『いちから学ぶ現場調査シリーズ』では、各施工部位における現場調査のノウハウを分かりやすく1から解説していく。
PART2 まずここをチェックしよう
屋根の現地調査でどこをチェックするかは、工事内容や屋根材により違いがあるが、基本的に押さえておきたい項目を挙げてみよう。
・屋根勾配
イラストの例のように、「立面図」に屋根勾配が示されている。屋根勾配は屋根面積を計算するためにも、また屋根材の選定に於いても重要な情報だ。勾配は、水平方向と高さの比率。水平方向に10寸いったところで5寸上がっていたら5寸勾配となる。
\ここにも注意/
急勾配になると、屋根足場の検討が必要。
・太陽光や温水器が設置されているか
太陽光発電や温水器が屋根に設置されている場合、工事で脱着の必要があれば仮置き場を確認する必要がある。またメーカーとの連絡をとることを想定してメーカー名と品番を控えよう。葺き替えや重ね葺きなら脱着は必須。塗装の場合は判断が分かれるところだが、屋根材の傷み具合を見た上で脱着せずに塗れるところを塗ることも多い。
・雪止めの取り付け位置と周囲の状況
葺き替えや重ね葺きをする場合は既存の雪止め金具の取り付け範囲を確認しよう。新たな屋根材が既存屋根より滑りやすい材質の場合は2段や3段にしたり、範囲を広げることもある。隣家が近い場合は特に注意しよう。
・雨樋の形状と傷み具合
軒樋の形状は角型と半円型がある。既存の雨樋の形状で流水量をまかなえていない場合は、半円型→角型→外側がせりあがった形状の角型にランクアップを。また、継ぎ目から水滴が落ちてくる等々雨が降っているときの不具合が無いかお客さまに確認して、足場を立てる機会に出来ることがあれば提案に活かそう。
\ここにも注意/
外壁の色も確認しよう。特に竪樋は目立つので、家のアクセントカラーにもなる。必要があれば、軒樋と竪樋の色を変えることもできる。
・築年数と屋根リフォーム歴
屋根リフォーム歴があり、屋根材は傷んでいなくても、築年数を考慮し、下地の野地板が古ければ下地の劣化もありえると考えて調査しよう。
・雨漏れしたことがあるか
お客様に雨漏れの有無を確認しよう。現状雨漏れしていなくても以前雨漏れしたことがある場合は風向きによって雨漏れしたことも考えられる。一度や二度の雨漏れでは野地板などが黒ずむほどにはならず、場所を特定しにくい。特定する方法として散水試験やサーモグラフなどによる調査方法がある。
・アンテナの有無
最近は屋根の上にアナログアンテナが立っている家を見かけることもなくなったが、まだ立っているのなら無用のものなので、屋根工事の際に撤去することをお勧めしよう。
Mrs.くりっきーからのアドバイス
風雪被害には火災保険が適用される
台風の上陸が多かった今年、話題になったのが「火災保険」。火災保険が風や雪の被害にも適用されることが案外知られていないようです。台風でなくても瞬間的に強風が吹いて被害に遭ったという場合や、雪で雨樋が外れたなど、該当する被害も多いのではないでしょうか。20万円以上の工事に適用されるといった条件があっても、足場を立てるので、小さな補修でも適用金額に達することが多いです。
また施主から保険会社に連絡する際、いつの風の被害かと尋ねられるので、思い当たる時期の台風や強風をネットで検索してアドバイスするとよいでしょう。
2年前の台風被害も保険が適用された
屋根の被害は雨漏れなどが無いと気が付かないもの。定期点検の際に被害が発覚したお宅では、2年前に直撃した台風の被害ということで申請しましたが、3年以内の被害であれば大丈夫とのことで、無事に適用されました。まずは保険会社に確認しましょう。保険保険会社により請求期限が違うこともあるので。
▲強風では棟板金がめくれる被害も多い。
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