成約率をUPさせて、目標を達成する方法

営業である以上、ついてまわるのが目標数字。集客が上手くいかず引 き合い数が少ない、競合企業が多すぎて成約に結びつかないといった理 由で、毎月頭を悩ませている営業担当者も多いのではないだろうか。毎 月数字をクリアする営業が実践する、施主の心を動かし、最後の最後 で選ばれる営業術を聞いた。


1つの案件を成功させる事が 目標達成の近道

トップ営業に共通するのは、営業マン自らの都合ではなく、何事も顧客目線で動き、相手が喜ぶポイントを押さえている点だ。目標を達成したいと思うあまり、目の前の顧客に不誠実な対応をしてしまっていないだろうか。一見遠回りに見えるかもしれないが、今いる顧客に本当に喜ばれ、信頼される仕事をする事が受注の決め手や、未来の仕事に繋がる。常に数字をクリアする営業達の、1つの案件にかける意気込みは、凄まじいものがある。彼らの成功体験それぞれに、目標達成の秘訣が隠されている。


●成約率をUPさせる●

~プランや金額以外に、営業マンの対応が決め手になる~

顧客目線の徹底で入社以来、毎年営業数字をクリア!

サンリフォーム(本社:大阪府大阪市) 田尻 祥記さん

現在29歳。リフォーム営業歴は4年目になる。前職はリフォーム会社で施工管理業務に従事しており、現場知識に長ける。常に顧客目線の営業活動を心掛け、前期は年間5,824 万円の売上で目標に対し105.9%で達成。入社1年目から目標数字を毎年クリアしている。趣味はスノーボードや旅行。


フレーミング効果を活用し 自社の優位性を伝える

「〝絶対に落とせない!〞と決めた案件の成約率は80〜 90%。先月もそれらの重要な案件は5件中、全て契約しました」と話すのは、マンションリフォーム専門店・サンリフォーム(本社・大阪府)でリフォーム営業歴4年目の田尻祥記さん。前期の年間売上は5、824万で目標の105・9%で達成。(※同社では、案件に携わった営業・プランナー・サポート等の仕事内容や量に応じ、スタッフ間で受注金額を個人の数字として振り分ける仕組み。そのため実際は、営業の田尻さんが個人で1億円近く売り上げている)


田尻さんが在籍する大阪店では、2〜3人の営業マン毎にチームが組まれている。週に1回、絶対に落とせない案件をどう契約まで導くかの戦略をチームで練るという。「重要案件に定めるのは、完工月が決まっていて、且つ予算が明確になっているお客様の案件。あのお客様には、どんな提案が響くのか、1案件毎に作戦を練り考え抜きます」そういった案件が手元に常に3〜4件あり、社内で戦略や状況を共有し合う仕組み作りがなされている。戦略を練る上でポイントとなるのが、心理学のフレーミング効果を活用した営業トークや顧客への働きかけだ。


同じ物事でも伝え方を工夫しフレーミング効果を活用する事で、今まで顧客になかった価値観を気付かせたり、会社や営業マン自身にポジティブな印象を持ってもらえたりする。競合他社が多数おり、金額やプラン、会社の規模で差別化を図る事が難しい場合も多い。そんな中、契約の最後の決め手になるのが、営業マンとして顧客に信頼してもらえるかどうかだ。様々な営業シーンにおいて、顧客目線に立った営業トークや働きかけを行う田尻さんの取り組みを紹介する。



顧客との信頼関係を築き、成約率をUPさせる

3つのポイント


ポイント1

「見積もりの出し方を工夫して 後から金額でがっかりさせない

金額ではなく内容で比較してもらう

「間取変更のようなリフォームは一生に一回の事。不安な事は絶対にあるはずです。お客様の目線に立つ事を第一に考えています」田尻さんは特に顧客の金額に対する不信感を取り払う事を心掛けている。「見積もりの金額が契約時より上がってしまうのでは?といった不安を取り除き、どうしたらお客様から信頼してもらえるか?という事を考えています。」


 例えば最初に提出する見積もりは敢えて+αで費用が発生するオプション類を付けた金額で提出している。 「メーカーから最初に出される見積もりは標準工事のみで、金額が抑えられている事が多いです。ところがショールームに行くと、色々なオプ ションを付けたくなるので、結局金額はアップしがちです。たまに〝他社さんはこれだけ安いんですよ〟と標準工事のみの安い見積書を見せて頂きますが、その際は、〝金額だけでなく見積もりの中身まで見ていますか?〟と内容を比較して頂きます」それが逆にこの営業マンはそこまで考えてくれていたんだという好印象に繋がる。 また商談時に変更があった際は、見積書の更新もこまめに行う。施主の知らぬ間に金額が膨れ上がる事を防止する。見積もりも一式ではなく、商品代金と工事代金を分けて、変更しやすいよう配慮する。


ポイント2

「工事の「出来る・ 出来ない」を 予め確認しておく」

無償で床材をめくり、段差解消を確約

マンションリフォームの案件で、リビングと廊下の段差をなくしたいという要望を持つ施主がいた。犬を飼っているお宅で、現状では、その犬のために段差解消のためのスロープを付けていた。ところがその現場は、廊下の下に配管が通っている可能性があり、段差を解消出来ると確約出来ない状況だった。


 競合他社の営業マンは、段差を解消出来るかどうかは工事 してみないと分からないという反応だったという。契約し着工してから段差解消出来ないと判明すれば、後悔が生まれてしま う。そこで田尻さんは、無償で廊下の床をめくらせてもらい、段差が解消出来るかどうか事前に確認するという1歩踏み込んだ提案を施主に行なった。事前に配管の状況を確認する事で、段差を解消出来る事が明確に。見事、契約となった。


ポイント3

転職のきっかけや 仕事への思いを伝える

70万円の差があっても契約

他社より見積もり金額が70万円ほど高くなってしまったが、契約を決めてもらった案件がある。その案件は800万円ほどのリフォーム。当初、競合会社は4社ほどで、見積もり提出まで残ったのは3社だった。最終的に、同じような規模の会社と一騎打ちになった。プラン内容の差はそこまでなかったものの、金額は他社の方が70万円も安く、田尻さんは契約は難しいかもしれないと感じていた。その矢先、ふとした時に顧客が競合他社の名前を漏らしてくれた。たまたま田尻さんが、その会社の存在や、営業と工事管理が分離した体制であるという情報をキャッチしていた事が勝因となった。田尻さんが伝えたのは前職での出来事だった。


田尻さんは、以前別の会社で工事管理の仕事をしており、営業から施工側に顧客の要望や情報が伝わり切らず、小さなクレームを発生させてしまった経験があった。サンリフォームでは営業マンが基本的に営業から工事管理まで一気通貫で担当するので、「言った事が職人に伝わっていない」という事態を防げる事を訴えた。最後の最後まで責任を持って自ら工事を見る事を強くPRし、その思いが顧客に通じ契約に至った。「クロージングでも、〝絶対に良いリフォームをさせてもらうので、僕に工事をさせてください!〟とお客様の目を見ながら心で訴えかけました。その気持ちが響いて選んで頂けたのだと思います。

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