抜けない柱やデッドスペース活用で実用性と美しさを兼ね備えた空間に

人気プランナーに学ぶデザインの引き出し

~タカラ産業(岡山県津山市)春名久子さん~

抜けられない柱を組み込んで格子状の壁にしたり、壁厚やデッドスペースを利用した収納を設けることで、実用性と美しさを兼ね備えた空間をつくり出す春名久子さん。ちょっとしたスペースも見逃さずに活用した事例の数々を見せてもらった。



物の置き場に可変性を持たせ、家を美しく保つ

春名さんは、リフォームで生じる抜けない柱や梁、壁厚、ちょっとしたデッドスペースなどをフル活用する。

「スペースに余裕がなくても、なんとか使用場所に物を置きたいという時、壁厚を利用した収納は便利です」。

後から収納棚やグッズを置く必要がないので、施主は家をすっきりと保つことができる。

併せて気を付けるのは、可変性を持たせて使用法を限定しないことだ。手法1のデスクスペースは、収納と机を分けて別の場所で使用することもできるし、手法2の勝手口のスリッパ収納は、棚板を外せば普通のニッチとしても使用できる。



《手法1》抜けない柱を利用!格子でキッチンを緩やかに隠す

圧迫感のない「格子」で来客の視線外しを実現!

下の写真の奥に見える、4枚続きの建具は玄関に通ずる。来客にキッチンの手元をダイレクトに見られないように設置したのが、抜けられない柱を活用した格子だ。来客のアイキャッチとなって、さりげなく目線を遮ってくれる。格子にしたことで柱も空間に馴染んだ。

「格子は便利。現場ではめ込むだけで済む格子状建具をあらかじめ製作して使用することもあります」。



《手法2》壁厚や隙間をとことん生かす!

【トイレ】

配管の壁厚を生かしたトイレットペーパー収納

配管で壁をふかす必要があった時、春名さんは厚みを生かしてトイレットペーパー入れをつくることが多い。(左・中)窓側の天井が低いので、唯一便座の真後ろにだけ250mmほどの厚みの収納をつくれた例。開き戸は90度で止まるので、軽いものなら仮置きもできる。



【リビング】

壁掛けTVに合わせてレコーダー収納を引っ込めた

LDK空間を広く使うために、壁掛けのTVを採用することにした家。そこでレコーダー収納が出っ張らないようにニッチ収納をつくった。壁を90度曲がったところには電話台と電話帳を入れる引き出し、ルーターなどを入れる上部の収納も設けている。



【キッチン】

キッチン横の隙間につくったあると便利な「薄いもの収納」

既製品のキッチンを入れて発生した微妙な隙間に、お盆や紙袋など、立てておきたい薄いものを入れる収納をつくった。小さいスペースにはアルミホイルなどのストック、調理場側に開いたところには調味料が置ける。



【勝手口】

勝手口機能を邪魔しない壁厚利用のスリッパ収納

勝手口からも来客があるお宅。狭い場所に新たにスリッパ置き場をつくれないため、壁厚を生かしたスリッパ収納を設けた。斜めの棚板にスリッパを差して、平らな棚板には鍵や小物類を置ける。



お話をうかがったのは…

▲タカラ産業(岡山県津山市)春名久子さん

工業高校と専門学校で建築を学び、家具の工場でのアルバイトを経て、タカラ産業に入社し現在9年目になる。二級建築士、木造建築士、2級カラーコーディネーター、インテリア設計士等の資格を持つ。趣味は作家物の器集め。



リフォマガ2020年11月号掲載



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