【リペア職人】古賀 照也さん(52歳)
リフォームの営業担当者にとって、熟練の職人さんは大切なパートナー。今回登場するのはスゴ腕リペア職人の古賀照也さん。驚きの補修事例と、リペアにかける思いを紹介する。
お客様目線で提案 将来的にベストな選択を
「自然な感じで、いつの間にかきれいになっている。直したことを気づかせない、ナチュラルな補修を一番大切にしています」と、職人歴約20年の古賀照也さん。職人4名を抱える会社の代表でもある。
現在、リフォームや新築の現場でのリペアの他、家具の修理も請け負う。某有名ホテルで、テーブルや椅子などの定期メンテナンスも行っており、ホテルマンの間でも高い技術が評価されている。
そんな古賀さんが作業をする上で大切にしているのが「お客様目線」だ。「補修」がいいのか、それとも「交換」がいいのか。顧客の立場に立ち、顧客自身が選択できるよう修理方法を提案している。
例えば玄関ドア。交換すると100万円近くかかると言われた顧客が古賀さんに相談。20万円で元通りに蘇った。
一方、洗面台の収納扉のケースでは、古賀さんはあえて交換を顧客に提案した。扉の下地にMDF(木質繊維の成形板)が使われており、湿気を含んでその上のシートの四隅が剥がれかかっていた。補修しても下地ごと変えなければ同じ状態になる。顧客と相談した結果、収納扉を交換することになった。しかも、顧客の奥様の希望で、扉部分を鏡にする特注品に。洗面台が美しく使いやすくなり、涙を流すほど喜んでもらえたという。
技術を次の世代にプロ職人向けの講習会
職人になる前は証券会社の営業として働いていた古賀さん。バブル崩壊当時は顧客から「損をさせられた」と水をかけられたこともあったという。
「お客様に喜んでもらえる仕事がしたいというのが、リペアの仕事を始めたそもそものきっかけ。直接お客様の喜ぶ姿を見られるのが、やっていて嬉しいですね」と古賀さん。
昨年からプロ向けのリペアの講習会を開催。職人同士がインスタグラムでつながっていて、大理石の補修の回には沖縄や大阪、愛知から参加者が集まった。今後は人材の育成にも努めていきたい考えだ。
推薦の言葉
ドクターリペアマン 代表 小磯周作さん
古賀さんはリペア屋さんという職業が建設業界に出来始めた頃からの古参の職人さんです。
まだ技法が確立していなかった時期からどんな材料を使えばどんな仕上がりになるのかを試行錯誤しながらやって来られたんだと思います。
現場でのリペアと並行して家具補修塗装、家具製作のための広い工場を大宮に構え、またそこを拠点として関東の若い世代に技術を伝える活動もしていらっしゃいます(現在はコロナ禍のため、講習自粛中)。
リペア作業は唯一つとして同じ傷はないため、完成された技術というのは一つも存在しません。そこにあるのはよりよく直そうとする意思の継続です。
そんな姿を同時代で見せてくれる古賀さんは僕らにとっての非常に頼もしい先輩です。
古賀さんからリフォーム営業担当者にメッセージ
「こうしてもらうと嬉しいなぁ」
リフォームの一つの選択肢として、もっとリペアを使ってほしいですね。リペアの良いところは継続性です。定期的なメンテナンスとしてお客様が困っているところのリペアを行って、大きなリフォームにつなげる。営業にリペアを役立ててもらえたらと思います。
それから、リペアで分からないことがあったら、遠慮なく職人に相談してほしいです。その方が話が早いですし、お客様とのトラブルにもなりにくいと感じています。
リフォマガ2021年4月号掲載
0コメント