施主の真のニーズを引き出すヒアリング手法 1

楽しさを演出することで価格競争から一歩抜け出す

リフォームの過程を楽しみ尽くしてもらう

「せっかくリフォームでお金を使うなら楽しく使ってほしい」というのが樋田さんの信条。

初めて顧客と会った時には、夢が膨らむようにさまざまな事例の画像をパソコンで見てもらうだけでなく、これまで担当した実例のミニパンフレットを持っていき渡す。1実例を1枚にコンパクトにまとめた、思わず集めたくなるような可愛いパンフレットだ。

「やはり紙ベースのものって特別感があります」。

プランはたくさん出して顧客に選んでもらう形を取る。「洋服みたいにあれこれ迷いながら決めるのが楽しいと思うのです」。

プランがほぼ固まったら、次は意匠系をじっくりと選んでもらう。特に女性はパーツを選ぶのが大好きだと思うからだ。樋田さん自身もインテリア好きなので、大変な中に楽しさを見出せるという。

正式に依頼を受け現場が始まると、今度はたびたび見に来てもらい、出来上がりまでの過程を楽しんでもらう。

「ここまでできた!というのがリフォームの醍醐味。途中で確認もしてもらえますしね」。顧客との絆もでき、長いお付き合いが続いていくという。



見る、選ぶ、集める。気分を盛り上げる様々な仕掛け

ミニパンフレット&絵本

▲樋田さんが常に心がけるのは、顧客に出来上がるまでの過程を楽しんでもらうこと。初めて会う時には、実例のミニパンフレットや、竣工時に作成した家の絵本などを見せて気分を盛り上げる。



最低3プランを提出

プランは3つ以上出して、選ぶ楽しみを持ってもらう。

「色を付けたりちょっと楽しく演出もします。比較材料があったほうがいいプランがなぜいいかわかるし、熱意や一生懸命さも伝わる気がします」。



《事例紹介》
間取りとインテリアに工夫を凝らして居心地の良いカフェのような家が完成

50代の夫婦+娘(20代)の3人家族の住まいとして、父親が残した延床面積15坪の小さな家をスケルトンにして外部や屋根まで全面改装した。総工事費は1123万円。第36回住まいのリフォームコンクール2019優秀賞受賞。


使い勝手を考え抜いたプランで受注を勝ち取る

リフォームのマッチングサイトから依頼が舞い込んだM邸の全面リフォーム。

真夏の7月に現地調査に伺うと、2、3年空き家になっていたためにかび臭く、非常に暑かった。そこで、短時間で床下調査をしてリフォームができるかを確認し、室内を見るのがメインの作業となった。

それでも、サイトのコンシェルジュがヒアリングした情報も参考に、2回目にはほぼ完成形と同じプランを出し、4社が競合する中で見事受注を得られた。

「狭小住宅だったので、無駄のない動線にするために知恵を絞りました。また、狭いキッチンを効率的に使えるように可動式食器乾燥棚を設けたり、共働きのご夫婦のために洗濯物干し場を室内外にしっかり備えたりと、親身になって考えました」と樋田さんは勝因を話す。

1階に水回りを全て納めつつ、できるだけ広いリビングが欲しいという要望を受ける。階段下に頭が当たらないように計算して洗濯機を納めて、洗面、浴室、トイレと一列に並べ、広いリビングスペースを確保した。

収納は各所に設け、洋服が多いという娘さんのために、母娘で使う2階の6畳の部屋には1間半の幅の収納も確保した。


リビング 省スペースを実現する工夫を随所に

ナラの無垢フローリング+漆喰壁でナチュラルな印象のLDK。キッチンは壁付けにして、積層合板で幅の狭いテレビ台を造作して省スペースを実現した。

階段室に新たな窓を設けることで暗かった室内が明るくなった。

階段とLDKの間にドアは設けずに、あえてアーチ状の入り口にして可愛らしく仕上げた。サッシは全てペアガラスに替え、壁に断熱材を入れたので暖房を入れれば家中暖か。


収納 収納を各所に配して床面の広さを確保

リビングに天井までの壁面収納を1つ、洗面台横にもトールキャビネット、キッチン横に家電収納スペースと、使用する場所ごとに収納を設けた。

玄関収納は片側を可動棚にしたのがポイント。ブーツやバケツなど置くものに応じて高さを変えられ、場合によっては腰掛にすることもできる。


色使い インテリアで家の印象を明るく

インテリアを明るく可愛らしい印象にするために、ポップな色使いを提案することもある。

この家では、施主の好きな色の黄色とアナ雪をイメージしたブルーで可愛らしくまとめた。小さなダイニングテーブルは余った材料で造作したものだ。



お話をうかがったのは…

▲フレッシュハウス(本社・神奈川県横浜市)

営業企画部 部長補佐(副部長) 静岡・山梨支社長 樋田明夫さん

1975年生まれの44歳。建築系の専門学校卒業後、工務店でゼネコンの建物のRC積算や施工図の作成を10年間行う。建築の躯体だけではなく仕上げもやってみたいと、2005年、30歳の時にフレッシュハウスに入社。現在、大型案件のプロデューサーや宣伝担当などとして多岐にわたって活躍中。大型案件専門の部署には13名(うち営業8名)が所属する。

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