建物の部位には細かいところまで名称がついている。中でも戸建て住宅で代表的な「木造在来工法(略して「ざいらい」)にはどこの部位を指すのかわかりにくい名称が多い。
困るのはお客様に見積書の内容を説明する時だ。「これはどこの部分の金額ですか?」と尋ねられてスラスラと答えられれば、「建物に詳しい人だ」とお客様に安心感を与えること間違いなしだ。
布基礎とベタ基礎の違い
布基礎
ベタ基礎
人通口
人が通り抜けられるよう、基礎に設けられた出入り口。
人通口(じんつうこう)のサイズは?
人通口は床下の点検作業や防蟻工事、給排水管工事などを行う時に必要だ。ある程度大柄の人も通り抜けられるとはいうものの、その開口サイズが気になるところ。人が通るために高さ330㎜以上、幅500㎜以上の開口を設けるようにとなっているようだ。年代や現場によって差があり、少し古い建物では高さ350㎜前後、近年は床下の高さが高くなり、人通口も高さが400㎜~450㎜程度とれることが多くなっている。幅は基礎の強度を考慮するとあまり広くとることはできず、500㎜~600㎜が一般的となっている。
ここに注意
人通口を利用して給排水管を通していたり、管で人通口をふさいでいて人が通れなくなっている現場もよくある。リフォーム工事では人通口をふさぐことが無いように気をつけたい。
床下換気口
床下部分には壁の長さ5m以下ごとに、面積300cm2以上の換気孔を設けることが建築基準法で規定されている。床下に湿気が上がってこないようにするための防湿措置だ。
床下換気口が不要?基礎パッキング工法
基礎パッキンとは厚み約2センチほどの黒い樹脂製通気部材で、これを使用した工法を「基礎パッキン工法」という。
イラストのように基礎と土台の間にとりつけて使用することで、床下の自然換気が出来るというもの。今では新築住宅で一般的に採用されている。この工法により、床下換気口は不要とるため、
1.基礎に開口を設けないので基礎の強度が落ちない。
2.基礎と土台の縁が切れるため、基礎からの湿気が土台に上がらず、建物にダメージを与えない。
といったメリットがある。
ここに注意
基礎パッキング工法の基礎は、基礎換気口がある基礎に比べて床下に光が入りにくい。そのため床下に潜って作業や点検をする際は、その点を考慮しよう。
束【つか】
1階の床下に立てて床を支える部材。束柱ともよばれる。近年は木製ではなく鋼製の鋼製束や、プラスチック製のプラ束を使用することが一般的。
リフォームで木製束から鋼製束やプラ束に入れ替える工事も多い。鋼製束やプラ束は長さの微調整が可能なため、木製束のように高さ調整のためにクサビを打つ必要がない。
根がらみ貫【ねがらみぬき】
根がらみ貫とは、床下に立てている束を連結して、構造的に補強する部材のこと。独立基礎の場合は、玉石(ぎょくいし)の上に束を立てるため、床束が不安定な状態だった。そのためこの根絡み貫を取り付けたが、ベタ基礎や布基礎になった近年では使用されなくなっている。
防湿シート
床下に地面が露出していると、床下に湿気がこもるため、湿気対策目的で水蒸気を通さない厚さ0.1mmほどのシートを敷き、壁内への水蒸気流入を防いで壁内結露を防止する。このシートを「防湿シート」という。上に乾燥砂で抑えるなどする。
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