いちから学ぶクロス張替え Step④クロス選びの注意点

クロス張替えのサイクルは平均10年と言われる。一度張り替えたら10年は同じ壁紙で過ごすので、施主にとってお気に入りの空間になるようなクロス選びを心掛けよう。選び方の基本ポイントを解説していこう。


◆アクセント映える提案を

リフォーム後に「変わり映えしなかった」と後悔するお客様が多い。そんな時はアクセントにお気に入りの柄を使うのがお勧めだ。部屋の一面や、ベッドヘッドの後ろ、リビングボードの後ろ、観葉植物を置くコーナー等、効果的な場所にアクセントクロスを採り入れよう。1面全体に貼らなくても、見切り材やモールを使うと自由に張ることができる。


◆実際に張るとサンプルより明るく見える

広い面積に張ると、サンプルで見るより明るく感じる。また、机上で色を確認すると、照明の色の影響を受けやすい。できれば大きいサンプルを実際に張る壁面に当てて確認を。A4判サンプルは1~2日で届くので、時間に余裕をもって打ち合わせをしよう。



◆実際に張るとサンプルより柄が小さく見える

花柄を選んだのに、張ったらドット柄になってしまった…ということがある。目の錯覚で、カタログの小さいサンプルで確認すると柄が実際より大きく感じる。アクセントにする柄なら冒険するくらいの気持ちで選ぼう。大柄なら90センチ幅の「巾成サンプル」を取り寄せると確実だ。


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安田建材(山口県長門市) 秋田徹夫さん

あらかじめ珍しい色や柄のクロスを職人と相談。部屋の用途に合わせ何種類か選んでおいた品番の中から、現場のフロアとコーディネートしたものをお客様へのおすすめ仕様として提案しています。せっかく張替えを決断されたのですから、似たようなクロスではなく、職人お墨付きという安心感の上で、自分がこだわって選んだクロスという「ちょっと特別感」を感じて頂けるように心掛けています。


BLUE GRID(広島県広島市) 渡辺司代表

マナトレーディングの輸入壁紙は、カーテンにも同じ柄があり、空間全体でコーディネートが出来ます。


望月商行(静岡県静岡市) 長島譲二さん

現場担当者(私)の場合、クレームが出ないよう厚みのあるクロスを使う事を優先するあまり、綺麗になったとは言ってもらえましたが、コーディネーターがワンポイント柄や色を入れる事でお客様は「すごく良くなった!」と喜んでおられました。




◆廃盤商品に注意

施主が迷いだすと朝から晩までクロス選びに時間を費やしてしまう事がある。迷うタイプのお客様には、お勧めクロスを準備しよう。2択か3択あれば決めやすい。「お手持ちの家具に合う」「吸放湿クロスの中から」などとお勧めの理由を添えよう。クロスは数年で廃盤になることが多い。有効期限ギリギリのカタログから選ぶと発注の時点で廃盤になっている事もあるのでクロス選びは注意しよう。


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菊地住建(福島県田村郡) 菊地和裕代表

以前クロスの廃盤により、部分張替えが出来なかった事があります。そこで、日頃から将来的に経年中のクロスの部分張替えを行えるよう3m位余分にお客様へお渡ししています。水回りは剥がれやすいので化粧パネルへの仕様変更や、単価を抑えたい場合は天井に量産クロスを使用してコストを調整するなどの一工夫をしています。




◆落ち着きを求める部屋は天井の色を抑える

天井のクロスは壁より明るくすると圧迫感が無いというが、寝室などには天井の色を壁より濃くすると落ち着きのある部屋になる。和室の天井が白かったら落ち着かないのと同じことだ。また、梁が多いマンションでは、天井と壁をどこで見切るか迷うことがある。天壁同じクロスを使うとすっきりとまとまる。


◆機能クロスを提案する

クロスは部屋の隅々まで張られていて、しかも面積が広いため、機能性クロスは部屋全体に効果が行き届く利点がある。現地調査の時に「湿気が多い」「ペットの傷がある」といった部屋の問題点をチェックして、必要あれば機能クロスを提案しよう。


◆光沢があるクロスは凹凸が目立つ

光が当たるとボードの継ぎ目や下地の凹凸が目立つクロスがあるので注意しよう。光沢があるクロスもそのひとつだ。光の影響を受けやすい箇所は天井に光が当たるシーリングライトがついていたり、ウォールウォッシャーライト(壁に光が当たる)がついている箇所。日光が奥まで差し込む部屋も注意。


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防長工務リフォームマイスター(山口県周南市) 田中香帆さん

以前お客様の選ばれたクロスで張り替えたため、クロスの厚みがなく下地をものすごく拾ってしまってやり直しになった事があります。また真っ白のクロスは落ち着かない部屋もあるため、少し色味のある白をオススメしています。余った材料は必要な方にはお渡しするようにしています。




【クローズアップ】困った時はアプリを活用してイメージ共有しよう

クロスの張り替えはイメージ共有が鍵。クロス選びに役立つアプリを紹介。

メガソフト『なぞってリフォーム』現場で撮影した写真に、内装メーカーのクロスや床材を貼り付けることができるiPad用アプリ『なぞってリフォーム』(メガソフト)が便利だ。パースや3Dパースを作成する必要がなく、現場で撮影したiPad上の写真の上から壁を指でなぞると好きな色や柄の壁紙に変更され、シミュレーションする事が出来る。選んだクロスはメーカー名と品番が表示される。現地調査の際、提案時に備えアングルに配慮した写真を撮っておこう。


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関不動産(千葉県習志野市) 櫻井陽子さん

アパートの家主様へ提案の際、プレゼンシートを作りお渡しした所、「そこまでしてくれなくても…」と大変喜んで頂けました。一般的に量産品のアイボリー系で張り替えてしまいがちな賃貸物件でもひと案件ごとに丁寧な対応を心掛けています。


矢田建設(神奈川県横浜市) 矢田拓巳代表

アクセントクロスを選ぶ際は、『RoomClip』のサイトでインテリアのイメージを先に確認してもらうようにしています。



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