今月の輝く!リフォームセールス~忖度なしの対等な関係施主・職人の信頼獲得 2万円から20回のリピート「どうしても八木さんがいい」

ものづくりが好きで、妥協を許さず良い仕事を追求する八木直人さん。リフォーム専任だが「新築でも八木さんに」と請われるほどファンが多い。関係性を大切にし、寄り添う姿勢に信頼が寄せられる。

▲ヨネダ(本社・京都府福知山市)ヨネダリフォーム篠山店 店長 八木 直人さん(40)

▲相手の話に熱心に耳を傾け、まっすぐな意見を言う八木さん。施主は信頼して本音を話せる。



ルート営業時代からめげない精神を培う

住宅の総合リフォームのほか、土地活用や新築など、建築事業を幅広く展開するヨネダ。八木直人さんは、2006年に新卒で入社。初めは土地活用事業部に配属され、5年間は地主へ資産活用を提案するルート営業に従事していた。

「何度も訪ねるので、嫌がられることも少なくなかったです。『もう来るな』と言われても『チラシだけでも』と粘って4〜5回行ったりしました」

めげない八木さんに「話聞いてやるわ」と言ってくれた地主がいた。その時は契約に至らなかったが、数年後、リフォーム事業部に異動した八木さんに指名が入った。

「あの時の地主さんが、ご自宅のリフォームの際に、ヨネダのホームページで自分のことを探してくれて。最初は『根にもたれているのか』と思いました(笑)」

当時の熱心な姿が印象に残っていたらしく、わざわざ依頼をしてくれた。それから数回に渡るリピート顧客となった。



2万円の工事から十数件の紹介に

八木さんが一番お世話になっているという施主がいる。初めは施主支給の生ゴミ処理器の設置で、約2万円の工事だった。他では施工だけをしてくれる業者が見つからなかったが、八木さんは快諾した。よく話を聞いてくれる、いらないものはいらないとはっきりと意見を言ってくれると施主から信用された。

それから網戸、寝室の内装、水まわり、リビングなど、今までに1100万円近く、何と20回もリピートで依頼してくれた。娘さんの中古マンションのリフォームのほか、この施主経由で十数件もの紹介受注に繋がっている。

「エリア外の相談もあり『地元の業者に頼んだ方がいいですよ』と言ったこともあるんです。でも『どうしても八木さんにお願いしたい、信用できる人に頼みたい』と熱心に頼まれて、大阪まで行ったこともあります」

今は、来年の外壁工事の相談も始まっているという。




施主が意見を言いやすいヒアリングの気遣い

八木さんの年間受注件数は約110件で、契約率は8割近い。その理由のひとつが、施主の立場に寄り添ったヒアリングだ。

キッチンと浴室で予算300万円で検討中の夫婦から相談があった。主にキッチンを利用するのは奥さんだが、旦那さんの発言権が強く、希望を言いにくそうにしていた。

八木さんは「普段キッチンを使う奥さんに選ばせてあげてください。そうしたら喜んでくれますよ。その分、お風呂は旦那さんの希望を聞きましょう」と提案。

すると、「実は食洗機を入れたい」と奥さんの要望を引き出せた。さらに八木さんは、打ち合わせ後、奥さんへ個別に連絡をした。

「浄水器のことをすごく気にかけていたのに、プランに入れていなくて。旦那さんが興味をお持ちでなかったので、その場で提案したら断られてしまいそうだなと思い、後からショートメールで『浄水器いらなかったですか?』と聞いたらやっぱり欲しい、と。そこでプランに足しておきました」

家族全員の要望を等しく聞けているか、聞くタイミングが正しいか。八木さんの気遣いにより、夫婦とも満足のいくリフォームになり、350万円と予算もアップした。




尊敬はしても遠慮はしない 
全員で良いものを作る

八木さんが現場で心がけているのが「妥協や忖度をせず良い仕事をする」ということ。

「自分がこんな風に仕上げられたら嫌だな、という目線で仕上がりをチェックしています」

ちょっとした納まりでも「もう少し綺麗に直してもらえますか?」と、職人にやり直しを頼むこともある。

「ちょっと嫌な顔をされることもあります。でも、良いものを作りたい気持ちは職人さんも皆同じ。『はじめは細かく言われて嫌だったけど、言われないように気を付けるようになった』と後から言ってくれた方もいます」

職人側の意識が引き締まり、仕上がりの質も上がった。結果、複数の現場が進行していても、安心して職人に任せられる環境になった。



労いのフィードバックで職人との関係性が深まる

職人とも臆せず意見交換ができるのは、日頃から良好なコミュニケーションが取れているから。

八木さんは、職人へのフィードバックを大切にしている。完成後の写真を共有したり、「お客様はこういうところに喜んでいましたよ」、解体業者には「綺麗に掃除してくれて感謝されていました」と、仕上がった後のことを日常の会話の中で伝えている。

「以前、大工だった父と『完成後がわからない』という話になって。父は、自分が関わった図書館の完成後、実際に本を読んでいる人を見て『ああ、よかったな』と実感したそうです。住宅だと簡単に見に行けないですよね。自分が伝えなければ、作ってくれた職人さんに、何も返してあげられないな、と思ったんです」

職人本人に直接話すこともあれば、所属会社に電話して、社長へ感謝を伝えることも。

「自分だけではリフォームはできないからこそ、互いに認め合い、協力できる関係でありたいと思います」



チームとして動き店舗売り上げ3年連続増

篠山店の店長に就任したのは、コロナ禍の2020年。いきなり売り上げが落ち、不安なスタッフもいて、苦しい時期だった。

「仕事の数に関わらず目の前の仕事を丁寧にやろう、と呼びかけました。良い仕事をしていれば、お客様はいずれ戻ってきてくれると信じていました」

業者が在庫確保に協力してくれ、納期遅れの影響も少なく済んだこともあり、目標売り上げは無事達成できた。2021年も売り上げ増を達成。

昨年からは、大型案件の設計は専任スタッフに任せることにした。

「以前は一気通貫で営業がやっていましたが、設計は苦手なスタッフもいました。この業務改革で、売り上げが1.5倍に伸びた社員もいます。仕事の平準化も図れ、全体的な質の向上にも繋がっていると感じます」

篠山店は、3年連続で売り上げ増を記録。今後は、ヨネダのリフォームで満足してもらえる地域をもっと広げていきたいと語る八木さん。

「良い品質のリフォームで、社会貢献がしたい。そのために、自分ができるのは一つずつ良い仕事をすることだと思っています」



4回のリピートで自家製のお惣菜をもらうほどの仲に

新築を検討していたが、既存宅が2世帯用で立派な日本家屋の為、リフォームに変更した。この工事以降も、4回ほどリピート工事を依頼されている。「いつも自家製の奈良漬けやキムチをいただいています」(八木さん)

キッチン、ダイニング、浴室の改修依頼。対面キッチン希望。

隣室和室はそのままの予定だったが、「LDKで広くすれば、家族全員が集える空間になる」と提案。仲の良い家族だったので、完成後はいつもLDKで過ごしている。

▲八木さんが愛用しているグッズ。スケール、ドライバー、レーザー測定器など現場で使う道具一式を持ち歩く。現場調査のメモや資料は、会社支給のiPadに集約している。今後は現場管理アプリを導入し、移動時間の縮小を計画している。




リフォマガ2023年9月号掲載

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