リフォーム解体新書~建物に歪みがあり、予定していた幅の建具が納まらない

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第9回 建具リフォーム



ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり!」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。

建具リフォームでの解体あるあるポイントは、建物の構造の違いや建てられた年代によって建具の違いがあることです。現場調査をする前に建物の構造や年代をチェックして、確認するポイントを押さえておきましょう。

今回は、築年数がだいぶ経って建物に歪みが生じている住宅の建具と、マンションのコンクリートの壁に納められた建具枠、そして古民家で起きたびっくり体験を紹介します。



《事例 1》
建物に歪みがあり、予定していた幅の建具が納まらない

建具の幅を狭くするしかない?

築年数が30年ほど経っている木造住宅で、交換する予定の片開き戸が若干傾いていることに気が付きました。水平垂直を調べるためレーザーを当ててみたところ、最大2センチほど建具枠に傾きがあります。

職人は「築年数が経っていると、建物に歪みが生じてくるので、開口部に合わせて新しい建具を発注するしかないよ」と言います。「開口部に合わせるってどういうことですか」と尋ねると、「建物が歪んでいても建具は垂直に立てなければならない。だから斜めになっている開口の中で垂直に立てられる最大幅の建具枠を発注することになる。新しい建具は若干既存の建具より幅が狭くなるよ」とのこと。事前の調査の大切さを実感しました。


【解決策は?】既存枠に合わせて建具のみ交換するか建具枠を入れ替えるか

この例のように、既存建具の開口部が垂直に立っていないことはよくあることです。

解決策①

既存の建具枠をそのまま利用して、建具を開口部に合わせて作って吊りこむ方法です。建具屋に依頼します。建具の開口幅を狭くしたくない場合や、部屋の壁装材をそのまま使う場合に適しています。

解決策②

建具枠を入れ替える方法です。既存枠を外して枠と建具をセットで交換する場合は、イラストのように、開口部に建具を垂直に入れられる最大のサイズを測り、隙間にパッキンなどを入れます。たいこ・つづみ※ねじれといった不具合が起こらないように調整し、補修した部分を隠すために壁装材の補修または必要に応じてケーシング枠を用います。メーカー品の建具はこの方法になります。

解決策③

既存の建具枠に被せることで、歪みの微調整までできる、リフォーム用の建具枠と建具のセットが商品化されています。この場合は既存枠を外さずに建具と同色の枠にすることができます。

▲新規のメーカー品建具は垂直に立てる。開口部との隙間はパッキンを入れて調整する


【どうすれば事前にわかる?】レーザーを用いて調査する

築年数が経った建物は歪みが生じていることも多いのですが、どんなに歪んでいる建物でも新たに入れる建具は垂直に立てることになります。住んでいる人が家の歪みに気付かずにいる場合、「あれ、新しいドアが歪んでいるぞ」ということにもなりかねません。既存の建具や柱の歪みを調査する際は、施主と一緒に確認を。調査ではレーザーを用いると、垂直であるかどうかが一目瞭然にわかります。



[用語解説]たいこ・つづみ※

建具の枠がたわんでしまう状態のことです。隙間に入れるパッキンやかいぎ飼木の微調整がうまくいかず、枠がたわんでしまう状態を和楽器に例えています。太鼓のように縦の枠が外側にたわむことを「たいこ」、反対に縦の枠が内側にたわむことを「つづみ」といいます。たいこやつづみなどの不具合が出ないようにするには、メーカーの施工要領を確認し、次のことに注意しましょう。

①枠を柱間に納める際に、水平垂直を出しながら固定する②建具枠の下地材には、乾燥した材を使用③調整するかいぎ飼木やパッキンの厚みに注意。

▲新規のメーカー品建具は垂直に立てる。開口部との隙間はパッキンを入れて調整する



リフォマガ2024年1月号掲載



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