リフォーム解体新書~サイディング表面の黒ずみと浮きが気になってはいたが…

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第17回 外壁リフォーム(前編)



ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。

今回紹介する「開けてびっくり事例」は、外壁リフォームにつきものの雨水に関係するものを集めました。外壁は面積が大きいこともあり、事前調査の時に全ての壁をチェックするのは大変な作業です。でも不具合を見逃してしまうと、着工後に工事がストップすることにもなりかねません。特に雨被害に関することは、大工や防水業者、屋根業者、電気業者の手を必要とするような追加工事が発生することもあります。そうした事態を回避するためにも、事前の調査時にチェックするべきポイントを押さえておくことが大切です。



《事例1》
サイディング表面の黒ずみと浮きが気になってはいたが…

サイディング表面の黒ずみと浮きが気になってはいたが…

外壁の塗装工事が雨漏れ被害の発覚でストップしてしまったという話です。サイディングのシーリングを打ち替えるために古いシーリングの撤去作業をしていましたが、職人が「バルコニーの腰壁のパネルが少し浮いていて気になるんだけど、パネルを1枚剥がしてみていいですか? パネルは割れてしまうかもしれないが」と言ってきました。「え、どうして? 割れたら困るよ」と思わず阻止しようとしましたが、そばにいたお客様が、「何か問題があるのですか? あるなら確認してもらった方がいいです」ときっぱり。

案の定パネルは割れてしまいましたが、中の状態を見た途端、「開けてよかった! 」と思いました。中は真っ黒で、パネルを留める下地の木も腐っていたのです。


【解決策は?】補修範囲を確認して追加契約と工事の手配をする

バルコニー腰壁の内部腐朽は壁の強度を弱めてしまいます。安全に関わることですので、疑わしい時は確認を要します。まずはどこから雨水が侵入したのか調査します。著しく傷んでいるところに笠木の継ぎ目があれば、継ぎ目のシーリングが切れているかもしれませんので、水をかけて確認します。補修の範囲がはっきりしたら、施主に説明の上、追加工事の契約をして、材料と施工の手配をします。


【どうすれば事前にわかる?】継ぎ目のシーリングの切れ、パネルの浮きが無いか

バルコニー腰壁パネルの浮きが気になったらしっかりと調査をするべきです。腰壁パネルの浮きは、バルコニーの内側と外側の両面から確認しましょう。腰壁に雨水が入りやすいのは笠木の継ぎ目やパネルのすき間です。シーリングの切れがあれば、水は吸い込まれるように内部に侵入してしまいます。含水率を測って高い数値が出たり、パネルが浮いていたら内部の腐朽の疑いがあると言えます。

▲バルコニーの腰壁に雨水が入りやすい箇所



[こんな現場もあります]
バルコニー底面(軒下)にシミがある

バルコニーを下から見上げると、底面(軒下)に黒いシミが広がっていることがあります。これは内部まで浸水している状態です。そのまま塗装できれいに仕上げたとしても、すぐに同じようなシミが出てしまいます。バルコニーの排水口まわりから水が染み出ている場合は、排水口周りに顕著な黒ずみが見られます。バルコニー床や立ち上がり部分の防水が切れていれば、そこから水が入り込み、底面に黒ずみが広がります。このような現場があれば、塗装工事の前にバルコニー床の防水工事をしなければなりません。また、ここまで被害が進んでいなくても水が入り込んでいることもあるので、防水工事をしばらく行っていない現場は要注意です。

▲バルコニーを見上げると、水が染み出したようなシミがある



リフォマガ2024年9月号掲載



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