今月の輝く!リフォームセールス~人材育成の土台は「承認」が鍵

支店長クラスの人材を次々と輩出!

営業マンとして成果を出しつつ、マネジメント面でも力を発揮している人物がいる。外壁塗装をメーンに全国で20店舗展開し、年間約35億円を売上げる三和ペイント(大阪府大阪市)で新潟支店長を務める山ノ井奨さんだ。「人が育つ店」として社内でも評判で、マネージャークラスへの昇格を目指す若手営業達の登竜門的な支店として存在している。山ノ井奨新潟支店長に、人材育成のポイントを聞いた。


三和ペイント(本社 大阪府大阪市)山ノ井 奨新潟支店支店長

現在37歳。元々塗装店に勤めており、4年前に三和ペイントに転職。1年目はプレイヤーとして月間4棟契約するなど、高い営業成績を残す。2年目には、新潟支店の支店長に昇格。昨年は新潟支店から2名の支店長を輩出、他店に移動したスタッフも高い営業成績を残すなど、人材育成のスキルが高く評価されている。



部下の小さな頑張りを認める

外壁塗装を手掛ける三和ペイントは、全国に20店舗を展開、約130名の営業マンが在籍する。昨年同社で、支店長に昇格したのは全国で5名。そのうちの2名が、山ノ井奨支店長率いる新潟支店から誕生し、山ノ井さんの高い人材育成力が社内外で高く注目されている。

「私が人を育てる上で大切にしているのは、日頃から相手の事をよく観察し、承認する事。部下たちの表情や声のボリューム、営業トークの変化、業務上のちょっとした頑張りや努力を見ています。本人達がどんな事を考えているのかを想像し、”ちゃんと分かっているよ”と伝える事で人間関係を築いていきます。すると、私からの更なる厳しいリクエストにも応えてくれるようになり、人が成長していきます」

2年前、新卒の20代の営業マンが「自分を変えたい」と、自ら志願して新潟支店に配属されてきた。ところが、業務においても未熟な点も多く、配属数カ月は売上が芳しくなかった。

山ノ井さんは、その若手営業が残業までしてトレーニングしている事など、日頃の小さな頑張りは認めながら関係性を築きつつ、改善するべき点は厳しく指導。同時に、その他の支店メンバーには、叱られて落ち込む本人をフォローするように依頼しておくなど、ケアも忘れなかった。暫く受注がゼロという日々が続いたが、本人の努力と周囲の励ましもあり、昨年は新卒で入社した同期の中で25位だった成績が3位まで浮上。見事な成長を遂げた。社内でも”人が変わったようだ”と評判の営業マンとなった。



ある一言で涙したスタッフ

ポスティングや電話営業・訪問を主軸に置き営業活動を行っている同社。支店には、現場調査のアポ取り専任スタッフと、クローザーと呼ばれ現場調査や商談に行くスタッフと役割が分担されている。あるアポ取りをメーンにしていた新潟支店の営業マンは、月間の平均アポ数が6本のところ、本人の頑張りもあって8本のアポを獲得した。

ところが、その後クローザーに引き継いだ営業活動が思うようにいかず、契約が1本に留まってしまった。山ノ井さんは、自分が獲得したアポがなかなか契約に至らなかったスタッフの心労を察し、「1人だけ調子が良くなかったにもかかわらず、暗い表情をせずに頑張ってくれましたね。お蔭で支店内も空気が悪くならずに済みました」と月末に労りの言葉を掛けた。するとそのスタッフは、ボロボロと涙を流し出した。翌月以降も張り切ってアポ取りを行ってくれているという。

「人間関係が築けていないと、褒めたり怒ったりしても、こちらの言う事を聞いてもらうのは難しいです。日頃から相手を承認する事が、人材育成の土台になります」



「良い買い物をしてもらいたい」
営業スタイルを180度転換

オーバートークを封印

営業マンとしても結果を出してきた山ノ井さんだが、同社への転職前後は成果を出せない時期があった。「売上も上がらないし、やりがいもあまり得られない日々でした。この塗料は耐久性が凄いですよ!と、オーバートークもよくしていましたね」

現在の山ノ井さんは違う。「お客様に対しては極力お金を掛けずに、外壁塗装で家を長持ちさせてもらいたい。良い買い物をしてもらいたいという思いを前面に出しています」と話す。塗装はクレームの多い業界。どんな会社と一緒に家を守るかという観点で、自社を選んでもらえるような営業活動を行う。メーンで提案するのは関西ペイントとタイアップで共同開発した高性能塗料『グランコート』。耐久性が高いため塗り替えサイクルも長く、長期的に見てコストをかけずに済む。自信を持って外壁塗装を提案する事が出来ている。単価もアップし、新潟支店の平均単価は全店舗の平均より高い150万円という。

「営業スタイルを転換するのに最初は抵抗があったのですが、以前よりはるかにハイパフォーマンスで営業活動が行えています」

新潟支店には、誕生日プレゼントをスタッフ間で贈り合う習慣がある。誕生日には、支店メンバーから3000円ずつ募り、ネクタイやYシャツなど仕事で使えるアイテムを山ノ井さんが自ら選びプレゼントするという。厳しい指導の一方で、部下達とのコミュニケーションも大切している。

今年の目標は、新潟支店にいる全7名のスタッフが昇格して巣立っていくこと。山ノ井さんの営業スタイルを受け継いだ営業マンが新潟から続々と誕生していく事だろう。


▲新潟支店のメンバーと。「山ノ井支店長は、部下の事を家族のように思ってくれます。とても丁寧に私たちの面倒を見てくれますが、人をいじるのが好きで、イタズラ好きな一面もありますね」(新潟支店スタッフ談)新潟支店には現在山ノ井支店長含め8名のスタッフが在籍している。


▲営業ツールとして、外装材のサンプルと霧吹きを持ち歩いている。水をスプレーし、外装材の劣化状況による防水性の有無を見てもらう。


▲ポスターの絵は山ノ井さんが描いたもので、部下達の存在を巣立っていく雛鳥になぞらえている。


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