管理アプリの徹底活用で初日に行かずとも現場が回る体制に

ミス・トラブルが激減!スマート現場管理

現場で発生したミスやトラブルは、即クレームにつながりかねない。また、ミスやトラブルで工事がストップすると、工期が長くなる。すると粗利の低下も招いてしまう。スムーズな現場進行は非常に重要だ。各社の現場管理担当のスペシャリストに、アナログ、デジタル両面での運用術を取材し、効率的に賢く現場を管理する方法を探った。



正確な情報共有によって現場に行く回数を減らす

管理アプリ「ダンドリワーク」を2014年から活用する新潟市のダイケンリフォーム。以前は職人からの電話が鳴り続け、何かと現場に行っていたが、ダンドリワークの使用を徹底し、がらりと体制が変わったという。

現在、営業で坂井東スタジオ店長でもある番場和也さんは「大した用もなく、初日に現場に行くのは生産性を落とす」と考え、基本的に施主と打ち合わせがある時のみ現場へ赴く。その代わり、番場さんの1日は打ち合わせでびっしりと埋まっていることが多い。

それを可能にしたのが、いつでもアクセスできるアプリで情報共有することで、職人が工事当日に来ない、今日の作業を知らずに来るといったトラブルがなくなったことだ。また、アプリ上の資料を更新したらコメントでも更新を伝え、対象者に必ず電話もかける。個人による図面のプリントアウトはNGで、最新図面を貼った現場の図面ボードか、アイパッドなどを用いてダンドリワーク上で見てもらう。これにより、手持ちの資料が古くて出戻りというミスもなくなった。



職人に直に施主の声を伝えてクレームが減る

ダンドリワークの使用開始と同時期につくったのが、取引のある協力会社に必須で加入してもらう「スクラム会」という職人会。2カ月に1度集まり、横の連携が生まれると、先行している職人が他の職人に「あの機能は便利だ」などと言ってくれ、一気にアプリの普及が進んだ。

スクラム会でアンケート結果やビデオレターをダイレクトに見せることで、職人たちの意識も大きく変わった。直接の声だとクレームも真摯に受け止めるし、ビデオで「大工の○○さんの仕事ぶりが良かったです」と言われればやりがいも感じる。「現場進行中も自然と顧客を意識し、目に見えてクレームが減りました」。


加入が必須の職人会で全体がレベルアップ

70~80の協力会社が加入する職人会の「スクラム会」。2カ月に1度施主アンケートやビデオレターを共有するほか、年に1回施主の評価が高かった3社を表彰。いい競争意識が生まれ、アプリの使い方を教え合うなど横の連携も深まった。



オリジナル管理表でアプリの能力を最大化

さらに番場さんがつくったのが、ダンドリワークと連動するエクセルの「案件管理表」だ。着工日と完工予定日のほか、実行予算入力、補助金申請、建材や設備の発注、施工図・仕上げ表作成、工程表作成といった全スケジュールが一覧で示され、1週間前になると青、期限切れになると赤で表示される。ずらりと並ぶ案件の中で、今どの案件の何をすべきか、何が遅れているのかが一目瞭然だ。

ダイケンリフォームでは、ダンドリワークを核とした現場運用システムを練り上げることで、遠隔での管理を可能にしているのだ。



現調時からチェックリストでモレを防ぐ

番場さんは現調用にもチェックリストを作成。「新人時代に自分で考えながらやっていたことを全部リスト化して、新人でもすぐに対応できるシステムにしました」。項目を詳細に洗い出してから、そぎ落としてできるだけシンプルにすることが、実用的なリストにするポイントだという。



《オリジナルシステム》

完工までの日程が一覧でわかる「案件管理表」

管理アプリ「ダンドリワーク」を使う前提で番場さんが作成したエクセルの「案件管理表」。ダンドリワークと連動するように案件ごとの全スケジュールを入力する。1週間前になると青で、期限切れすると赤で表示されるので、担当者本人だけでなく管理者も、要注意案件がすぐにわかる。


チェックリストで提出漏れを防ぐ「提出書類確認リスト」

ダイケンリフォームが紙で運用しているのが、進行に従って都度、上長の承認印を受ける「提出書類確認リスト」。段階ごとのチェックリストになっておりモレが生じにくい。こちらも「ダンドリワークUP状況」を確認する項目があるなど、ダンドリワークの使用を前提に番場さんが作成した。



《ダンドリワーク上》

「工事資料集」で工事マニュアルを協力会社と共有

共通仕様書のほか、養生、防水、さらに心構えを書いた「気配り宣言文」まで、現場ごとに必要なマニュアルを全てダンドリワーク上で協力会社と共有。1現場で10点以上をUPすることも珍しくない。誰が内容を確認したかもわかり便利だ。


現場入りや納品日時は「現場用チャット」で協力会社が直接書き込む

社内の案件担当者が発注をかけると、現場用チャットにメーカー担当者が納品日時を書き込み、それを職人がチェックして現場入り。チャット上で直接やり取りが完了するので、発注後、案件担当者はタッチせずとも現場が進行していく。



お話をうかがったのは…

大建建設 ダイケンリフォーム(新潟県新潟市)店長 番場和也さん

建築の専門学校を卒業後、リフォーム事業が本格始動したばかりの大建建設に自由度と勢いを感じて新卒入社。入社7年目に店長となり、社歴は13年目に突入。社内の現場管理運用のフォーマット化を担う。人づてにOBの施主が喜んでいることを知るのが何よりの喜び。



リフォマガ2021年9月号掲載



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