外壁工事はプランニングや提案内容で差をつける事が難しい。また外装の劣化に伴い必要に迫られて行う工事のため、最低限の費用で済ませたいと考える顧客も中には多い。そのような中、いち早く差別化提案を行なうなど、他社と一線を画す取り組みを行う事で単価&契約率アップに成功している外装プレイヤーたちの最新の取り組みを紹介していく。
Case1
現場調査当日にその場で見積もり提出契約のチャンスを逃さず半期で既に6,000万円の受注
▲ミヤケン (群馬県前橋市)原田敬介 営業部主任
現在27歳。会社説明会でミヤケンの雰囲気に惹かれ入社。4月で丸5年になる。月間10~15棟の外壁塗装を担当し、今期は半期で6000万円を超える受注実績。同社は営業マンが11名在籍。年間800~900棟の外壁塗装を手掛ける。平均単価は屋根と外壁の塗り替えで、100~120万円ほど。趣味はフットサルやスノーボード。昨年の8月に結婚。
入念な事前準備を行いその場で正確に見積もる
群馬県トップの工事実績がある塗装専門店・ミヤケン(前橋市)の営業マン・原田敬介さんは、昨年から現場調査当日に、見積書の作成から提出まで行うスピード営業を実践している。かかる時間は、現場調査から見積もり作成、提出まで、2時間ほど。驚きの早さだ。
「問い合わせを頂いた瞬間が、お客様が一番塗り替え工事をやりたい時。見積もりの提出に1週間以上かかれば、せっかくの熱が冷め、契約が先延ばしになります。そこで会社全体で、現場調査を行ったその場で見積もりを作成し提出する事に挑戦しました」
同社では、2人1組で現場調査を行う。2人で採寸した後、1人が写真撮影や施主への現況説明を行う。その間にもう1人がiPadで見積もりを作成。印刷機でプリントし、その場で金額説明を行う。「もう見積もりもらえるの⁉」と驚く顧客も多い。
当初は「本当にその場で正確な見積もりを出せるの?」と社内でも懸念する声があった。実際にスピードを重視するあまり、付帯部の塗装など細かな項目に抜けがあり、着工してから発覚する事もあったそうだ。そのため原田さんは様々な改善を行った。
正確な見積もりを30〜40分ほどで即座に完成させるには、事前準備が鍵を握る。問合せがあった段階で、その家の外観をグーグルマップで確認。現時点で使われている外装材を確認し、修理内容を事前に想定。システム上で見積もり項目を考えられる限り設けておく。当日は、寸法を打ち込めば見積もり額が出る手筈だ。「必要のない項目を消していく作業の方が簡単です。今では消す項目が目に飛び込んできます(笑)」と原田さん。
こうした業務改善により、成約件数の2〜3割が現場調査当日に見積りを出し、その日に契約した案件だ。「お客様からの反応は良いですし、契約率も上がっています。また見積りを現場調査の後に即日提出するのと、1週間後に見積もりを提出するのでは、案件が廻るスピードが全然違いますので、営業効果を感じています」
原田さんが実践している営業時のひと工夫
Point①
テレビの大画面に撮影写真を写し現況を見てもらう
現場調査の際に撮影した写真は、カメラやスマホをテレビ画面と繋ぎその場で施主と一緒に確認。大画面で鮮明に映し出す事で、外装全体の様子や劣化部分がより伝わりやすく、見積もり内容の理解度もアップする。
▲付帯部の細かい傷みも確認 全景画像の他、細かい付帯部の傷みなどの現状を大画面で見てもらい、高耐久塗料や4回塗り提案に繋げる。
Point②
4回塗りの必要性は写真や言葉で説明し理解してもらう
同社では、外壁や屋根の4回塗りを標準仕様とし見積もり提出している。3回塗りと比較すると当然見積もりの金額もアップするため、「4回塗りの意味合いをどれだけ理解してもらえるかを大切にしている」と原田さんは話す。例えば実際に重ね塗りしている施工中の写真を施主に見せれば一目瞭然だ。重ね塗りした場合とそうでない場合における屋根材の塗料の染み込み方の違いを見てもらう。塗り回数が少ない場合の「剥がれやすい」「色のムラが出やすい」といったデメリットも伝えている。
Point③
色見本や施工事例を見せワクワク感を高める
原田さんの課題は、外壁の塗り替え工事を「やらなきゃ」から「やりたい!」とお施主様に思ってもらう事。現在は、色見本を見せながら打ち合わせを行ったり、自社の施工実績を見せたりする事で、塗り替えに対してワクワクしてもらえるような時間を設けている。
▲iPadには施工事例がカラー毎に保存されており、BeforeとAfterをそれぞれ見る事が可能だ。
Point④
外壁以外の工事内容+αで見積もる
外壁の塗り替え工事の他、水廻りのリフォームも手掛ける同社。見積書にはトイレやキッチン・洗面台等の交換工事の金額も補足で入れている。「中には興味を持って頂ける方もいますが、現時点では、10件中1件決まればいい方。外回りだけでなく、中もリフォーム出来ますというPRも兼ねて見積書に入れています」(原田さん)
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