KURASHIをたのしむVol.18 女性が“働いてよかった”と思える職場づくりに邁進

「女性だけの工務店」を松山市で経営する矢野陽子さんは、働き方を柔軟にして、〝女性が働きやすい職場づくり〟に力を注ぐ。休む暇なく仕事にプライベートにパワフルな日々を送っている。


▲株式会社クラス(愛媛県松山市)代表取締役 矢野陽子さん

愛媛県出身。住宅設備会社に入社し、ショールームで働きながらインテリアコーディネーターの資格を取得。その後工務店に転職し、2級建築士資格を得る。営業職など14年務めて役員に就く。2016年7月に独立し、株式会社クラスを設立。長女は大学3年生。


▲施工事例 最近の竣工。リビングに小上がりの和室を設け、愛媛県木材を使った心和らぐお部屋



スタッフ7人は全員女性

「女性だけの工務店」と話題を呼んでいる、「クラス」。男社会の建築業界で、設計士もインテリアコーディネーターもすべて女性。全国から応募があり、東京から移住してでも働きたいという設計士もいる。

同社を立ち上げたのは2016年7月。代表取締役の矢野陽子さんは「女性だけの工務店を作ろうと思ったわけではありません。女性が働きやすい職場に整えたら、女性のスタッフ7人が集まったという感じです」と言う。

働き方は柔軟で、スタッフ自身が働きやすい時間を話し合って決める。週末が稼ぎ時の建設業界には珍しく、土日とも休みの人もいれば、週4日や2日勤務の人もいる。

「女性って、『この時間までに仕事を全部終わらせないといけない』と考える人が多く、『残業も構わず遅くまでいられる』人の働き方と比べると時間的な効率は高くなっています」

▲事務所にてスタッフと打ち合わせ




スタッフには我慢させたくない

矢野さんは大学卒業後、住宅設備会社で働きながらインテリアコーディネーターの資格を取得し、その後工務店にスカウトされ転職した。大工さんに「コーディネーターだし、知識がないのに指図されるのはいや」と言われ、奮起し、建築士を目指す学校に通って2級建築士の資格も取得。約14年の営業職を経て役員に就いた。

「社長にイベントを提案しても、なかなか聞き入れてもらえず、それなら経営に携わった経験も生かし、独立して実現させよう」と思った。同社は設立以来、23棟ほどの新築物件を手掛け、年間売り上げは約2億円まで伸びている。「家に詳しいお友達」がコンセプトで、友達の相談に乗ると思ってアドバイスする。

「女性のお客様が、キッチンの動線とかを料理をしない若い営業マンに話してもピンと来てもらえませんが、実際にキッチンを利用する女性同士なら理解し合えるので、話しやすいと思います」。建築だけでなく、暮らしの中の小さなことも相談できてうれしいと言われる。

矢野さんは仕事に就いてから、長女の出産で3カ月の産休・育休取得以外、土日も夫に長女を任せ、バリバリ働いてきた。それなのに長女が大学に進学し家を出て、ふと「あの時、子どもと遊んであげたらよかった」と後悔が募った。「スタッフには我慢させたくない。子どもがいても働きやすい環境で活躍してもらいたい」と語る。

▲「クラス」のイベント。上はレザークラフトでオリジナル小物を作る。下は無農薬、化学肥料不使用のGAP認証を取った田植え。クラス米を作った!



プライベートも大忙し

矢野さんは営業を一人でこなし、打ち合わせや現場に出ていることも多く休む暇もない。

建築の専門学校で知り合った夫は、設計事務所を経営し、月の半分以上は福岡拠点のデュアルライフ。母と夕食を囲みビールやハイボールを飲むのが至福の時間だ。水曜の定休日は、ジムやヨガに通ったり、ペン習字を習ったりと大忙し。スポーツや自然が好き。

「今はコロナで中止していますが、10年出場しているトライアスロンの大会に出たいし、釣りも始めたい」と矢野さん。

「もっともっと女性が働きやすい職場にして、その上給料もたくさんあげられて、スタッフに『この会社で働いてよかった』と思ってもらえる会社にしたい」。矢野さんは仕事もプライベートもパワー全開である。

▲築25年の自宅の寝室。寝具やリネンにはこだわりがあり、色や質、寝心地を大切にしている



リフォマガ2022年1月号掲載



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