【床工事】本間健治さん(60歳)
リフォームの営業担当者にとって、熟練の職人さんは大切なパートナー。今回登場するのは技能大会で日本一にも輝いた本間健治さん。現在は職人の指導にも当たる本間さんのこだわりを紹介する。
▲この日の現場は千葉県の大型アミューズメント施設。写真は幅180cmのシートを4枚並べて貼っているところ
▲接着剤を塗る本間さん。塗った後の接着剤の模様が均一で美しい
世界トップクラスの技術
本間さん指名で仕事依頼
プラスティック系床工事1級技能士の資格を持ち、一般住宅からマンション、幼稚園、アミューズメント施設まで、畳以外のフローリングに関わる仕事全般を請け負っている本間健治さん。
30歳になった頃から技能大会に出場するようになり、34歳で日本一に。その後、オランダで開かれた世界大会では2位に輝いた。
「大会に出場したのは自分の技術がどのくらいか知りたかったからです。初めて出場した国内大会は2位。悔しかったですね。うまくなりたくて、ドイツやアメリカに行き、海外の床材メーカーの講習会にも参加して勉強しました」と話す。
大会に参加することで、色々な出会いがあり、全国に仲間ができた。さらに優勝してからは、高い技術が必要とされる仕事を指名で依頼されることが増えたと言う。その一つがデザイン性の高い床工事だ。デザイン画に合わせて、天然素材のリノリウムをカットして嵌め込んでいくもので、象嵌(ぞうがん)とも言える高い技術が必要とされる。
「リノリウムは硬くて施工しにくい上に、伸縮幅が大きい材料です。ぴったりのサイズに切っても、その日の温度や湿度によって、縮むこともあります。これまでの経験から、ややきつめのサイズにカットして、ちょうどよく収める技術が要求されます」と本間さんは話す。
▲下地が平らになっていないと、きれいに仕上がらないため、凸凹しているところは補修剤を使って埋める。「今は当たり前になっていますが、これは昔は左官屋さんの仕事でした」と本間さん
▲シートを隙間が空かないようにきっちりと貼っていく。カッターナイフなどを使い、素早くあっという間に作業を進める
次世代の職人にノウハウを伝授
質の高い仕事はもちろんだが、本間さんがリフォームの仕事で気をつけているのが、朝、大きな声で挨拶をすること。些細なことでもクレームに発展しないよう、少しでもお客様が不快な思いをしないように心がけている。
また、清潔な服装で家の中に上がるようにもしている。「私達の仕事は接着剤を使うので、ノリがズボンについたりします。そうした格好で家の中に入らないように気をつけています」。
講習会の講師を務め、後進指導する機会も増えた。3年ほど前からは建材メーカーの田島ルーフィングの技術顧問にも就任。製品についてのアドバイスも行っている。
「現場の仕事も続けていますが、今後は若い職人の指導にも力を入れたいですね。職人のなり手も少なくなっていますし、業界全体のためにできることをしていきたいと考えています。」
▲本間さんが愛用している道具。上から
1.ジョイント部の切断用のカッター
2.定規(幅6cm、長さ2mのもので丸めてある)
3.ストライプカッター(よれたり、癖がついてるシートの耳の部分をカットする)
4.カッター
5.ドルフィンナイフ
6.リノリウムハンマー(ヨーロッパの道具で、シートなどを圧着するのに使用)
7.巻尺
8.曲尺
9.溝切り
10.トリマー(壁際のシートをカットする道具)
11.コンパス
12.巾定規
▲本間さんのカッターはメッキ屋さんに依頼して、全てメッキ加工を施している。こうしてあると、接着剤がカッターにつかず、使いやすい
推薦の言葉
株式会社コバヤシ 取締役営業部長 内田昌之さん
本間さんとのお付き合いは20年以上になります。弊社得意先であるエムハウス丸山一郎社長の口利きだったかと記憶しています。丸山社長と本間さんは小、中の同級生で、丸山さんは壁装、本間さんは床(プラスティック系)のともに1級技能士を取得されている間柄です。
弊社の20年前といえば、まだまだ壁装のほうに特化しており、床工事に関しては後れをとっていました。床材、床施工に対しての知識も相当に低かったと思います。
そんな時の地元・藤沢在住の本間さんとの出会いは弊社にとって、とても有難く、とても助かる存在となりました。特に長尺シート、硬モノ施工まで出来、尚かつ工期の短い現場は仲間を呼んで頂き、数多くの現場を納めて頂きました。技術だけでなく現場での対応力、人間性が人を引き付けるのだと思います。うれしいことにご指名して頂ける得意先様も多数生まれました。「本間さんが空くまで待つよ!」と言って頂ける得意先様もいます。
弊社が毎年実施している「施工講習会」には本間さんを講師に年2回、弊社横浜支店にて協力会社の皆様をお呼びして実施しております。こちらも毎回好評で15年ほど続けることが出来ました。また、弊社社員向けの勉強会の講師をクロスを丸山社長、床を本間さんのコンビでお願いしたこともありました。
本間さんにはこれまで多くの新築ゼネコン現場から入居中の現場まで弊社の依頼にお応え頂き、信頼と安心を与えて頂きました。これまでのお礼とともに今後とも長きにわたりお付き合いさせて頂きたいと思っています。
本間さんからリフォーム営業担当者にメッセージ
「こうしてもらうと嬉しいなぁ」
我々の仕事は床の施工なので、当たり前ですが、床に物が置いてあると作業がしにくいです。ところが、実際に現場に行ったら、タンスの場所もそのままで食器も入ったまま。一から全部出して動かすところから始まることもあります。一度にできないと作業効率が悪くなるので、お客様には家具やピアノなどをどかしておいてもらえるよう、営業担当者さんには段取りをつけてもらえると助かりますね。
それと床の材料はカーペットにしろ、シートにしろ材料がとても重いので、現場毎に運んでもらえるととても助かります。
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