リフォーム解体新書~ノンレールサッシは鉄骨住宅には付けられない?

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第10回 窓リフォーム



ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。

窓は建物の内部と外部の接点であり、思わぬところに外部からの被害が隠れている可能性があります。場合によってはサッシまわりの補修が入ることもあります。また失敗例として、建物の構造とサッシのミスマッチにより起こってしまった解体時のアクシデントを紹介しています。現場調査をしっかり行うことで、解体時のドッキリも少なくなるはずです。



《事例2》
ノンレールサッシは鉄骨住宅には付けられない?

リビングとウッドデッキを段差なくつなげたいのに…

車椅子でウッドデッキに出られるようにしたいというご希望に対し、提案したのが「ノンレールサッシ」を使った窓リフォームでした。今付いている掃き出し窓を、レールがほぼフラットの「ノンレールサッシ」に交換することで、室内床とウッドデッキの高さを合わせることが出来るからです。

ところが解体が始まった途端、問題が起きました。サッシ枠を外そうとしていた職人が、「これ、鉄骨が出てきたけど、鉄骨造なの?ノンレールは付けられないと思うよ」と言ってきたのです。慌ててサッシメーカーに問い合わせたところ、鉄骨造のリフォームには対応していないという返事が返ってきました。



【解決策は?】既存の掃き出し窓でも車椅子で出られる工夫を

鉄骨造でも新築では室内外をノンレールのサッシでつなぐことができますが、リフォームでは対応品が無いのが現状です。なので、既存の掃き出し窓のできるだけ高い位置、通常はサッシ枠の下端にウッドデッキの高さを合わせます。イラストのようにそれ以上高い位置にすることもできなくはないですが、大雨の時に室内に雨水が入り込む、網戸が外せなくなる、サッシ枠とウッドデッキの隙間に杖がはまってしまう等の心配があります。

そこで考えたいのはウッドデッキの選び方。今は車椅子で掃き出し窓から外に出ることを想定して作られているウッドデッキもありますので、商品選びで対策を。

▲掃き出し窓の場合、ウッドデッキの高さを室内床に合わせるのは難しい


【どうすれば事前にわかる?】構造により違いがあるのでサッシ選びに注意

リフォームをする家の構造は、最初に知っておくべき重要な情報です。特にサッシの交換は構造によって出来ることと出来ないことがありますので、提案の前にメーカーなどに確認を取ることが必要です。さらにこの現場の場合、職人が事前に建物の構造を知っていなかったということで、着工前の打ち合わせが不十分だったことも問題です。

新規に取り付けるはずだった「ノンレールサッシ」は、2×4を含む木造の家ならリフォーム対応の部材もあるので使用できます。またRC造の建物に対応するメーカーの商品もありますが、サッシ枠の幅によっては設置できないため、確認の上提案するようにしましょう。



[鉄骨の家ではこんなこともあります]
窓上の壁にカーテンレールを付ける時、固定する下地が無くて困ることがある

鉄骨住宅の窓リフォームでは他にも注意することがあります。カーテンレールを窓枠より上の壁に取り付けようとしたところ、ビスを留める下地がなくて設置できず、あわてて下地を入れることがあります。木造住宅のように、柱や間柱にビス留めすることができないからです。

最近建てられた鉄骨住宅では、カーテンレールを付けることを想定してあらかじめ木下地を入れていますが、リフォームの現場では木下地が入っていない場合が多いので、必ず下地の有無をチェックしましょう。

▲柱や間柱が鉄骨のため、金具を留めることができない



リフォマガ2024年2月号掲載



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