リフォーム解体新書～建具枠がコンクリートに埋まって取れない！

リフォーム現場のトラブル解決
リフォーム解体新書

第9回　建具リフォーム

ドキッとする“解体あるある”を集めました

「工事現場は場数を踏んで覚えるもの」と言われますが、現場の数だけ発見があると言えるくらい個々に違いがあります。中には「解体してびっくり！」ということもあるでしょう。

そこで、場数をたくさん踏まずとも「見えない必要工事」を予測できるよう、工事現場にありがちな解体あるあるを集めてみました。

建具リフォームでの解体あるあるポイントは、建物の構造の違いや建てられた年代によって建具の違いがあることです。現場調査をする前に建物の構造や年代をチェックして、確認するポイントを押さえておきましょう。

今回は、築年数がだいぶ経って建物に歪みが生じている住宅の建具と、マンションのコンクリートの壁に納められた建具枠、そして古民家で起きたびっくり体験を紹介します。

《事例 2》
建具枠がコンクリートに埋まって取れない！

もしかして鉄枠？

マンションで、交換しようとしたトアのドア枠が壁に埋まっていて取れません。枠が鉄製で、コンクリート壁に埋まっています。メーカー品の既製の扉に交換する予定でしたので、枠をそのままに、建具だけを交換できないかと業者に相談しましたが、メーカー品の建具の丁番やラッチの位置は、枠に合わせられないとのこと。

大工さんは「この鉄枠は壁の強度に関係ない枠なので、どうしても外す必要があれば外してもいいよ」と言ってくれていますが、取ってしまって大丈夫なのか、また取り外したあとはきれいに納まるものか、そもそもコンクリートに木製の枠を付けられるのか、あれこれ考えて心配になってしまいました。

【解決策は？】既製品の建具を入れるなら金属枠を外す

建具枠が鉄枠で壁に埋め込まれている場合、外すのも大変、壁を補修するのも大変です。鉄枠を塗装して、建具をオーダーで作って吊りこむ方法をとるのが無難ですが、枠と建具がセットになっているメーカー品を入れるなら、金属枠を外すこともあります。最近はカバー工法の商品で、枠と建具がセットになっている商品もありますが、建具の幅が狭くなるデメリットもあります。

鉄枠を外す場合は、コンクリートの開口部と枠との取り合いに使われているモルタルを落として、鉄枠を取り出します。モルタルを補修して乾燥させてから、コンクリート用のビスで木製建具を取り付けます。

▲モルタルで補修し十分乾燥させてから枠を取り付ける

【どうすれば事前にわかる？】RC造・SRC造の建物は要注意

鉄筋コンクリート造（RC）、鉄骨鉄筋コンクリート造（SRC）の建物には鉄製の建具枠が使用されていることがありますので、現場確認の時に要チェックです。また、マンションで金属製の収納扉を見かけることがよくありますが、この場合も枠が埋め込みになっている可能性が高いです。

建具と同じ木目の枠でも、建具と鉄枠に同じ木目のダイノックシートを貼っている場合はわかりづらいので、爪で枠をコツコツと叩いて金属か木製か確認してみると良いでしょう。

［こんな現場もあります］
コンクリート壁に直接建具の金物を埋め込んでいる

今のように建材メーカーの既成品の建具が無い時代は、引き戸はもちろんのこと、開き扉にも建具枠は使われていませんでした。丁番などの金具を柱に直接取り付けて、建具屋さんが作る開き戸を吊りこんでいました。

このように建具屋さんが作った建具を躯体に直接取り付けるという方法は、木造住宅以外でも採用されていることがあります。

イラストのように鉄筋コンクリート（RC）造の戸建て住宅で、躯体に直接建具を取り付けていることもあります。この場合は丁番やラッチがモルタルで固められています。

▲コンクリート壁に直接建具の金物を埋め込んでいる

リフォマガ2024年1月号掲載

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