施主の真のニーズを引き出すヒアリング手法 3

〝要望は全て話して下さい〟と打ち合わせ前に伝える

打ち合わせの際、施主は多かれ少なかれ自分の要望を飲み込んでしまうもの。

「こんな事を言って理解してもらえるだろうか」「予算的に無理だし」と心にブレーキをかけてしまう。

ただそうなるとプラン作りに大事なエッセンスがこぼれおちてしまい、当り障のないプラン提案に落ち着いてしまうもの。予算や工事の可否はまず一旦考えず、施主の思いを汲み取る事を心掛けてみよう。


▲ウタグチシホ建築アトリエ(愛知県名古屋市)謡口志保さん

鳥取県出身。2002年に名古屋大学大学院を修了後、公共施設や集合住宅等を手掛ける設計事務所に入社。その後海外留学や転職を経て、2008年31歳の時にウタグチシホ建築アトリエとして独立する。住宅リフォーム・紛争処理支援センターの第36回住まいのリフォームコンクールにて、岡崎市で手掛けたリノベーション『窓辺の家』が住宅リフォーム部門優秀賞を受賞。



提案のヒントやエッセンスを取り逃さない

「予算や工事的に無理な点や矛盾があったりしても、まずは思っている事を全て吐き出してもらう事にしています。プランを作る際、何がヒントになるか分かりません。どんなに小さな事や抽象的な事でも一度受け止めます」と話すのは、施主の要望を汲み取りつつ、意表を突くような唯一無二の設計を得意とする建築家の謡口志保さん。

顧客に思いを全て吐き出してもらったら、そこから大事な要素を吸い上げ、7〜8個のキーワードに要約する作業を行う。

それらのキーワードと物件の特徴や制限をかけ合わせながら、既存物件のポテンシャルを引き出すようなコンセプト作りを行う。このコンセプト作りが設計者としての腕の見せ所になる。ゾーニングやプランを作る過程で迷った際も、コンセプトがある事で立ち戻る事が可能になる。

ヒアリングの際は、施主が発した言葉の行間を想像している。例えば施主が「20畳のリビングが欲しい」と要望しても、たまたま数字に置き換えて言っているだけの事も多い。

「数字の向こう側にあるやりたい事が見えてくると、20畳に限らない事が多々あります」

出てくる言葉の真意を探り、さらにそれらの要望を俯瞰して整理する事が、設計者の大事な仕事と言えそうだ。



《事例紹介》

角部屋の利点を生かした窓辺の風景が繋がる家

物件は、角部屋で日当たりと眺望の良さが特長。ただ施工前は、それぞれの部屋が独立しており、空間がぶつ切れになっている印象だった。

施主からはライフスタイルの変化によって「間取りが柔軟に変更できる家」にしたいという要望があったため、中央に閉じた収納を配置し、間仕切りで空間を区切って使えるような回遊性と可変性が共存する家を提案した。

また共働きのため、家事ストレスの軽減もリノベーションの目的となった。


●物件概要
所在地:愛知県岡崎市
専有面積:79.19平方メートル
構造・規模:鉄骨鉄筋コンクリート造11階建ての3階部分
竣工時期:1985年
リノベーション施工:有限会社新明ハウス 担当/井上裕木

▲角部屋という利点を生かし、窓辺に寄り添う暮らしを提案した。

▲〝へそ収納〟を中心とした回遊性の高いプランに。家族それぞれの生活場所が部屋ではなく、スペースとして窓辺に沿って緩やかに繋がる。

▲リビングを想定した〝くつろぎスペース〟からは公園を眺める。

▲キッチン側からはへそ収納を介し、子供スペースに目が行き届く。

▲引き戸収納時は家族全体がひとつながりの空間に。

▲引き戸を使用すると個室が作れ簡単に間取り変更ができる。



謡口さんの仕事アイテム

商談やプラン作りで謡口さんが使用しているアイテムを紹介してもらった。

▲「窓辺の家」では、3辺の壁に景色を取り込みながら、収納やディスプレイをどう設えるか、展開図にしてプレゼン。より、窓辺の暮らしを楽しめるような設計提案に繋がった。

▲施主の好みを把握し話のきっかけを作るため、事例写真も欠かせない。謡口さんは、これまでの施工写真を部位別にまとめた冊子を制作している。

▲日頃イメージやスケッチをざっくりと書く際は、MOLESKINEの5mm方眼ノートとSTAEDTLERの0.7mm芯のシャープペンシルを愛用している。

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