「その人に合った片付け方」を提案するライフオーガナイザーの瑞穂まきさん。7年前にリノベーションして住み替えたマンションは、仕事の知識と経験が活かされた素敵な住まいだ。心地よい暮らし方や片付け方法を聞いた。
▲「トレシア」主宰（東京都新宿区）ライフオーガナイザーカラーアドバイザー 瑞穂まきさん
東京都出身。建設会社の役員を経験したのち、10年前からライフオーガナイザーとして活動し、ライフオーガナイズスタジオ「トレシア」を主宰。特にクローゼットの整理方法を得意とする。その後、建築カラープランナーの資格を取得。夫と娘と3人で暮らす。
「片付けは気持ちを整えます」
玄関のドアを開くと、明るくすっきり整った空間にクラシカルな親子扉が目に入る。扉の奥には25帖のLDKが広がり、リビングの先には広いバルコニーがある。この家の家主である瑞穂まきさんは、「バルコニーがあったことが、物件を選んだ決め手となりました。北向きですが、夏は涼しく冬も暖かく過ごせ快適です」と話す。
ライフオーガナイザーの仕事は、単なる整理収納のノウハウを教えるのではなく、まず思考の整理からはじめ、その人にとって使いやすい整理や収納の仕方を提案すること。
瑞穂さんがライフオーガナイザーになったきっかけは、雑誌「クロワッサン」の記事。ただものを片付けるだけでなく、暮らしを心地よくするために思考自体を最適化する「ライフオーガナイズ」を知った。それまでの片付け方へ抱いていたモヤッとした気持ちが晴れた。
瑞穂さんが得意とするのは、クローゼットの片付け。「どう暮らしたいか」というその人の思いに寄り添ってアドバイスする。例えば、しばらく子育てに専念しようとしている人なら、「古い仕事用のスーツは必要でしょうか？」と問えば、スーツを手放しやすい。
「捨てなきゃだめと言わず、『大切なものは何か』を自分で選べるようにサポートする。片付けは、気持ちを整えることにつながり心が楽になります」
回遊動線でリビングがきれいに
そんなライフオーガナイザーの知識と経験を活かし、築12年の95平方メートルあるマンションをリノベーションしたのが今の家だ。設計士と密に話し合い、理想とする住まいをつくり上げ、7年前に住み替えた。
こだわったのは家族の収納計画。瑞穂さんは、整理整頓が苦手な夫の一日の動きを観察した。「どんな行動でリビングが散らかるのか」を分析。その結果、リビングまでぐるりと回れる回遊動線を考え、夫用に玄関からつながるオープンなウォークスルークローゼットを設けた。
夫は帰宅したら、玄関の奥にあるドアから入り、バッグを置き、ウォークスルークローゼットにポケットの中身を出し、上着をかけ、部屋着に着替える。そして洗面室で手を洗いリビングに入る。この一連の動作がスムーズに行える動線計画により、リビングには物が持ち込まれず、片付いた状態がキープされている。
「家族でも得意、苦手なことが違います。私の得意なことを夫に押し付けても無理。『こっちに置いてよ』と言うのではなく、その人の片付けられる方法を見つける。私が収納にこだわるのは、リビングで家族が自然に集まり、楽しく過ごすため。きれいな場所で家族とリラックスしたいからです」と瑞穂さん。
心地よい暮らしを送るには、自分や家族がその部屋でどのように過ごしたいかを、まず考えてみることが大切だとアドバイスする。
▲玄関からつながる扉のないウォークスルークローゼット
▲明るくすっきり整った玄関。クラシカルな趣のドアが目に飛び込む
▲リビングにつながるバルコニーは第2のリビングのような空間だ。さまざまな鉢植えや寄せ植えが目に映える
▲瑞穂さん用のクローゼット。寝室にあり、一目見てどこに何があるかを把握することができる
大きな面の色味を同調させる
自宅リノベーション時、カラーアドバイザーとしても活躍する瑞穂さんは、壁、床、天井の色味やテイストにこだわった。自らショールームに足を運んだり、色のサンプルを取り寄せたりと細かく指定し、入念に選んだ。
ベージュ、白、グレーなどは、一見同じように見えてさまざまな色がある。「壁や床、天井の広い面の色味は、同調させることを意識してコーディネートする。そうするとカラフルなものを置いてもおさまりがいい」という。
瑞穂さんの自宅は、空間全体が優しいグレーの色調で統一され、落ち着く雰囲気に仕上がっている。
また随所に配した絵画がシックな空間に美しく映える。「絵画などのアートが、インテリアの一部として日常の暮らしの中にあるのが当たり前になればいいと思います。今後は、アート作品展をコーディネートするお仕事に挑戦してみたいです」
▲リビング。空間全体のテイストやトーンも統一されていて、とても居心地がよい
リフォマガ2023年8月号掲載
⇓⇓同じテーマの記事を読む⇓⇓
0コメント