【家具職人】菅谷哲男さん(47歳)
リフォームの営業担当者にとって、熟練の職人さんは大切なパートナー。今回登場するのは家具職人の菅谷哲男さん。高い技術力で、洗練された家具や建具を作り出す、スゴ腕の職人だ。
どんなに忙しくても
手間を惜しまないもの作り
家具や建具など、一般住宅から店舗の什器まで幅広く木工の仕事を請け負っている菅谷さん。
「仕事で大切にしているのは、忙しくても工程を省かないこと。当たり前のことなんですが、無垢材を扱う時は特に気を付けますね。自分が習ってきた作り方を崩さないようにしています」と話す。
例えば、機械で木材を削った後、鉋をかける前に水を塗る。この一手間を惜しまない。
「機械で削ると、木目が押されたままになり、そのままペーパーで削って塗装をすると、後から目が起きてきて表面がガサガサになります。一回水を塗って、わざと目を起こしてから鉋で削る。そうすると、着色した時の色合いがきれいに仕上がるんですよ」。
▲菅谷さんが制作したアイランド型のキッチン。木材は楢材。天板はステンレス
お客様の要望を
聞き出すのがカギ
家具はもちろん、キッチンや洗面台など、家具以外のものをオーダーされることもある。
「オーダー家具で一番大切なことは、お客様がどういうものを求めているか、丁寧にお聞きすることですね」と菅谷さん。「その上で、自分なりのデザインや工夫とバランスをとりながら、1つ1つ丁寧に作るようにしています」
仕事のエリアは横浜、逗子、葉山、鎌倉、三浦半島がメイン。「この辺りのお客様はこだわりの強い方が多い。職人さんも工務店やお客様に自分の意見も伝えながら、良い仕事をしていこうという意識が高い気がします」
今後は、オリジナル家具の制作に力を入れたいと考えている。
「リフォーム会社さんからの受注は、やりがいのある仕事です。一方で、完全に自分のオリジナルデザインで勝負してみたい気持ちもあります。今後の目標ですね」
▲テーブルの角を一カ所だけ、曲線的なデザインにすることを考案。右の写真は菅谷さんのスケッチ、下の写真は試作。ユニークな発想でもの作りをしている
▲通常、筍杢は、正面から見て左から右へ伸びて見えるように配置する(下写真)。上のローボードは、あえてシンメトリーになるように、右側の扉は右から伸びているようにデザインしている
▲ローボードの本体は無垢材。月日とともに水平方向に収縮してくるので、ベニアの棚板の溝の大きさを変えておく工夫も
▲ローボードを横から見ると、筍杢が下から上へ、水平へとキレイに流れているのがわかる
▲菅谷さんが愛用している鉋。小さな鉋は用途に合わせて、菅谷さんが手作りしたもの
推薦の言葉
Same Picture Company 施工管理 佐藤 智臣さん
一般住宅の新築やリフォーム、店舗設計などを手掛けるSame Picture Companyで施工管理をしています。
菅谷さんとは10代からの知り合いです。私も家具職人を目指していましたが、途中から総合的にものづくりをする、施工管理の仕事に進みました。現在は菅谷さんに仕事を依頼する間柄です。
菅谷さんは手仕上げの工房で修行をされてきただけあって、仕上げの質はピカイチです。手でかけた鉋のあとは、機械では出せない表情があります。我が家のキッチンも菅谷さんに作ってもらったほど、彼の技術を信頼しています。
今後は弊社のECサイトで菅谷さんの家具なども販売する予定です。一緒にデザインを考えながら進めていけたらと思っています。
菅谷さんからリフォーム営業担当者にメッセージ
「こうしてもらうと嬉しいなぁ」
職人として仕事を受ける場合に、お客様の好みのテイストや人物像、ライフスタイルを教えていただけると、作る時にイメージしやすく助かりますね。また、工務店さんや設計士さんとお互いに意見を出し合える現場は、より良いものが作れると感じています。職人の意見に耳を傾けていただくと、お客様への提案の幅も広がるきっかけになるのではと思います。
リフォマガ2023年7月号掲載
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