いちから学ぶ現場調査【屋根リフォーム編】Part3-1

『いちから学ぶ現場調査シリーズ』では、各施工部位における現場調査のノウハウを分かりやすく1から解説していく。


PART3-1 屋根材別チェックポイント


屋根の現地調査は、調査する屋根材の特徴を踏まえた上で行う。スレート瓦のように、いつ製造された商品かによって対処方法が異なるものもある。各屋根材の特徴と注意点について解説する。


粘土瓦(和瓦)

粘土を成形して焼き固めた瓦。耐水性・防水性に優れ、色あせしないが重量があるため耐震目的で軽量瓦に葺き替えることも多い。粘土瓦は他に洋瓦(S型瓦)もある。

リフォーム方法

塗装→×  重ね葺き→×  葺き替え→〇

☆1 漆喰部分の点検

漆喰は、瓦の隙間を埋める、いわば接着剤のような役割がある。隙間を埋めることで、雨の入り込みや、鳥や小動物が入り込まないようにしている。瓦自体はメンテナンス不要だが、漆喰はメンテナンスが必要だ。これを怠ると、瓦のズレや雨漏れの原因になってしまう。


☆2 瓦の割れ・ズレの点検

瓦の割れやズレ、またビスの浮きの確認をしよう。阪神淡路大震災をきっかけに、瓦を釘・ビスで屋根本体に固定する耐震性に優れた「ガイドライン工法」が広まったが、釘・ビスで屋根に固定・緊結していない「引っ掛け桟工法」で葺かれた瓦もまだまだ多くみられる。揺れなどで瓦がずれると雨漏れの原因となる上、野地板の腐食につながる。



セメント瓦

セメントに砂を混ぜて成形したて乾燥させ、表面を塗装した瓦。塗膜が劣化すると雨水がセメントに浸みこみ、傷みが早くなる。10年程度で塗装が必要。軽量瓦への葺き替えも多い。

リフォーム方法

塗装 → 〇  重ね葺き → ×  葺き替え → 〇

☆1 瓦の形状により吹き付け塗装の可能性あり

セメント瓦は洋風の家にも和風の家にも用いられ、その形状もさまざま。凹凸が大きい形状の場合はローラー塗装ではうまく塗れないことがある。その場合は吹付塗装になることも。吹き付け塗装は隣家に塗料が飛散しないよう注意が必要だ。


☆2 セメント瓦と間違えやすいコンクリート瓦

セメント瓦に似たものに、コンクリート瓦がある。困るのが塗装時のシーラーの間違いだ。シーラーは塗膜が基材にからはがれにくくする役目があるが、セメント瓦だと勘違いしてコンンクリート瓦にセメント用のシーラーを使用すると逆に塗膜が剥げてしまうので要注意。専門家は瓦の小口を見て、滑らかな小口はセメント、デコボコしているのはコンクリートと判断しているようだ。

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