【設備・建材基礎知識】耐久性抜群!夏涼しく冬温かい 粘土瓦

耐久性が高く、断熱性、遮音性にも優れた粘土瓦。長期にわたって快適な暮らしを支える屋根材だ。


耐久性が高く人気の屋根材

日本に古くから伝わる伝統的な屋根材、粘土瓦。現在、住宅で最もよく使われている屋根材だ。

1000℃以上の高温で焼き固められているため、耐火性、耐久性、防水性が高いのが特長。

製法により大きく3つに分けられ、釉薬(ゆうやく)を塗って焼く「釉薬瓦」、何も塗らずに焼く「無釉薬瓦」、無釉薬瓦の最終過程で瓦をいぶす「いぶし瓦」がある。


瓦自体はメンテナンスフリー

他の屋根材に比べて耐久性が圧倒的に高く、瓦自体の寿命は50〜100年ともいわれている。定期的な塗り替えも必要なく、トータルのメンテナンスコストを低く抑えることができる。


地震に強い防災瓦

防災瓦と呼ばれる、地震や台風などの自然災害に強い瓦もある。

防災瓦は瓦に爪やアーム状の突起を設け、瓦同士ががっちりとかみ合う構造となっている。さらに、一枚ずつ瓦を釘で固定することもできる。これらにより、強風によって飛ばされたり、地震によって剥がれ落ちたりすることが少なくなっている。


日本の気候に適した屋根材

粘土瓦は断熱性が高いのも特長。瓦の下にある空気層にも断熱効果があるため、夏は涼しく、冬は暖かく、1年中快適に過ごせる。さらに遮音性にも優れ、激しい雨が降っても気が付かないほど。四季の気温差が大きく、雨量も多い日本の気候風土に適した屋根材といえる。

▲下の瓦の突起を上の瓦に組み込み、瓦同士をがっちり固定している(新東 防災瓦「S-PRO」)


【提案で心掛けていること】
杉本瓦工業(石川県羽咋市) 杉本孝司代表

J型瓦の魅力をしっかりと伝えています

昔ながらの和風の瓦J型が雨受けもよく、近年の台風や地震などの災害にも強く一番おすすめなのですが、新築ですとフラットなF型が若い世代を中心に人気です。
しかし、J型からF型にふきかえる場合は、下地の工事も必要で、その分コストもかかってしまいますので、従来どおりJ型での施工をおすすめしています。J型は、メーカー側の努力で軽量化等改良されていますし、ガイドラインの工法をしっかり守って施工すれば崩れ落ちることもなく、災害にも強いということをぜひ知ってもらいたいです。
修理する場合も部分的修理で済みますので、トータルで考えると安くすみます。これからも日本瓦の良さをアピールしていきたいですね。


【粘土瓦のポイント】

◆最もポピュラーな屋根材

◆高温で焼成されるため耐火性、耐久性、防水性が高い

◆塗装が不要

◆夏は涼しく、冬は暖か

◆雨音を伝えにくい

◆デザインが豊富

◆重量は重いが、現行の建築基準法で建てられていれば震度7にも耐えうる


【粘土瓦の特徴】

~メリット~

●耐久性が抜群

耐久性が高く、半永久的に使用できる。

●燃えない

高温で焼かれて製造されているため、耐火性が高い。

●防水性が高い

ほとんど吸水せず、雨の流れもよい。また、瓦の重なり部分に「水返し」が設けられ、雨水の侵入を防いでいるタイプもある。

●夏は涼しく、冬は暖かい

瓦自体の断熱性が高い。屋根の下地と瓦の間にある空気層も断熱効果を発揮する。

●雨音を伝えない

遮音性が高い。屋根を打つ激しい雨音も気にならない。

●デザインが豊富

J型(波型)、S型(洋風)、F型(平型)などの形状があり、カラーも豊富。伝統的な和風建築からモダンな洋風建築まで、どんな住宅にも調和する。

●メンテナンスの手間が少ない

塗り替えが不要。ただし、瓦のズレ・割れ・剥がれなどの点検や、漆喰部分のメンテナンスは必要。


~デメリット~

●重い

屋根材の中で最も重い。スレート屋根の約2倍、金属屋根の約10倍。

⇒10~20%程度の軽量化を実現した「軽量瓦」もある。

●初期費用が高い

屋根材の中では価格は高め。

⇒耐久性が高く、塗り替えも必要ないため、長期的に見れば経済的といえる。

●寒冷地ではまれに凍害が発生する

瓦の中にある無数の気孔に水分が浸透し、寒さで凍ると膨張し割れることがある。

⇒凍害に強い瓦もある。

●割れることがある

誤って瓦を踏みつけたり、強風で飛来物が当たるなどして、瓦が割れることがある。

⇒瓦の破損は雨漏りの原因になるため、早急に修繕する。割れた場合は1枚から取り替えが可能。


【商品例】

【プロの視点】屋根の重さだけで耐震性は左右されない

「瓦は地震に弱い」というイメージが持たれているが、現行のガイドラインに基づいて正しく施工された建築物なら、震度7 クラスの揺れでも安全であることが専門機関による耐震テストで確認されている。

新耐震基準(昭和56年以降)に建設された木造住宅は、建物重量に応じて必要壁量が確保されている。屋根の重さによって耐震性が左右されることはない。


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