【内装仕上げ】松岡 毅さん(46歳)
「お客様は一生に何回壁紙を張り替えるのだろう」
常に改まった気持ちで仕事に臨む
リフォームの営業担当者にとって、熟練の職人さんは大切なパートナー。そんな凄腕の職人さんを紹介するこのコーナー。今回登場するのは異色の経歴を持つ、内装仕上げのプロフェッショナルだ。
絶対クレームをもらわないように
「僕は毎日クロスに接していますが、お客様は死ぬまでの間に、何回壁紙を張り替えるんだろうと思うんです。その数回の内の1回だとしたら、改まった気持ちで施工しないと失礼。そうした気持ちを持って仕事に臨むようにしています」。そう話すのは内装仕上げのプロ、松岡毅さんだ。
常に100点に近づけられるよう、絶対クレームをもらわないようにという気持ちを持って作業する。例えば、天井は横からの光を拾いやすく、段差の影が出る。天井の下地がコンクリートの直天井のような時は下地がでこぼこしている場合がある。すると、松岡さんはそこを手で撫で、小さな段差を確認。1カ所ずつ丸を付け、パテでならしてから、ヤスリで研いだ後に張る。それでもダメなら天井に残っているクロスの裏紙を剥がして、コンクリートの上に下地を作ることから始める。
「もちろん費用がかかることなので営業さんに相談します。お客様が納得し、自分も納得できるように、営業さんには交渉をお願いしています」
一級技能検定合格はお客様の安心につながる
松岡さんは38歳の時、知人の勧めで「一級表装技能士」の資格を取得。和紙、織物、ビニールなど色々な素材の壁紙を張る課題や筆記試験に挑戦し、見事合格した。
「資格を持っているとお客様が安心します。その安心感により、僕自身も仕事がしやすくなりました。お客様に信頼してもらえることが増えました。」 資格を持っていることを公表することは、自分を奮い立たせる要素にもなっていると松岡さん。
「公表したからには、仕上げに期待がかかる。自分のモチベーションを保つためにも、資格を取得してよかったと思っています」
張り替えないところも修正
張り替えない予定の天井の壁紙は、継ぎ目の部分が剥がれてきていたため、パテで補修した
内装のことなんでもやります!
車椅子が入れるようにトイレを改修した際、ドアの取っ手が壁に当たったため、大工が穴を開けた。松岡さんは穴の中には塩化ビニールのシートを、周囲には階段の滑り止めを張り、手近にあるものでぱぱっと見栄えを良くした
松岡さんからリフォーム営業担当者にメッセージ
いつも感謝しています
施主さんと綿密に打ち合わせをし、どういう理由で内装を変えたいか、はっきり伝えてもらえる営業さんには感謝しています。どこに重点をおいて作業をしたらいいかわかりますし、とてもやりやすいですね。
こうしてもらうと助かるなぁ
作業初日の朝には現場に来て、施主さんに挨拶してもらえると助かります。顔を知らない職人が朝、ピンポン押して「はじめまして」と言っても、施主さんは不安になる。立ち会えない場合は、前日に電話を入れてもらうだけでも印象が違うと思います。
こだわる?安くあげた方がいい?
こちらが良かれと思って施工しても、施主さんにとっては「そこまでやらなくてよかった」というケースもあります。安さ優先なのか、こだわりがあるかなど、施主さんの意向を教えてもらえると助かりますね。
推薦の言葉
アキ設計 代表取締役 池上 裕子さん
松岡さんが、まだ実家のリフォーム会社の仕事を手伝っていた頃から「とても手先が器用な人だな」と感じていました。
それで、まだ経験が浅かったけれど、彼に1軒丸ごと内装工事をお願いしたのです。 結果は大正解でした。仕事は丁寧で、細かいところにまで気が付いて、お客様にも喜ばれました。
松岡さんの素晴らしいところは、とても素直でなんでも勉強しようという意欲があるところです。
設計者の難しい提案に対して、ただ「これは無理」と言う職人さんもいますが、松岡さんにはそれがありません。
こちらの提案を形にするためにはどうすればよいか、より良くなる方法を一緒に考えてくれます。
リフォームの提案をする設計者としては、内装についてもお客様に適格なアドバイスをしたいと思っていますが、迷う部分もあります。設計者は毎日内装材に触れているわけではありませんから。そういうときに、松岡さんはとても相談しやすいので、内装のプロとしての意見をよくもらっています。
お客様の満足のために、松岡さんはこれからも一緒に仕事をしていきたい素晴らしいパートナーだと思っています。
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