いちから学ぶクロス張替え Step②現場調査で確認すること

クロスを美しく張り替えられるかどうかは、現場調査にかかっている。下地や壁の状態をよくチェックして、工事内容を考えたりクロスを選定したりしよう。写真撮影する際はアクセントとなる箇所を意識しよう。機材の設置スペースや、作業スペースはあるかの確認も必要だ。


◆糊付け機械を置くスペースはあるか

糊付けの機械を置くスペースを工事前に決めておこう。戸建て住宅では屋外に置くことが多いが、雨の日対策も忘れずに。マンションの場合は室内に置くことになる。糊付けしたクロスを置くスペースも必要なので、一部屋使うことになる。


◆大掛かりな荷物の動はあるか

壁面に作業スペースを確保するため、部屋の中央に荷物を寄せる必要がある。ピアノがある場合は、施主に業者を手配して移動することを打診しよう。専門業者を呼ぶ場合は別途費用となる。


◆埃対策は万全に

クロス工事では剥がしの時やパテ処理で細かい埃がたつ。養生シートをしていても、隙間から入り込むので、パソコンや鳥かご、小動物などには特に気をつけたい。カーテンも外しておこう。


◆内部足場は必要か

吹き抜けなど、足場業者が組み立てる大掛かりな足場が必要な場所がないか確認しよう。階段は内装業者が組み立てる「ウマ足場」等で対応するのが一般的だ。


◆クロスの張り範囲

部分的な張替えは「入り隅から入り隅まで」が鉄則。施主と一緒に張替え範囲を確認しよう。「入り隅」とは壁と壁の二面が合わさる角が引っ込んでいる隅。ここで見切ると収まりが良い。対して「出隅」は壁と壁の二面が出っ張っている角の事を言う。


◆仕上がりを左右する下地の状態

多くの営業担当者が経験しているのが、壁が下地を拾ってしまい仕上がり凸凹するなど美観を損ねてしまったケース。事前に下地の状態を確認し、不陸やカビが生えているなど状態が悪い場合は下地から作り直す事もある。クロスは厚手のものや柄物・素材感のある物を選ぶと失敗が少ない。また過去に数回張替えた事がある現場だと下地を拾いやすいので張替え履歴も聞いておこう。既存のクロスが剥がしやすいかどうかの確認も必要だ。




【クローズアップ】仕上がりに悪影響を及ぼすケースはコレ!

下地の状態や不陸がないか事前によくチェックしよう。


クロスの下地の状態が悪い

クロスの下地の状態が悪い場合は下地のボードを張り替える必要がある。クロスの表面がカビていたり、水を吸い込んで膨らんでいたりするなどの状態が悪い場合は注意しよう。

~Voice~望月商行(静岡県静岡市)長島譲二さん

クロスを張替えと同時に照明器具のペンダントを天井直付けに変更したら、クロスの厚みが薄めだったため、照明器具周辺の天井の下地跡が出てしまいました。(配線の為、穴明けの復旧全パテした部分です)



照明が壁や天井に当たる

下地の不陸や凸凹感は照明を当てると目立ってしまう。間接照明や、壁を明るく照らすウォールウォッシャー照明、読書灯を計画している箇所は特に注意が必要だ。

~Voice~徳網建設(兵庫県豊岡市)河原英人さん

下地の状態を確認し、また出来ない時はその旨をお客様にお伝えするようにしています。



既存クロスが柄物の場合は注意

既存クロスが柄物の場合は、凹凸が柄に紛れてわかりにくいので、無地に張り替える時は要注意。「新規クロスにして凹凸が出た」ということになりかねない。

~Voixe~安田建材(山口県長門市)秋田徹夫さん

天井の張り替えで既設がテックス張りでした。工事のしやすさを優先してクロスの下地に軽量な4㎜の合板を使用したところ、照明を点灯したら合板の継ぎ目がくっきりと格子状に浮き上がってしまいました。早速施主に説明して謝り一応納得はしてもらいましたが、非常に気まずい雰囲気になりました。以後は極力仕上がりに影響の出ない様な下地材料の使用や凸凹の目立ちにくい柄のクロスを選択するようにしています。





そのままではクロス張りできない壁・天井材

化粧ベニヤ

合板の表面に塗装した「塗装合板」や木目の柄を印刷した薄紙を合板に接着した「プリント合板」など。経年劣化が進んでいる場合、下地の張り替えや重ね貼りが必要。



塗り壁

特に表面の砂がザラザラ落ちてくるような聚楽(じゅらく)壁をクロスにする例が多い。パテ処理をしてクロス張りするか、ベニヤを貼った状態でクロスを張る。



岩綿吸壁音板

表面加工されているため糊がつきづらく、端が剥がれたり浮いたりしてしまう。そのためベニヤを捨て貼りしてパテ処理の後クロス貼りになる。



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