知らないとマズイ建物本体の名称

建物の部位には細かいところまで名称がついている。中でも戸建て住宅で代表的な「木造在来工法(略して「ざいらい」)にはどこの部位を指すのかわかりにくい名称が多い。

困るのはお客様に見積書の内容を説明する時だ。「これはどこの部分の金額ですか?」と尋ねられてスラスラと答えられれば、「建物に詳しい人だ」とお客様に安心感を与えること間違いなしだ。


紛らわしい名称 
上のイラストの矢印の部分(屋根の内部)を何と呼ぶ?

1.屋根裏 2.小屋裏 3.天井裏

答えはどれも正解。

この部分に作る部屋は「屋根裏部屋」と呼ばれるが、なぜか「小屋裏部屋」とは呼ばれない。天井を見上げて、シミがあると、「天井裏に雨が入っている」と言われ、「小屋裏に雨が…」とは言われない。

しかし、建築構造上は「小屋裏」だ。現地調査の際は、「小屋裏を拝見します」と言う場合が多いのではないだろうか。



矢切【やぎり】

切妻(きりつま)や入母屋(いりもや)の屋根の妻側(*)の△部分。

雨があまりかからない場所ということで換気窓をつけたり、意匠的に外壁と仕上げを変えることが多い。「屋切」とも書く。

*妻側…建物の端という意味を持つ。妻側をスパッと切った屋根の形を「切妻」という。


霧除け【きりよけ】

霧や雨が入り込まないよう、窓などの上部に取り付ける小さな庇。


幕板【まくいた】

幕板とは、建物に用いられる横長の板のことを総称する名称。見切りの部分を覆ったり、またデザイン的な使われ方をする。外壁では1階部分と2階部分の間に細長い板状の幕板を取り付けることが多い。

またバルコニーや瓦屋根の縁にも用いられている。

サイディング貼りの外壁では1階部分と2階部分の接合部にあるシーリングを保護する役目もある。

また、この部分は構造上重要な「胴差(どうさし)」が架けられていることから、「化粧胴差」とも呼ばれる。他にも「センターモール」と呼ぶ例もある。


笠木【かさぎ】

笠木は、立ち上がり部分の頂上に設置、または被せられる建築材料で、塀や階段の手摺壁など、様々な場所で用いられている。建物外部では主にバルコニーの立ち上がり壁の頂上に取りつけられている。

ここに注意

バルコニーやベランダの立ち上がりの壁に取り付けられる笠木部分は、雨水の侵入が非常に多い場所だ。サイディング壁の場合、立ち上がり壁が膨らんで気が付くこともよくある。建物調査の際には注意したい箇所だ。


戸袋

横引きの雨戸を収納する部分。以前は現場施工の戸袋が多かったが、近年は雨戸と同じ材質とデザインのものが一般的だ。また、戸袋有りか無しかを選ぶこともできる。


窓水切り

窓の下枠部分に取り付けるL字型の金物。雨水が外壁面や庇の裏面などを伝って、壁を汚したり内部に侵入したりするなどを防ぐために使う。庇に取り付ける水切りは庇水切り土台に取り付ける水切りは土台水切りという。

近年は窓上に霧よけ庇を付ける家が少なくなり、雨水が直接窓に当たりやすい環境であるため、窓水切りは重要な役目を持つ。

水切りの両側から水が外壁を伝うことで汚れの筋がつくため、最近は壁から離すために出を大きくした水切りや、水切りの両端の少し下がった位置に小さい水切りを取り付けることもある。



紛らわしい名称
「ベランダ「」バルコニー」の違い

ベランダは、屋根付きの外壁から張り出したスペースをいう。雨の日でも洗濯物を干すことができる利点がある。

またバルコニーとは、2階以上の室外に張り出した屋根のない手すり付きのスペースのことをいう。

また、下の階の屋根部分を利用したスペースのことを「ルーフバルコニー」と呼ばれている。ただし、昨今は区別なく使われていることも多い名称だ。

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