が習慣化されれば、訪問時に気軽にリフォーム依頼もされるようになると考えている。
リメンテ設立前の2020年4月から週末を中心に、宮尾社長と熊木社長を含む4名体制で点検業務を開始し、同年中に約40棟を完了。メンバーは皆、コミュニケーションスキルを重視する住宅点検マイスターの認定を受けている。「点検で家に入れてもらうと色々な発見がある。そこでヒアリングをしてリフォーム提案するという流れができつつあります」(宮尾社長)。
将来的には顧客に寄り添い、様々な困りごとに乗る「よろず屋」的な立ち位置を目指す。その足掛かりの意味もあり、熊木住建本社ビル兼ファミリーモール「and LIFE」も建設。住まいにまつわる機能を凝縮させ、活用していく予定だ。
家庭用人工温泉装置の体験施設も5月にスタート!
「and LIFE」内に、リメンテの宮尾社長が自身の会社で取り扱う、家庭用人工温泉施設の体験施設もオープンさせた。今後のリフォーム提案で活用していく。
【手法1】無料点検とリフォームを一手に担うグループ会社「リメンテプラス」を設立
新築事業から点検業務を切り離して充実化
熊木住建本体では、新築の新規顧客獲得が優先されがち。そこでOB顧客宅の点検をメインで行う「リメンテプラス」(以下、リメンテ)を設立。新築に標準装備の浄水器と、10年間のカートリッジ交換・点検代を、熊木住建からリメンテに予め支払う形で、点検の予算を確保する。
▲「10年間毎年無料点検」を新築時に込みで販売
●浄水器本体代
●2年に一度のカートリッジ交換(点検含む)×5回
●カートリッジ交換のない年の点検代×4回
の費用をあらかじめ確保!
【手法2】ファミリーモール「and LIFE」で顧客の開拓と囲い込み
顧客を呼び込むような店舗を戦略的に誘致
2019年に2億円かけて熊木住建本社ビル兼ファミリーモール「and LIFE」を建設。ここに熊木住建やリメンテのオフィスが入る。東京おもちゃ美術館監修の「木育ひろば ぬくもく」の他、司法書士事務所や接骨院など、新築やリフォームの顧客獲得や囲い込みに結び付きそうな入居店舗を集めた。
何度も訪れたくなるような暮らしの複合施設が完成
熊木住建の住まいの相談窓口「イエのコトカウンター」では、木製おもちゃ・絵本・雑貨・インテリア・家具販売も行う。「イエのコト図書館」では住まいにまつわる雑誌や書籍が無料で閲覧可能。英会話教室は熊木住建オフィス近くの打ち合わせスペースで行う。所用で訪れ自然と家について考え始めるような施設だ。
お話をうかがったのは…
リメンテプラス(長野県長野市)代表取締役 宮尾聡さん
独自開発の「人工温泉システム」で培った技術を中心に、様々な業務を展開する長野市の企業、オアーゾの社長。熊木社長とタッグを組み、2020年10月設立の住宅メンテナンス&リフォーム専門会社、リメンテプラス社長に兼務で就任。
熊木住建(長野県長野市)代表取締役社長 熊木宏行さん
地元のゼネコン勤務を経て、20歳で実家の熊木住建に入社。27歳で二代目社長に就任。俗にいう三ちゃん工務店だった熊木住建を元請けにすべく設計事務所登録を行い、不動産業にも参入し、専務の弟とともに拡大させた。現在46歳。
リフォマガ2021年7月号掲載
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