現場に合わせた「マニュアル以上」の養生でクレーム減少

現場の安全と衛生を守る養生の極意

施主の大切な住まいを、傷や汚れから守る大切な工程が養生だ。特に住まいながらの場合、暮らす施主のストレスをケアする気遣いも重要。形に残らないものの、良し悪しで印象は大きく変わり、養生きっかけで次の受注に繋がることも。こだわりの達人技を紹介する。



継続的に養生ルール見直しクレーム減った

海野さんは、先代の工事部長とともに、2014年頃からマニュアル作成などを通して同社の養生ルールを改善してきた。結果、誰が手掛けても高品質な現場環境をキープでき、クレームの発生が抑えられるように。

同社では、200〜300万円以上の大きな工事の養生は現場監督、小規模のものは営業が担当。若手からベテランまで、研修も活用し、レベルの揃った養生を目指す。



マニュアルは常にアップデート

同社の養生のルールの基本は、実施時期、実施者、用具を指定したマニュアル。「マニュアルを若手に見せるだけだと、マニュアル通りやるだけでいいと思ってしまう」(海野さん)。臨機応変な養生ができるよう実地でも指導する。引っ越しを伴う大規模なリフォームの現場に、ベテランから新人まで現場監督を集め、養生の「現場研修」を実施(コロナ対策のため休止中)。

▲Excelで作成。写真入りでコンパクトに要点がまとめられており、わかりやすい

▲部位ごとに網羅。常に最新基準になるよう改良を加える



職人と協力し安心の現場に

特に片付けは職人に任せることが多い。汚れる作業をしたら当日中に片付けてもらえるよう、具体的に指示を出す。例えば、サッシの溝は木くずや石膏ボードの粉で汚れやすいので、作業の都度掃除するよう、職人に頼む。「言うだけでやってくれない」と思われないように、現場に入ったときは現場監督も必ず掃除。「リフォームの工事では1日しか参加しない職人さんも多いので、掃除の負担が大工さんに偏るのが悩み」(海野さん)。

お茶を頂くなど、施主と職人が話す機会は多い。その際、職人に、今後の見通しやスケジュールを施主へ伝えてもらう。施主に安心感を与えることができる。



養生材は常に潤沢に準備

養生材は会社近くの、つけで購入できる金物店で用意することが多い。メーカーにこだわるより「すぐ買える」ことを重視する。特定の店と関係性を築くことで、養生材が足りなくなるのを避ける。養生材がいつも潤沢にあれば、より丁寧に養生できるという。

▲防湿フィルム

カッターで簡単に切れる。家具・家電の養生後も中身が見えるため、「例えば、これはテレビだから当たったらまずいな、などと現場で意識しやすいんです」(海野さん)。以前はブルーシートを使っていた。

▲床養生用テープNo.395N(日東電工)

床面は、剥がれにくくノリが残りにくいさくら色の養生テープを使う。

▲カマチマン®(エムエフ)

玄関に。社名も入れられて便利。

▲コードホルダースッキリくん(ふたば商事)

自分の背より上の壁面に取り付け、電気配線やコンプレッサーのホースをかける。引っかかって転ぶのを防止するほか、掃除もしやすくなる。



住みながら工事する施主へ気遣い

同社では800万円以上の大規模リフォームでも、住みながらの工事が多い。施主の生活上の負担を減らすため養生の工夫をしている。長期で複雑な工事の場合、工程表と平面図を色分けし、いつどこの工事をするのかわかりやすく説明する。また、施主が物を取るなどのために、養生してある空間に入りたくなることも。建具の目張りに養生テープでなく、粘着力の弱いマスキングテープを使うことで、何度かはがしても建具を傷めないようにしている。

▲工事期間ごとに平面図を色分け。パッと見て期間と場所がすぐわかる



お話をうかがったのは…

レオック(愛知県豊橋市)工事部長 海野史人さん

入社16年。リフォームと新築の現場監督を務めてきた。昨年12月に工事部長に就任、新築・リフォーム両方に対応できる現場監督の人材育成を目指す。



リフォマガ2021年10月号掲載



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