最初に提出する見積もりはあくまでもたたき台。臨機応変に金額調整できるような下準備が必要だ。
選択肢を提示できれば契約のチャンスも増える
見積書を出すと、多くの顧客は「高い」という印象を抱くものだ。設備や工法、プランによって金額は大きく変動するので、金額調整を臨機応変にできるよう幅のある見積もり提案を心掛けたい。具体的には、設備の仕様や工法などをどう変更すれば金額を調整できるのかという提案や説明をできるようにしておこう。また安い見積もりを出すだけでなく、リフォーム後の暮らしをよく考え、積極的に提案することも営業マンにとっては大切な仕事だ。顧客も契約前は金額を重視して安い方を選びがちだが、暮らしてみれば不便さが残り後悔するパターンも多い。顧客が様々な選択肢の中から、自分で選んだと感じられるような納得できる見積もり提案を心掛けたい。
対策① 設備の仕様で調整
使い勝手に影響しない所で
スペースプランニング 岡村さんはキッチンの一部の仕様を予め高いグレードで設定し、都度グレードを変更することで顧客の要望に応じている。「扉材は予め鏡面仕上げにしています。好き嫌いが分かれる所ですし、標準のタイプにしても使い勝手には影響しないので、調整しやすいですね」
ココにひと手間!
備考欄を有効活用しよう
備考欄にはプラン別の差額や、オプション類の金額などを記載しておき、商談の際にお客さんとその場で検討しやすいようにしておこう。
対策② 減額プランを予め用意
山商リフォームサービス 壷阪さんは、まずは顧客の要望ありきで見積もる。ただ「高い」と思われることも多々あるので、予め工法やプランを変えたりした減額案を事前に用意している。「次回の商談まで待ってもらうのは時間がもったいないので、準備しています。でも要望ありきで提案した見積もりが採用されることも多いですよ」
ココも勝ち!ポイント
●工法を変えた際のデメリットもしっかり説明。例えばフローリングを増し貼りにした場合は段差が出来ることがあるなど。
●まずはプランや使用する設備から提案。最初に金額を見せてしまうとインパクトが大きく説明が頭に入らなくなってしまう。
対策③ 塗料のランク毎に5種類の見積もりを提示
郡山塗装 石橋さんは、塗料のランク毎に5種類の見積書を提出。工事費用と耐久年数から1年あたりのランニングコストを容易に比較でき、顧客は今後のライフプランに合わせて塗料を選べる。
ココも勝ち!ポイント
●5種類あるプランのうち、まずは安いプランから説明。顧客の表情や仕草から金額がストライクゾーンに入っているかを見極める。「若い営業マンは、説明に一生懸命でお客さんが引いているのに高い工事を提案していたりします。〝お客さんの反応見ていた?〟とよく反省会をしています。
●見積もりの説明の際は「押したり引いたり」が大切。これから何年住むのか?子供さんは戻ってくるのか?ライフプランを聞き、そこまで耐久性のある塗料が必要じゃなければ、〝高けりゃいいもんじゃないですよ〟と安い方の工事を提案することも。
ココにひと手間!
差額分をローンで賄い単価アップする人も
元々銀行マンだった石橋さんは、得意としているローン提案も積極的に行っている。「予算オーバーした工事の差額分は、ローン活用を提案したり、住宅ローンの金利を計算して借り換えをすることで〝工事費の差額分は補えますよ〟といった案内をしたりしています」石橋さんの顧客の2割はローンを活用しており、単価アップのきっかけとなっている。名刺にもファイナンシャルプランナーの資格を記載している。
私の見積もりひと工夫
費用を抑えられる箇所・今工事すべき箇所を明確に
見積書の内容は、できるだけ『費用を抑えられる箇所』、『費用が増えても今回の工事と合わせてした方がよい工事提案』等を明確にして思いを伝えるようにしています。また見積書は、説明時だけでなく、後から見返しても分かるように注意点等は備考として記入し蛍光ペン等でマーキングしています。
コープ住宅 渋谷佑樹さん
現在34歳。モットーは「仕事は楽しんで」。フットサルが趣味。
変更箇所はマーキングし伝え忘れを防止
2回目以降にお渡しする見積書は前回からの変更箇所にマーキングし、伝え忘れを防止しています。多い時は5回くらい変更する現場もあります。どう変わったのかをお伝えしやすくしています。また床下の腐食など開けてみて起こりうる追加工事は予め記載するなどしています。
西谷工業 下中苑子さん
現在25歳。企画・設計に携わる。水回りリフォームが得意。趣味はイラストを描くこと。
見積書は臨機応変に金額調整できるように、しっかりと下準備をしていこう。設備仕様ちがいのタイプや、減額プランなど、お客様に対応できる材料を揃えていくことで、お客様のご希望のプランに近づけていくことができるだろう。
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