リフォーム解体新書~壁紙がきれいに剥がれず、細かくちぎれてしまう

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第13回 壁紙リフォーム(前編)



ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。

今回は壁紙工事の現場でありがちな事例を集めました。壁紙の張り替え工事は、解体するといっても壁紙を剥がすだけなので「開けてびっくり」ということは少ないように思いがち。しかし、「施工前の注意を怠ったがために再施工になってしまった」という話が多いのもこの壁紙工事です。図面で施工数量を計算するだけでなく、現場の状況を確認することが大切です。



《事例1》
壁紙がきれいに剥がれず、細かくちぎれてしまう

剥がしの作業が予定の何倍もかかってしまう?

築20年で初めて壁紙を張り替えるという戸建て住宅での話です。12月の寒い中での工事でしたが、「今年の正月はきれいな部屋で迎えられる」と施主は嬉しそうです。年末の工事は特に職人の手が不足しがちですが、なんとか工事の手を確保することができました。ところが…

家具移動を終えて壁紙剥がしにとりかかった職人が、「あ、全然剥がれない!これ、剥がすのにかなり時間がかかりそうだ」と困った様子。見ると、壁紙が細かくちぎれて一気に剥がすことができないようです。しかも「年内現場が詰まっているので、応援の人を呼べないですか?」と聞かれてしまいました。この時期に応援を頼むのは無理だし、どうしたらよいのでしょう。


【解決策は?】部屋を暖めて壁紙を湿らせてみる

冬場は低温に加えて空気が乾燥するため、壁紙が硬くなることがあります。特に年数が経った壁紙はそのような状態がより顕著に表れます。冬場であれば、低温と乾燥が大きな要因であることも考えられます。この場合は部屋を暖めること、壁を湿らせることが効果的です。ただし壁を湿らせることは思うよりも大変で、湿らせてもすぐに乾いてしまいがち。保湿剤を入れた水で湿らせるなどの工夫をすると良いでしょう。イラストでは霧吹きを使用していますが、濡らしたタオルなどを使う人もいます。

壁紙を剥がす際に埃が立つため、寒い時期でも窓や玄関を開け放して施工する現場が多いですが、このような現場で窓を閉め切るときは、埃の吸い込みに注意しましょう。

▲低温と乾燥により壁紙が剥がれにくい場合の対処


【どうすれば事前にわかる?】冬場の工事はリスクが高いので、現調時に剥がしてみるのが一番

壁紙が剥がれにくい大きな原因として、経年劣化が挙げられます。紫外線の熱を長期間浴びた壁紙の表面は硬くなり、剥がすとバリバリとちぎれてしまうことがよくあります。また、コンクリート壁に直に張られた壁紙もかなり厄介です。この2例は現場を見れば剥がしのリスクを予想することができるでしょう。

他にも、使用した糊の問題等、原因はいろいろありますが、壁紙職人の間で剥がしのリスクが大きいと言われているのは「冬場の工事」。冬は低温と乾燥のため、壁紙の表面だけではなく壁紙自体が硬くなってしまい、剥がすのに時間がかかってしまうというものです。現場調査の時に、試しに壁紙を少し剥がさせてもらえれば一番わかりやすいでしょう。



[こんな現場もあります]
壁紙を剥がしたら、もう一枚壁紙が出てきた

最近はDIYで壁紙を重ね張りする人が増えています。素人作業でもきれいに張られていて、現場調査で見抜けないほどの出来栄えの現場もあります。このような現場では通常よりも剥がし作業の手間に加えて廃棄量がかさみます。剥がし始めてから気が付いたのなら工程に狂いが生じるでしょう。また処分費も量によっては追加費用がかかるかもしれません。現場調査ではその点にも注意しましょう。便利なものが多くなると、現場調査も大変です。

▲上手に張られているため、剥がしてから気付くこともある



リフォマガ2024年5月号掲載



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