『いちから学ぶ現場調査シリーズ』では、各施工部位における現場調査のノウハウを分かりやすく1から解説していく。
PART3-2 屋根材別チェックポイント
屋根の現地調査では、調査する屋根材の特徴を踏まえた上で行う必要がある。また、スレート瓦のように、いつ製造された商品かによって対処方法が異なるものもある。ここでは各屋根材の特徴と注意点についてまとめてみよう。
スレート瓦
セメントに繊維を混ぜて成形した厚さ5㎜程度の薄くフラットな屋根材。繊維は2000年までアスベスト(石綿)が使用されていたが、現在は人工繊維や自然繊維を使用している。
<リフォーム方法>
塗装 → 〇 重ね葺き → 〇 葺き替え → 〇
☆1 既存の瓦が葺かれた年を確認しよう
スレート瓦は、①アスベスト入り建材の使用が禁止となる2005年以前の「石綿スレート」と、②禁止されて間もない頃のスレート瓦、そして③現在使用されている自然繊維等を混入した「化粧スレート」と、年代によって基材に違いがある。リフォーム時期を迎えた屋根は、それらの質の異なるスレート瓦が混在している状況だ。見分けるための情報として、瓦が葺かれた年を確認しよう。①の「石綿スレート」は、塗装や重ね葺きは問題ないが、葺き替えで解体する際は、アスベストの飛散対策工事を行うことが義務づけられている。
②の移行期のスレート瓦の中には、基材に剥がれが生じて塗装ができないものもあるので注意が必要だ。
☆2 棟に打たれた釘のサビや抜けの確認
棟の板金に打たれている釘は年数が経つと浮きやサビが生じてくる。更に板金が風でめくれると雨水が侵入するので確認を。
金属瓦
金属屋根は耐侯性のあるガルバリウムや、勾配が緩い屋根には継ぎ目が少ない瓦棒屋根(トタン屋根)が用いられている。
<リフォーム方法>
塗装 → 〇 重ね葺き → △ 葺き替え → 〇
☆1 サビや穴の確認
勾配が緩い屋根に用いられているトタン屋根は以前「亜鉛メッキ鋼板」が使用されていた。この屋根材の場合はとくに入念にサビや腐食、穴のチェックを。現在では「ガルバリウム鋼板」が用いられているためこうした問題も少ない。「亜鉛メッキ鋼板」の穴は部分的に張り替えて全体を塗装することもできるが、ガルバリウム鋼板の重ね葺きが好ましい。
☆2 勾配が緩い屋根は新規屋根材の勾配の対応範囲を確認
勾配が緩い屋根は、雨が侵入するリスクが高いため、瓦棒式にして、雨水を流れやすくしているが、最近は瓦棒が無い「立平」が増えている。他の屋根材が良いという場合は、勾配の対応範囲に入る屋根材を探す必要がある。
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