リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書
第16回 屋根リフォーム
ドキッとする“解体あるある”を集めました
「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。
そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。
屋根リフォームは、屋根材の素材を明らかにすることがポイントです。というのも、一見同じ材質に見える屋根材でも、素材が違うことがあるからです。例えばスレート屋根の場合、アスベストが含まれているものを解体する場合は届け出を出す必要があります。また、リフォーム内容に応じたアスベスト対策をとらなければなりません。とはいえアスベストを使用していないからと安心するのは禁物です。事例1で紹介するノンアスベストの屋根材のように、大きな問題を抱えているものもあるからです。事前の調査で、どの屋根材が使用されているのか確認することが大切です。
《事例3》
瓦の下から大量の鳥の巣が…巣作り中のものもあった
巣作り中のものを撤去したら鳥獣保護法に触れるのでは?
瓦の葺き替え現場で瓦の撤去を始めたところ、いきなり問題が発生しました。瓦の下から大量の鳥の巣が出てきたのです。季節は春先でした。「まさかとは思うが、卵を産んでいたらどうしよう。いや、巣を作っている時でも巣を取ったらいけないんじゃなかったっけ?」
鳥の卵やひながいる巣を許可なく撤去すると、鳥獣保護法に触れて1年以下の懲役か100万円以下の罰金が科されると聞いていたため、内心穏やかではありません。職人に聞くと、「巣作り中らしいものはあったけど、古い巣と一緒に処分しましたよ」と言います。近くでは巣を壊されたスズメが激しく鳴いているし、「巣作り中ならいいのかなあ」と心配になってしまいました。
【解決策は?】巣作り中なら撤去しても大丈夫
鳥が屋根材の下などに巣を作るのは、ヘビなどの外敵や雨風から卵やヒナを守るためです。巣の中に卵やヒナがいた場合は不法に処分することができませんが、巣立ちの後の空になった巣は撤去できます。では卵を産むために巣作りをしている最中だったら撤去することはできるでしょうか。答えは「できる」です。親鳥が怒るかもしれませんが、構わず撤去しましょう。
鳥の巣は、一度作られたら繰り返し作られることが多いため、屋根を葺き替えたからと安心せず、巣を作りそうな場所にネットを張るなどの対策をとると良いでしょう。
▲鳥の巣は撤去できる時期とできない時期がある
【どうすれば事前にわかる?】巣作りしやすい場所をチェックしよう
鳥が屋根に巣を作ると、家の人は鳥の鳴き声に悩まされているはずです。しかし鳥の繁殖期が過ぎて静かになると、鳥のことはすっかり忘れてしまう人もいます。鳥の飛来が多い地域では、ヒアリング時に鳥害の有無を聞いてみるとよいでしょう。
現場調査時に屋根の様子を屋根カメラなどで撮影する時は、チェックポイントを押さえて撮影しましょう。
[こんな現場もあります]
鳥被害がある家は、太陽光パネルの下にも注意
太陽光パネルの下は、鳥にとっては外敵から巣を隠す絶好の場所のようです。鳥被害がある家に太陽光パネルがある時は要チェックです。特に金属屋根の場合、鳥のフンが溜まった部分にサビが出ているかもしれません。また大雨が降ると、パネル下の巣から木の枝などが流れて樋が詰まってしまうこともあります。
▲太陽光パネルの下は、鳥にとって外敵から巣を守りやすい場所
リフォマガ2024年8月号掲載
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