「開く」と「閉じる」を使い分け 居心地のいい空間を生み出す

人気プランナーに学ぶデザインの引き出し

~ブルースタジオ(東京都中野区)藤木舞さん~

「デザイン」と「つながり感」を両立させる設計を得意とするブルースタジオ。その空間にとって必然となるデザインがどう生み出されるのか、素材や「開く」と「閉じる」の塩梅など、細部をどのように決定していくのか。入社4年目で、同社のショップで暮らし相談にも乗る藤木舞さんに聞いた。



街や空間をつなぐ必然のデザインがある

街や空間のつながりを重視してリノベーションを行うブルースタジオ。手法1の花屋兼カフェは、デザイン性の高い三角形のオリジナルカウンターが要。手前から奥に行くにつれて幅広になるので、道行く人々から座った人々の様子が見えやすいという優れものだ。

手法2で紹介する住宅も、ざっくりと収納で仕切られた屋内でどこにいても家族の様子がわかる。これは実は、収納の背板のあるなしを計算することで、心地良いつながり感をもたらしているという。低い外構と広いデッキによって、家は街にも開かれている。



《手法1》「三角カウンター」で街に開いた店づくり

近所からの移転拡張に伴い、カフェスペースを併設させた花屋。間口をできるだけ広く取り、本来は店の奥にある花の作業台を店先に置くことで、道行く人々と自然とコミュニケーションを取れる店になった。三角形のテーブルは不特定多数の客が使用するため、荷重に配慮しつつできるだけすっきりと見せるよう、スチールの脚の本数や直径も細かく検討した。

前面道路と直交した 人を呼び込むカウンター

花屋兼カフェのミクロな複合施設。外からカウンターの様子が伺えて客が入りやすいように、前面道路に直交させた三角形のカウンターがデザインのポイント。カウンターの立ち上がりはコンクリートブロックむき出し、天板はラワン合板+ワックス塗装で仕上げた。



《手法2》構造を見せて補強し家の歴史を見える化

三世代で住み継いできた築70年の実家を、30代の母親+3歳と5歳の2人の息子が住む家にリノベーションした。構造を現しにして補強し、家の歴史を見える化して子供たちに継承していく。高い塀と植栽が生い茂っていた外構も一新。低い塀と植栽で緩

建築当時の構造、火事の跡、真新しい柱が並立

約70年前の建築当時は2階建てで、家族構成の変化で増築したのち、40年前に火事で2階を焼失して平屋に減築と、歴史を重ねてきた家。今回のリノベーションに当たり、構造補強をしながらコストを抑えるために、あえて構造を現しにして、追加・交換した柱や梁、ブレースなどもそのまま見せることにした。

▲火事で焦げた梁もはっきりわかる



お話をうかがったのは…

▲ブルースタジオ(東京都中野区)藤木舞さん

大学で街づくりやプロダクトについて学び、新卒でブルースタジオに入社。現在4年目で、同社が企画・設計監理した複合施設「ネスティングパーク黒川」(小田急多摩線黒川駅前)のショップ「pūka(プーカ)」の店頭に立って暮らし相談にも乗っている。



リフォマガ2020年11月号掲載



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