【THE SHOKUNIN】職人でも顧客の話に耳を傾け、リフォームの不安を解消

【壁紙職人】白河政好さん(47歳)

リフォームの営業担当者にとって、熟練の職人さんは大切なパートナー。今回登場するのは壁紙職人の白河政好さん。現場の整理整頓を心がけ、顧客の話にじっくり耳を傾けるプロフェッショナルだ。

▲ストライプの壁紙を張る白河さん。レーザーを使い、垂直になるように慎重に作業をする



顧客からの印象を大事に
常に細かい点まで気配り

大阪府枚方市の壁紙・クロス貼り替え専門店「ウォールクラフト」の経営者であり、職人でもある白河政好さん。

「お客様が職人の仕事をどんな風に見ているのか、空気感は常に感じるようにしていますね」と話す。

一般の顧客は、職人の技術的な良し悪しまではわからない。一方、「道具が汚い」「整理整頓できていない」など、誰が見てもわかることがある。「それも職人の評価の一つになると思うので、そういうところで信頼度を下げないよう、気配りをしています」

几帳面な白河さんは、四角形の部屋に斜めに道具が置いてあると、居心地が悪い。

「テレビのリモコンを真っ直ぐ置かないと落ち着かない人がいますが、あれと同じですね(笑)。現場がきれいに整頓されていると、作業効率もいいですし、家財を傷つけたり、道具を倒したりといったケースが少なくなります。お客様が見た時の印象も良くなると思います」



顧客の不安の要素はすべて話してもらう

ウォールクラフトにくる仕事の依頼は、現在リフォーム会社からが3割、直接顧客からが7割。顧客からはLINEからの問い合わせも多い。問い合わせには、早ければ30分以内に返答する。

「お客様は反応がないと不安になります。詳しい返答はできなくても、何かしら返信をすることが大切です」と白河さんは話す。

顧客と打ち合わせをする時、白河さんは喋りすぎないように気を付け、顧客の話をよく聞くことに徹する。

「リフォームが初めてのお客様もたくさんおられます。何か伝え忘れたために、リフォームが失敗するんじゃないかとか、心配される方もいます。思っていることをすべて話してもらうため、まずはしっかりお話を聞きます。そうすることで、満足をいただいていると感じます」



ミスをしたら誠実に説明
正直さが信頼につながる

以前、社員の職人が2階で作業中にバケツの水をこぼし、それが1階に滲み出たことがあった。連絡を受けた白河さんは最初に「お施主様(現場監督さん)に状況を正確に報告してください」と伝えた。

「自分たちよりの解釈で『大丈夫です』などと伝えずに、まずはきちんと説明して、対処方法を相談してくださいと、社員に話をしました」

こうした誠実な会社の態度に、顧客は納得。無事工事を終えることができた。

他には白河さんの仕事ぶりに大喜びした顧客が、そのまま夕食に誘ってくれたこともあった。「スタッフのこともすごく褒めていただいて嬉しかったです。今後も誠実な仕事を心がけていきたいです」と白河さんは話す。



▲白河さんの愛用の道具は、内装の仕事を始める時に会社から支給されたヘラ。「もう20年以上使っていますが、ボロボロになったのは使い始めてすぐのこと。施工先のお宅の犬がおもちゃだと思って噛んで遊んでしまったんです。おかげで新人時代も、ベテランの道具を使っているように見られていました。この道具だけはずっとなくさず手元にあります。これがなくなった時は、内装の仕事を辞める時かなと思うほど大事にしています」

▲白河さんが手がけたリフォーム工事の一例。元は茶色だった玄関収納や部屋の扉(上写真)。それを玄関収納は白、部屋の扉はグレーの粘着剤付き化粧フィルムを張った。「微細な埃やエアーなどが入らないように気を付けています。下地処理を入念にするのと、耐久性を出すため、接着補強のプライマー塗布は必ず行なっています(白河さん)



白河さんからリフォーム営業担当者にメッセージ

「こうしてもらうと嬉しいなぁ」

現場監督さんが不在で、「施主さんに聞いて、やっておいて」と言われる工事は難しいですね。最後まで詳細を決めきらないまま工事日になったと思うですが、監督さんから聞いていたことと、お客様の言うことが違っていて、トラブルが起きやすいです。お客様と最後まで話を詰めておいていただけると助かります。

僕は現場監督や営業さんにどんな工事なのか、詳しく聞きたいタイプ。それを嫌がらずに教えてもらえると助かります。確かに「プロだから、自分である程度想定して準備してほしい」という気持ちもわかります。しかし、行ってみたら「え!聞いていたことと違う」ということが多いんです。

あるとき、1人で1日で終わると言われていた現場に行ったら、3日くらいかかる仕事だったことがあります。職人1人あたり何㎡という単純計算では出せない作業もあることを、営業の方は知っておいてほしいと思います。


「工期管理は余裕を持って」

全体の工期が遅れてくると、最後の方に入る内装業者の作業時間が取れなくなってきます。営業の方は工期通りに終わらせたいでしょうが、短期間で終わらせようとすると無理が出てきます。

先日も、内装のやり直しをしてほしいという依頼がありました。一度壁紙を張ったものの、お施主様が乱雑な仕事を気に入らなかったようです。聞いてみたら、本来1週間かかる仕事を2日間で仕上げたとか。うちの会社では、妥当な工期にプラス予備日を1日入れて、見積もりを出しました。

職人の仕事に無理がなく、スケジュール通りに工事を進められる営業さんは、すごいと思います。反対に、職人が必死に工期に間に合わせた仕事を「このくらいの工期でできるのか。では次も」と思われてしまうと辛いです。



リフォマガ2023年2月号掲載

年間購読(毎月15日発行・購読料8,800円)のお申込はコチラ

バックナンバーのご購入はコチラ

リフォマガのご案内はコチラ

リフォマガ

『リフォマガ』は、株式会社リフォーム産業新聞社が発行する現場担当者向けの情報誌です。 リフォーム営業マンに役立つ営業テク、現場調査の方法、商品情報を発信します。 雑誌『リフォマガ』は毎月15日に発行。年間購読料8,800円。(税込・送料込)

0コメント

  • 1000 / 1000