いちから学ぶ現場調査【外壁リフォーム】Part4

『いちから学ぶ現場調査シリーズ』では、各施工部位における現場調査のノウハウを分かりやすく1から解説していく。


モルタル塗りの場合のチェックポイントは、クラック(ヒビ)。クラックは雨漏れにつながる危険があるので適切な処置が必要だ。ここではクラックの要因と対処法についてまとめてみよう。

 

【考えられるクラックの要因】

●紫外線や風雨による経年劣化

●モルタル内の水分が抜けることで壁が収縮を起こした。

●建物のバランスが悪かったり地盤沈下がおこるなど建物構造の問題。

●地震や車の振動。

●初回と2回目の塗料の相性が悪い塗装ミス

●建設時にモルタルを一面一気に塗らずに間を置いたため境ができた(縁切れクラック)等。



白亜化(チョーキング)が出るころが塗装時期

塗膜の劣化による再塗装は、サイディング同様、手に白い塗膜の粉がつくようになったら塗装時期だ。このタイミングを逃すと劣化が進行する。

補修や塗装をしないでいると…

モルタル型の構造モルタルの上に塗装仕上げ

塗膜の白亜化(チョーキング)→クラックが入ったり、塗膜のはがれなどが起こる→クラックがモルタルまで達する→亀裂がラス網まで達しサビが出る→モルタルがはがれ落ちる。

不具合の状況により「補修して塗装」の他に「金属サイディングの重ね貼り」、「モルタルをはがしてやりかえ」といったリフォーム方法を検討する必要がある。



ヘアークラック(塗膜のクラック)

髪の毛ほどの太さのクラックは「ヘアークラック」と呼ばれる。塗膜に細い亀裂が入ってきている状態のことだ。

要因

①多いのは経年による塗膜劣化。

②建設時の不適切な塗装(吹き付け塗装で多い。吹き付けのあと、十分に乾かないうちに仕上げ塗装をした)

③塗料の選定ミス。(弾性塗膜の上に硬質塗膜の塗装をしたことで、上に塗った塗膜が下地の弾性塗膜の動きに追随できず、細かいクラックが生じる等)

補修方法

早めに塗装をする。下塗り工程時に補修用の下塗り塗料をクラックの中に刷り込むように

塗る。但し③の場合は状況によっては全面の塗膜を剥離してから再塗装することもある。



乾燥クラック(モルタルの収縮に起因するクラック)

要因

建設時、モルタルが完全に乾燥収縮する前に表面に塗膜を作ってしまうことに起因することが多い。モルタルから水分が抜けて収縮すると、塗膜に亀裂が発生する。クラックの幅は狭く、素地の収縮が収まると亀裂も止まる。

補修方法

ヘアークラックと同様に補修用の下塗り塗料を使用するが、モルタルまで届くようにする必要があるため注入材を注入ガンでクラックに充填する方法もある。塗装のタイミングで補修することが多い。



構造クラック(幅0.3㎜以上、深さ0.5㎜以上のサイズのクラック)

要因

①建物の耐力壁のバランスが悪いなどといった構造的な問題や、不同沈下等で建物が歪み、外壁に負担がかかった

②凍結と融解の繰り返しでモルタルにヒビが入る

③建物が大きく揺れてヒビが入った 等。

補修方法

幅が大きい場合は、壁面をV字やU字にカットを入れて伸縮性と弾力性が高いコーキング材を充填する方法がとられる。放っておくと雨漏れで木部の腐れやシロアリ被害につながるばかりでなく、モルタルが剥がれ落ちる危険もあるので、次の塗装時を待つことなく補修することをお勧めしたい。














年間購読(毎月15日発行・購読料8,800円)のお申込はコチラ

バックナンバーのご購入はコチラ

リフォマガのご案内はコチラ

リフォマガ

『リフォマガ』は、株式会社リフォーム産業新聞社が発行する現場担当者向けの情報誌です。 リフォーム営業マンに役立つ営業テク、現場調査の方法、商品情報を発信します。 雑誌『リフォマガ』は毎月15日に発行。年間購読料8,800円。(税込・送料込)

0コメント

  • 1000 / 1000