新型コロナウイルスの影響による家庭の巣籠現象で、家の中の物が一時的に増えたり、掃除や整理整頓に力を入れたりする家庭が増えている。収納を考える事は快適な暮らしの第1歩だ。無闇に物を入れるスペースを増やすのではなく、限られた空間を有効活用した本当に使いやすい収納リフォームのノウハウを紹介していく。
狭さを克服する収納リフォーム
~エコリフォーム(東京都江東区)~
施主がみな収納上手になる 収納例を示したリアルなスケッチ
エコリフォーム 阿部容子さんの『収納リフォームのコツ』
1 イメージがわくスケッチで提案
どこにどんなふうに物が納まるかを詳細に描いた手描きのパース図を施主に見せる。竣工後にいざ物を入れるとなった時にも施主の参考になる。
2 壁厚利用のニッチ収納をつくる
基本的に450㎜より150㎜の収納のほうが使いやすいと考える。特にキッチンは奥行のない物が多いため、ニッチ収納を多用する。
3 インテリアに馴染むようにする
例えば事例のO邸の場合、個室のクローゼットの扉は、クロスの色と合わせて白にした。キッチンのニッチ収納も同様に色を合わせた。
調味料などを一覧で見られる
浅くて面が広いニッチ収納を提案
「収納は容量があればいいわけではなく、使い勝手が第一」と話すエコリフォームの阿部容子さん。そこに置いてあるものはその場所で使うから、基本的にそこに収納する。限られたスペースで多用するのが壁厚を利用したニッチ収納だ。
キッチンなら家電や鍋、ごみ箱など奥行が必要なものは限られ、調味料や調理器具など浅い収納のほうが便利なものも多い。壁を広く使えば、料理好きで大量の調味料を持っていても全てを一覧収納できる。イメージを明確に持てるように、丁寧なイラストで施主と共有することも欠かさない阿部さんだ。
全ての収納プランのイメージをイラストで共有
造作の収納プランは全てスケッチに起こし、図面と組み合わせた見やすい提案書にして、家全体の収納のイメージを施主と共有する。「こんなふうになるんだ!」と喜ばれ、また実際に物を入れる際にも参考にできる優れものだ。
事例紹介
スケルトンリフォームで使いやすい「動線」と「収納」をゲット
大規模な間取り変更に合わせて、キッチンや玄関収納を充実させ、新たにWIC機能もプラスされたO邸。その収納をイラストとともに解説する。
デッドスペースも収納に生かし切る
家の中心に階段があり、リビングとダイニングキッチンが分断されていたO邸。LDKを一体にすべく、まずは階段を南西角に移動させ、1階の南側にLDK空間を集約。北側に90代のお母様が泊まれる個室を新設し、そのそばにトイレを移動させた。
トイレがあった玄関前のスペースは玄関クローゼットに生まれ変わり、玄関の収納力が大幅にアップした。また、家の中心に新たに入れたシステムキッチンまわりも、造作の収納によってキッチンに出ていたものがすっきりと納まった。
「変形の家に生じたちょっとしたデッドスペースも収納として生かし切りました」(阿部さん)。
50代夫婦の2人暮らしだが、近所に住むお母様と独立した息子さんがよく泊まりに来る。そのため、1階にお母様が泊まる部屋を設け、2階の子供部屋も維持しながらリノベーションした。
《キッチン》
家電からスパイス類まで出ていたものを全て収納
家の中心に既製品のシステムキッチンを入れて、壁厚を利用したニッチ収納をプラスした。キッチン背面中央には家電類を入れる収納も設けている。キッチンカウンターは二段にして、下段にリモコンや読みかけの新聞を入れられるようにした。
《玄関》
見せる収納の下駄箱と隠す収納のクローゼット
普段使いの靴を入れる玄関収納はあえてオープンに。側面には来客用のスリッパラックも取り付けてすっきり収納。玄関正面のトイレを移動させたので、空いたスペースをクローゼットにし、ここに季節の履物やコートなどは収納。
《書斎兼WIC》
書棚とポール+棚を新設し機能性が大幅アップ
寝室からしか出入りできなかった2階の書斎。階段を移動させたので、踊り場側にも出入口を設けることができた。ここに天井まである書棚と、衣類の収納スペースを造作。書斎がWICを兼ねるようになり、機能性がぐんとアップした。
お話をうかがったのは…
▲エコリフォーム(東京都江東区)インテリアコーディネーター 阿部容子さん
顧客の夢を一緒に叶えていく住まいづくりに興味を持ち、ゼネコン勤務を経て、エコリフォームに入社。勤続10年以上のベテラン。顧客の喜ぶ顔を励みに、日々リフォームプラン作成に励む。インテリアコーディネーターのほか、二級建築士やキッチンスペシャリストの資格も持つ。
リフォマガ2020年7月号掲載
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