リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書
第10回 窓リフォーム
ドキッとする“解体あるある”を集めました
「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。
そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。
窓は建物の内部と外部の接点であり、思わぬところに外部からの被害が隠れている可能性があります。場合によってはサッシまわりの補修が入ることもあります。また失敗例として、建物の構造とサッシのミスマッチにより起こってしまった解体時のアクシデントを紹介しています。現場調査をしっかり行うことで、解体時のドッキリも少なくなるはずです。
《事例1》
窓上の「まぐさ」がボロボロで、シャッター交換ができない
このままでは新しいシャッターを固定できない
窓のシャッターを交換する工事で、予期せぬことが起こってしまい、工事がストップしてしまいました。既存シャッターを外したところ、窓上の横架材である「まぐさ」が黒く変色して傷んでいることが分かったのです。
「まぐさ」はシャッターを固定する下地材としても重要な部材で、このままの状態では新規のシャッターを取り付けることができません。「まぐさ」を新しいものに交換するとなると、今付いているサッシを付けたままでできるのだろうか。もしサッシを一旦外すことになった場合、再度取り付けることができるのだろうか。また外壁の補修も必要になるのではなかろうか…と、あれこれ考えて真っ青になってしまいました。
【解決策は?】「まぐさ」とサッシを交換する
このままでは、窓上の横架材である「まぐさ」にシャッターボックスを安全に固定することができません。このような状態になっていたら「まぐさ」を新しいものに交換しなくてはなりません。サッシを外さないと作業ができませんが、しっかり固定されたサッシをバールで外すため、枠が歪むなどのダメージを受けてしまいます。もったいないのですが、再度はめ直すことはできず、新規サッシを取り寄せることになります。
▲サッシは再利用できなくなるが、撤去しないと「まぐさ」交換ができない
【どうすれば事前にわかる?】窓まわりの室内壁に異常なシミやカビがあれば原因を突き止める
木が腐るほど傷む時は、他の部位にも影響があると考えられます。大雨などで一気に水が入り込めば住人もわかるでしょうが、じわじわと水がしみ込んでいる場合は、気がついた時には大事になっているかもしれません。窓の周囲の室内壁にシミやカビが発生していたら、シャッター裏の防水処理不足を疑ってみましょう。イラストのように、シャッターボックス裏の防水に問題があると、スラット部分に雨水をつけたまま巻き上げることで水分が木部にしみ込んでしまいます。
▲シャッターボックス裏の防水が不完全だったことが原因
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かつて時間をかけずにパッと貼れるというサイディングが流行ったが…
1990年代にアルミサイディングで外壁リフォームしていた家での話です。現在主流の金属サイディングカバー工法と違い、ヒビが入ったり汚れたりした外壁を、アルミサイディングでパッと隠してきれいにするという、主に美観目的のもので、その手軽さとCM効果で大流行しました。
ところがその家では、あちこちの窓枠まわりから室内に雨水がまわり込む不具合がありました。窓交換を希望していましたので確認すると、窓には窓専用のアルミカバーがはまっているだけで防水処理をしていません。建物自体の劣化も顕著で、不具合を直すだけでかなりの金額になることがわかりました。結果そのお宅では築年数も考慮して建て替えることに。窓まわりの防水は建物の寿命をも短くするという事例です。
リフォマガ2024年2月号掲載
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