施主を工事うつにさせない現場の処方箋
配慮と工夫があれば、ストレスは感動に変わる!
工事中の施主は、想像以上のストレスを抱え疲弊している。連日続く騒音や、埃まみれの空間で暮らす事の苦痛、見知らぬ職人達の出入り、遠慮から工事内容の違和感を伝えられないもどかしさと戦いながら、なんとか日々を乗り切っている。ただそんなストレスや疲弊感は、工事店側のちょっとした配慮や工夫で、感動に変える事も可能だ。施主にモヤモヤを抱かせない現場管理の工夫を全国のリフォーム営業・監督達に聞いた。
打ち合わせと違う現場を見たら誰でも不安に
30年近く新築やリノベーション現場で現場管理業務を行うホームランドの中村さんが、日々心掛けているのが、徹底した清掃と施主とのコミュニケーションだ。施主の要望で、大規模リフォームを在宅で行う事になると、埃の中に住んでいると言っても過言ではない状況になる。そんな中でも、埃の中に住んでいると思わせないくらいの清掃と整理整頓を行おうという気持ちが大切だという。
また工事中の施主とのコミュニケーションも大切にしている。
「工事中はお施主様とお話をする事が大切です。〝何かないですか?〞〝気になる所があったら言ってくださいね〞と常にお施主様と話しています。打ち合わせと違う内容で工事が進んでいたらお客様も当然気にされます。話をする事で工事中のお客様の不安も和らぐと思っています。」
《荷物の移動》着工日前日に声かけを行う
荷物の移動が伴うリフォームでは、工事前日に施主への声掛けを行っている。当日になって何も準備が出来ていなかったという事態を防ぐためだ。大きな荷物の移動は基本的に中村さんや職人で行い、棚の整理や小さな荷物の移動は先に準備しておいてもらう。
「ダンボール等は事前に言ってもらえれば、こちらで購入してお持ちする事もあります」
《清掃》荷物の下など見えない部分も掃除
元々綺麗好きだという中村さんは、現場の整理整頓や清掃に人一倍の気を使っている。基本的に現場の清掃は職人任せにせず、掃除機をかけて帰る事にしている。
「人任せにしていると、どうしても物足りない部分が出てきてしまいます。見える部分だけでなく、荷物の下や、家具の裏、養生をしていても剥いだ後に埃が入っていってしまうので、自分でも必ずチェックするようにしていますね。」
《コミュニケーション》工事で気になる箇所は遠慮なく言ってもらう
工事中にストレスの原因になるのが、工事の内容に関して気になる事が営業担当や現場監督、職人に言いづらいというものだ。施主と意思疎通を図りながら進めている工事のポイントを聞いた。
パイプや棚板の高さは勝手に決めない
現場で決める事になりがちな、クローゼットの中の棚板やパイプの高さは、使い勝手にも影響するため、施主の身長を見ながら、相談して決めるようにしている。ハンガーや洋服をかけるといった動作は毎日の事なので、こちらの判断で勝手に取りつけてしまわないようにしている。
期待値が大きいクロス張替え後こそ要注意
クロスの張替え直後は、石膏ボードの状態から見栄えが大きく変化するため、施主に与えるインパクトも大きい。また自分で決めたクロスが張られる瞬間は期待値もとても高い。
「張り替え直後は、皆さんよく見られているので、こちらから何か気になる点はないか積極的にお伺いしています。」
〝こんなはずじゃなかった〟色の組み合わせに注意
床の色と室内建具の組み合わせ、外壁の色味などは、仕上がった直後は施主が気にする所。施主が色味に違和感を抱いていないかは必ず確認するようにしている。また打ち合わせの段階から、曇りの時と晴れ時などの天気による色の見え方見え方の違いや、小さい色見本で見ている時と実際では色の見え方変わる事も十分に説明しておく。
発注ミスに注意 常に現場を見ておく
リフォーム後、物が入れ替わった時に、打ち合わせで決めた物以外のものが取り付けられていると施主のショックも大きく、クレームにもつながりやすい。
「発注ミスをしない事も大切ですが、発注ミスがあった時に、すぐリカバリー出来るように、現場を常に見ておくという意識も大切だと思います。」
お話をうかがったのは…
ホームランド(福岡県福岡市)中村聡さん
現在53歳。26歳の時に新築やリノベーションを手掛けるホームランドに入社し、現場監督業務に従事。2級建築士や福祉住環境コーディネーター・福岡県耐震アドバイザーの資格を所有。
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