リフォーム会社のリーダーたちは、管理業務も営業もするプレイングマネージャーが多い。多忙なスケジュールのなか、どうやって有効的に時間を使い、成果をあげているのかに迫る。
▲さくら(大阪府交野市)執行役員 建築事業部責任者兼さくリノ(さくら茄子作店)店長 坂東真之介さん
47歳。当時社員数4名の「まちの電気屋さん」だったさくらに、22歳の時に入社。電気製品の営業をする傍ら工事も担当。その後リフォームにも携わり、営業部統括を任される。40歳を過ぎてからは営業をしながら、支店展開やマーケティングも担当。3年前にリノベーション&大型リフォーム専門店「さくリノ」の店長に就任。
《坂東さんのワークタイプ》
綿密な計画をチームで共有しながら目標を達成するタイプ
リノベーションと大型リフォーム専門の「さくリノ」立ち上げから半年間の営業は坂東さん1名でスタート。年間の労働時間のうち、1000時間は営業活動に時間が割けるように設定した。
当初からプランナーと営業の2人で顧客対応するスタイル。施工管理は同時に4件まで担当することにした。
3期目の今年4月には5ヵ年計画として、5年後にはスタッフ数を11名まで増やす目標を立てた。今は忙しいが、ここを乗り切れば社員が増えて、1人あたりの業務に余裕ができることや、収入も上がることを全員に伝え、同じ目標に向かって頑張れるチーム作りを行っている。
時間をうまく使うポイント①
権限委譲で、業務時間を確保
経営幹部が自分にしかできない業務のための時間を確保するには、その業務に最適な人材を当てがい、権限委譲を進めること。現在坂東さんはマーケティング部部長も兼任しているが、部下2名に権限委譲し、予算管理だけをしている。「特にSNSを駆使した集客方法は変化が激しく、従来のPDCAの考えでは対応が遅くなります。OODAループ(観察・状況判断・意思決定・行動)という、状況に応じて臨機応変に対応する意思決定モデルに基づいて行動してもらっています」(坂東さん)
時間をうまく使うポイント②
約束時間ピッタリに「ピンポーン」
顧客宅に行く時は、少し早めに着いて車の中で待ち、10秒前に玄関先に立って約束の時間ちょうどになったら、「ピンポーン」と呼び鈴を押す。信用されるためには時間を守ることが大切だが、予定より早過ぎたり、遅過ぎたりして、顧客の時間を無駄に使わせないようにもしている。
坂東さんのマネジメント術
「多角化した事業をマーケティング部で統括」
今、坂東さんが取り組みたいことは「全社のマーケティング戦略を立てること」だ。現在、事業の多角化が進み、家電販売、リフォーム・リノベーション、不動産、グループホーム運営を展開している。「各事業にはそれぞれ責任者がいますが、一本、筋の通った横串がないと目的とズレていくと思います。横串の第一歩として、人材採用などもマーケティング部で担っていきたいです」
そして最終的には「まちの電気屋さん」の店舗をもう一度作り直したいと考えている。「私は電気屋さん時代のお客様に育てていただきました。このまままちの電気屋さんがなくなれば、家電が壊れて困ってもどこにも相談できない『電気屋さん難民』が増えるはず。困っているお客様のお役にもう一度立ちたいと思います」
優良顧客を大事にし成約率をアップ
22歳でさくらに入社した坂東さん。しばらくすると、当時の吉村力社長(現会長)から「リフォーム事業を始めるから、電気屋業は任せる」と言われた。その時、1300世帯あった顧客の担当が社長から坂東さんに一気に切り替わった。顧客から電話がかかってきても、対応はすべて坂東さんに任せられた。
「きっと陰ながら色々なフォローをしていただいたと思うのですが、権限委譲をしなければ、社長はリフォーム事業を進められなかった。経営者や幹部にとって、時間をうまく使うには権限委譲が大切だということを、25年前に教えていただきました」
3年前、会社全体としても効率よく業務を進めるため、坂東さんが顧客のランクを定義。過去5回以上リピートがあり、かつ平均200万円以上の購入金額の顧客を一番上の「ファン」と位置付け、問い合わせがあった場合、この顧客の案件を優先させている。「弊社の創業は1974年。50年続けていますと、祖父母から息子・娘、その孫まで三世代にわたってご利用いただいているお客様もいます。そうした方は必ずリピートしていただけますので、優先して対応することで成約率を高めています」
坂東さんの1週間のスケジュール
▲スケジュール管理は手帳で行う。顧客と打ち合わせの際、ぎっしり予定が詰まっている手帳を見た顧客が「結構先まで予定が入っているんですね」「そうなんです。無理強いはしませんが、もし年内に工事を終わらせたい場合、ご契約いただけたらスケジュール抑えます」「では、お願いします」と、クロージングへ導くツールにもなるのだとか
▲リクガメやサンゴ、熱帯魚を育てていて、自室はジャングルのようになっている。これらの飼育も人材育成のヒントになっていると坂東さん。「植物を育てるのは人材教育と一緒で、環境が大切です。適度に手をかけ、環境を整えてあげればすくすく育つ。チームビルディングにすごく似ているんですよ」
リフォマガ2024年10月号掲載
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