横断工程表で管理の一元化を図り工事品質が飛躍的に向上！

ミス・トラブルが激減！スマート現場管理

現場で発生したミスやトラブルは、即クレームにつながりかねない。また、ミスやトラブルで工事がストップすると、工期が長くなる。すると粗利の低下も招いてしまう。スムーズな現場進行は非常に重要だ。各社の現場管理担当のスペシャリストに、アナログ、デジタル両面での運用術を取材し、効率的に賢く現場を管理する方法を探った。

横断工程表で管理の一元化を図り工事品質が飛躍的に向上！

クラシタスでは、クレーム発生時の迅速な報告を義務付けているが、詳細の共有が遅れ対応も遅れて、問題が拡大してしまうことがあった。また、現場の小さなミスなども顕在化しづらかった。そこで、管理アプリによる詳細な情報共有を図り、工事品質を大きく高めることに成功した。

情報共有を深めることで細部まで管理が行き届く

管理アプリ「ANDPAD」の横断工程表を活用し、管理の一元化に成功したのがクラシタスだ。週1回は各事業所長が自事業所の横断工程表を見て、遅れやトラブルが発生している現場がないかチェック。品質管理を統括する経営企画室の佐藤誠さんは、月に1度、段取り状況〜契約工期〜完工のチェックを行う。

「ブラックボックス化せずに全案件を一元管理でき、担当者によって生じる、対応スピードの差がなくなりました」。

また、職人ごとに抽出できる横断工程表を見れば、職人1人当たりの仕事量を確認できる。日程が空いている職人に効率的に仕事を振り分けることもでき、手配の手間が大幅に減った。

「雪害や震災による屋根工事が重なった時などは、隙間を埋めるように足場や板金職人の日程を抑えます」。

ANDPADのオプションの発注システムも便利だ。紙の工事請負契約書をつくる必要がなく、電子契約なので印紙も不要という利点を説明し、協力会社に利用IDの実費を会費としてもらい運用している。現在187社のIDが稼働中だ。

もちろん、日々の現場管理でもアプリを使う。職人の検温や危険予知活動の報告は、現場用チャットで行ってもらう。またクラシタスでは、社長をはじめ、所長や設計部隊のリーダーなどが、現場の安全管理や現場5Sを抜き打ち訪問でチェックする「現場パトロール」を行う。その結果は社内向けの全体チャットで写真入りで共有。良い点も悪い点もつまびらかになるため、社員全体の管理意識は確実に高まったという。

クラシタスの例からわかるように、社内や外部との情報の共有を深めることで工事品質は着実に高められるのだ。

▲クラシタスでは、現場入口に看板と清掃のチェックシート、消毒液の設置を義務付けている。設置の様子もアプリで写真共有するため、いいところは真似し合える。

リアルタイム視聴も振り返り確認もできる「24時間カメラ」を設置

一部の現場では、広角の24時間カメラを設置。社内だけでなく、施主もいつでもリアルタイムで現場の様子を見ることができる。また、1週間分の撮影データが保存されるので、何か起きた時には振り返り視聴して確認もとれる。

「横断工程表」で職人の空き日程を効率的に押さえる

宮城県や岩手県などを商圏とするクラシタス。工事が集中する繁忙期などは、職人ごとの横断工程表を見て、空き日程に効率的に仕事を振るように管理している。上は、毎日途切れなく現場が入っている足場職人のスケジュールだ。

社内向け全体チャットで「現場パトロール」結果を共有

「現場パトロール」結果を報告するチャット。足場の設置状態、清掃状況、顧客対応など様々な点を詳細に確認し、多数の写真入りで社員全体に共有。褒めポイントも入れることで、担当者のモチベーションもアップする。

現場ごとのチャットで職人が写真入りの危険予知活動

ANDPADの現場用チャットで、職人に作業開始や終了の報告をしてもらう。朝は、検温結果の報告と共にKY活動もここで。ヘルメットや安全ベルトの装着などは、写真を添付してもらえば一目で正確に伝わる。文字だけより格段に便利だ。

お話をうかがったのは…

クラシタス（本社　宮城県仙台市）経営企画室　工事品質　室長代理　佐藤誠さん

高校卒業後、機械設計のエンジニアとして電機メーカーに勤務。もっと大きいものを設計してみたいと34歳で設計事務所に転職し、41歳で一級建築士の資格を取得。2004年に屋根中心から総合リフォームに力を入れ始めた東北カナメ（現・クラシタス）に入社。現在、品質・安全管理の統括、設計部隊の管理、商品企画などを手掛ける。

リフォマガ2021年9月号掲載

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