【THE SHOKUNIN】伝統と新しい感性が融合 畳で和室をアートに

【畳職人】山田憲司さん(36歳)

リフォームの営業担当者にとって、熟練の職人さんは大切なパートナー。今回登場するのはアートのような斬新なデザインで、畳の新しい可能性を追求している山田憲司さんだ。


四畳半が1枚のキャンパス

もはやアート作品と呼べるこの龍の畳。牙は白く光って見えるが、使っているのは同じ畳表。縦、横、斜め、逆斜めと4方向に畳表を張る角度を変えて、色味を表現。反対側に立ってみると牙は金色に変化する。

「僕の場合、四畳半ならそれを1枚のキャンバスだと考えているんです」と山田憲司さんは話す。畳の材料は普通の畳と同じだ。山田さんは全て手作業で芯材を切り、畳表を張る。一番大変なのは、最後の1枚を入れるまで、うまく入るかわからないところ。

「1ミリでも寸法が合わないと隙間ができてしまいます。もし入らないと全部作り直し。寸法通りにカットしても、膨らむこともあるので、本当に難しい。いつも試行錯誤をしています」

▲龍の畳をはめ込んでいるところ



六角形の畳を組み合わせ無限のデザインを生み出す

印象に残っている仕事は、城崎温泉の「炭平別邸季ト時」の畳を手掛けたこと。一棟、全3フロア、約400枚の畳を入れた。デザインは建築家が設計したが、「これだけ大きい案件を任されたことはなかったので、最後に全部入った時にはホッとしました」と山田さん。

▲山田さんが手掛けた畳のある、城崎温泉の「炭平別邸 季ト時」

▲「炭平別邸 季ト時」の山田さんの畳。このフロアは25畳ほどの広さがある。


今後挑戦したいのは、1000枚ほどの六角形の畳を組み合わせた作品作りだ。六角形は畳を回転させれば、光の反射で3種類の色味を作れる。同じ八畳間でも、畳の向きを変えることで光の反射が変わり、浮かび上がるデザインが変わる。今日は坂本龍馬、明日はマリリン・モンローと、畳そのものを変えずに絵柄を変えることができる。

「テクノロジーを駆使したアートもあれば、僕の畳の作品のように、古典的な手法で無限にデザインを作り出すこともできる。デジタルとは対極のアートが作れたら面白いと思っています」と山田さんは話している。

▲六角形の畳を組み合わせた作品の下絵の例。六角形の畳の向きを変えることで色味を変えている



推薦の言葉

岡専旅館 女将岡 たか子さん

先代女将が体調を崩して休業していた折、嫁の私が旅館を再開することになりました。岐阜県産業経済振興センターの方に何か新しいことをできないかと相談したところ、山田憲司さんを紹介していただきました。

岡専旅館のある美濃市は江戸時代の商人の町で、「うだつ」(火災の類焼を防ぐために造られた防火壁)が数多く残っています。うちにも「うだつ」があり、「うだつの上がる宿」と呼ばれています。

今回畳を入れていただいたのは、玄関を入って右手の和室。到着したお客様が一休みできるスペースです。山田さんは美濃の街並みや、うちの旅館の石畳などをイメージしてデザインしてくれました。

正直、デザインを見た時は「古い穏やかな佇まいの中に、こんな斬新なデザインの畳が合うのか」とも思いました。しかし、実際に入れていただくと想像以上にマッチして、とても素晴らしかったのです。お客様にもとても好評で、特に外国のお客様からは「ビューティフル」と褒めていただき、本当にお願いしてよかったと思います。

一つ一つ丁寧にパーツをはめ込んでいく山田さんの姿からは、伝統ある畳をもっと世界に広めたいという情熱が、淡々と伝わってきました。私も微力ながら応援したいと思っています。

▲山田さんが手掛けた岡専旅館の和室



山田さんからリフォーム営業担当者にメッセージ

「こうしてもらうと嬉しいなぁ」

何に対しても「返信の早い方」は助かりますね。段取りがいい方にも通じると思うのですが、効率よく動けるので助かります。

それと、お客様の好み、建物のコンセプトなど色々な情報を共有してもらえるとありがたいです。営業の方も、設計の方も「畳でどこまでできるの」と思われると思いますので、より細かい情報をいただくことで、様々な提案をしたいと考えています。


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