リフォームの成功にはお施主様の準備が必要不可欠です

形のない物を売り、さらに住みながらの工事というハードルだらけのリフォーム。トラブル続きの現場では営業マンと職人が疲弊し、完工後に暮らしてみると「こんなはずじゃなかった…」と施主が後悔する。そんなリフォームならではの課題に「整理収納」というキーワードで切り込むのがリフォーム専門店+Comfortの高橋真美子代表だ。「リフォームを成功させる秘訣は、施主自身がリフォーム後の暮らしをしっかりイメージし準備する事が大切」と話す高橋さんに、この春からスタートする取り組みを聞いた。


▲+Comfort(大阪府箕面市)高橋真美子代表

大手住宅設備メーカー系のリフォームショップでアドバイザーとして2,000件を超える物件を担当。商談から現場管理まで経験した事によるノウハウ、ネットワークを持つ。従来の業者主導のリフォームから、施主の生活様式、生活設計を中心に考えるリフォームを実現すべく、整理収納のノウハウを取り入れた+Comfortを約3年前に企業。2級建築士、インテリアコーディネーター、整理収納アドバイザー等の資格を所有。



施主にリフォームの心構えを伝え”こんなはずじゃなかった”を防ぐ

リフォームを成功させるには、お施主様自身が事前に物や心の整理を行い、リフォームの心構えや準備をして頂く事が大切です。私は長年リフォームの仕事に従事してきましたが、苦慮している事があります。せっかくリフォームをしたのに、後から後悔している人がとても多いという事です。私とのコンサルティングでは、「もっと高橋さんと早く会えていたら・・・」と、過去のリフォーム会社や担当者への不満を漏らす方がいます。終わってしまってからでは、あとの祭りですよね。

お客様が、どんな暮らしをしたいのか?をプロに明確に伝えることは難しいものです。お施主様のイメージが漠然としていると、ヒアリングは難しくなります。プロなら全てわかってくれる、最善の提案をしてくれると施主が思い込んでいる部分も多いのではないかと思いますが、実は、プロにも解らないことは沢山ありますよね。

特に施主のライフスタイルや価値観などは、互いにコミュニケーションを取りながら理解を深めていくものですが、正直時間も経費も限られています。リフォーム会社の担当者の方も、もう少し具体的にポイントを絞って話して欲しいと思った経験もあるのではないでしょうか?施主の意向がはっきりしない場合、リフォームでは「綺麗」「素敵」「最新」などのキーワードでワクワクを誘発してしまう傾向があり、いつの間にか軸がずれてしまいます。それが後からの後悔に繋がっているのではないでしょうか。



施主自身が暮らしを見つめ直す「暮らし見直しセミナー」を開催

そこで私がこの春、一般ユーザー向けに開講を予定しているのが、「暮らし見直しセミナー」です。プロに依頼する手前で、どんなリフォームが必要なのかを施主自身でじっくり考えるプロセスを設けることを提案し、具体的なサポートを実践したいと考えています。リフォームが成功するか否かは、この段階で8割決まるといっても過言ではないと思います。

セミナーは全6回のカリキュラム。参加者が自身の暮らしの課題や価値観、ライフスタイルや行動パターンを振り返りながら、リフォームに望むもの、必要な事を見つけだしていけるように組立てています。

多くの会社が相談やプランニングを無料で受けてしまいます。無料のサービスには限界があることを知って頂くためにも、このセミナーはあえて有料とし、わずかでも料金を設定したいと考えています。

また、整理収納アドバイザーのノウハウを生かし、整理収納サービスも提供します。リフォームの前に必要なモノ、不必要なモノを見直す事で適正量を知り、使用頻度や動線に適した収納場所や管理方法を考えることで、プランニングの内容や質は驚くほどに上がります。

また、自身や家族の思い、これから先の生活をイメージして様々な情報を整理することもこの機会に一緒に行う事をおススメします。例えば保険や子供の教育、親の介護の事などです。ここまで整理が出来てくると、自分の思いや希望を汲み取ってくれるプロを選ぶ力もついてくるのではないでしょうか。

残念なことに業者選びと言いながら、結局は価格競争させてしまう一般ユーザーの方がいまだに多いです。見積価格の内容をしっかりと判断出来、良いパートナーを選ぶには、お施主様も真剣に自分と向き合うステップと学びが必要だと考えています。

注意しておいて欲しいのは、最初からリフォームのデザインや事例などの情報収集ばかりに捕らわれてしまい、大切なものを見失うという事です。モノや心、情報の整理を終えた後でも良いのではないかと私は考えています。



生活の場が工事現場と化すリフォーム
事前の準備と理解が必要

リフォーム業界には、まだ課題があります。リフォームならではのリスクをいかに回避するかというものです。毎回違う施主、異なる現場条件で、リフォームは何年やっても慣れる事がありません。その都度判断しながら進めていく必要があります。

特に住みながらのリフォームの場合、生活の場が工事現場と化してしまうので、お互いに大変な状況になることが十分に予測できます。つまり事前に準備と理解、打合せを十分にしておく必要があるのです。お施主様にとっては、音やホコリ、職人の出入りはかなりのストレスであることは間違いないでしょう。でも、職人にとっても同じことが言えます。特に不慣れな家具やモノの移動を職人がすることになる場合は、破損などのトラブルが起きやすくなります。また存分に動いて仕事を進めるには、十分な作業スペースも必要です。

また、施主が現場にいることで、悪気なくお願いした”ついで工事”や”プラン変更”などでやり直し、出直し、材料の無駄などの見えない経費が生まれます。誰が責任を持つのか?といったことから、トラブルに発展することが少なからずあります。



リフォームはワンチームで
本当に価値のあるリフォームを

現場で職人や施主が自分の立場を主張するようになっては、上手くいくはずがありません。リフォームはモノつくり。施主と職人と現場担当者で力を合わせてワンチームで作り上げられるものです。モノつくりの過程を楽しみ、共に体験することがリフォームの醍醐味。そこに価格以上の価値も生まれてくるのではないでしょうか。そんな信頼関係を作るための最初の一歩として先述した「暮らし見直しセミナー」では、このリフォームならではのリスクも正直にお伝えしていく予定です。

施主の求めるものが十人十色で違うので、答えは1つではありません。でも、少なくとも後から後悔したり、文句も言えずにストレスを抱えたりするといった不幸だけは避けたい。建築側の努力ももっと必要だと思います。しかし現場では急速に人手が不足しているのに、売り手はどんどん増えているのが現状です。そんな時代背景にありながら、施主は情報過多で迷う、選べないという状態にあると思います。

だからこそ、事前の準備が大切なのです。建築工事はプロに任せる必要がありますが、大切な我が家や家族の為には、施主にしか出来ない準備もあるということを理解してほしいと思うのです。リフォームは暮らしを見直す最大のチャンスです。リフォームで、家族が笑顔で暮らせる家が増える事を心から願って止みません。


▲フリースペース『AnotherRoom』をオープン

昨年末オープンした、AnotherRoom。低コストでありながらデザイン性がアップする内装材や内窓等、高橋さんのおすすめ商材を盛り込んだ打ち合わせルーム。「ここで1人でも多くの方の暮らしの見直し相談を受けていきたいと思っています」と高橋さんは意気込みを話す。

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『リフォマガ』は、株式会社リフォーム産業新聞社が発行する現場担当者向けの情報誌です。 リフォーム営業マンに役立つ営業テク、現場調査の方法、商品情報を発信します。 雑誌『リフォマガ』は毎月15日に発行。年間購読料8,800円。(税込・送料込)

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