見積書=金額がわかるだけじゃない!
顧客が契約するかどうかの、大きな判断材料になる見積書。素人が見てもわかりやすく、必要事項の抜けがない資料に仕上げるのは難しい。
限られた時間で、精度の高い見積書をつくる達人5名は、どんな工夫をしているのか。実際の見積書をもとに、①準備、②見積書作成、③見積書提出の3つのSTEPで鍵になるポイントを聞いた。
《STEP1 準備》
抜けのない見積もりを作るには「現調から時間をあけない!」
現調後の見積もり作成は速やかに
達人は5人とも、現場調査後、時間を空けずに見積もり作成に取り掛かるべきだと話す。後回しにすればするほど、記憶は薄れる。すると、項目が抜けたり資料を見返したりと、ミスや手間の原因が増えてしまう。
現調後に時間が取れない場合でも、ナサホームの守行さんは最低限、大きな項目の入力だけは終えておくという。また、返答に時間を要するメーカーや職人への見積もり依頼も、極力その日のうちにしておくのがベストだ。
ライフプランでは水まわりの設備交換が多い。そのため武井さんは、商品ごとにベースとなる見積書を準備。オプションを聞き取って、すぐに見積書を作成し、提出スピードを上げている。
現調時に工程をメモ
取りこぼしをなくす
現場調査での採寸数字やヒアリング内容を記した図面は、見積もり作成の基盤になる。後から見てわかりやすいように、必要な工事をメモしておくと備忘録代わりに。オリバーの道順さんは窓や扉など、複数ある部位にナンバリングして、数え間違いを防いでいる。
初訪で不安を取り除き見積もりはシンプルに
ライフプランの武井さんは、初回訪問で工事の必要性を事細かに伝え、見積もりに納得してもらっている。
例えば、浴室の取り替えの場合だとこうだ。「築30年なので見えない配管も老朽化していますよ。配管を再利用すれば工事費が安く済みます。でも、お風呂を壊した時にしか、周りの配管は取り替えられないんです。せっかくきれいにしても、漏水リスクが残ります。一緒に更新した方が安心ですよ」(武井さん)
営業にとっては当たり前のことでも、噛み砕いて説明するのが重要だ。
「失敗したくない、と共感いただけると、この時点でほぼ弊社に頼みたいと思ってもらえます。なので、見積もりがシンプルでもスムーズなんです」と武井さん。
ナサホーム 守行さんの必要工事を見落とさないメモ
▲ポイント
現調時に、やらなければいけない工事の内容を図面にメモする。「お客様の要望や、寸法をただただメモするのではなく、見積もりの項目として記録に残します」(ナサホーム 守行さん)
見積書作成の達人5名に聞きました
ナサホーム(本社・大阪府大阪市)千里中央店 店長 守行一晃さん
大学では建築学科で学び、2013年にナサホームへ入社。営業10年目。2017年からは3年連続で、同社全社員内での顧客満足度1位を獲得した。
ライフプラン(栃木県小山市)専務 武井正浩さん
住宅設備流通の営業を経て、2010年にライフプランに入社。リフォーム営業歴12年。2019年からは親会社のヒタチ設備の社長も兼務。
オリバー(本社・富山県富山市)oliverリフォーム高岡店 主任 道順雷さん
高校時代からの自分の家を建てたいという夢と、営業をしたいという希望を叶えられると思い、オリバーに新卒入社。営業歴5年目。設備交換から外装、増改築まで幅広く担当する。
モリシタ・アット・リフォーム(兵庫県姫路市)リノベーション事業部 部長兼店長 佐伯直紀さん
入社20年目で店長も務めるプレイングマネジャー。2019年からは大規模リノベーションをメインに担当。今年1~8月までの平均単価は400万円。
駒商(兵庫県宝塚市)社長 駒走宜久さん
設備会社や左官会社の手伝いを経て、リフォーム会社の駒商を起業し17年目。今年6月までは営業も兼任していた。現在は経営に専念し、人員充実に注力する。
リフォマガ2022年12月号掲載
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