今月の輝く!リフォームセールス~得意分野を伸ばし苦手なことは周りでフォロー 個々が活きる働き方で部署売上1.4倍に

「人見知りで初回打ち合わせが苦手」と話しながらも、人当たりがよく優しい笑顔が印象的な𠮷川栄一さん。幾度も挫けそうになりながら、試行錯誤を繰り返すハングリー精神のある営業マンだ。

▲エコ・トップ(和歌山県和歌山市)アドバイザー 𠮷川 栄一さん(46)

大学卒業後、夢だったホテルスタッフとして兵庫・大阪で5年働く。家庭の事情もあり、地元の和歌山へ戻り、縁あってエコ・トップへ入社。現在19年目で、営業部の実績管理も担う。



憧れのホテルスタッフから
地元の営業職へ

和歌山に本社を置くエコ・トップは、太陽光やオール電化の販売からスタートし、現在は新築・リフォームまで手がけている。同社に2人いる営業のうちのひとりが、𠮷川栄一さんだ。現在は営業のかたわら、部署の実績管理をする立場にある。

入社前の𠮷川さんは、学生の頃からの夢であったホテルスタッフとして兵庫・大阪で働いていた。しかし、土日も休みがなく、子どもとの時間が取れないなどの要因が重なり、心機一転、地元の和歌山に戻ることに決めた。

接客業を続けたかったことと、「𠮷川さんは営業に向いているよ」という前職の先輩の言葉に後押しされ、2004年にエコ・トップへ営業職として入社する。

その頃のエコ・トップは、太陽光やオール電化の販売業が主体で、訪問営業がメインだった。2010年に新築事業部が発足し、その後住宅リフォーム業も展開。𠮷川さんがリフォーム営業職となるのは、2015年ごろからだ。

「入社当時は、とにかく知らない人にいきなりものを売るのが性に合わなくて。1年頑張って辞めようと思っていました」

だが、働く環境に変化が訪れ、𠮷川さんの仕事への意欲が高まっていくことになる。



行動した日と締切を記録し
顧客の特徴を掴む

変化のひとつは、入社1年後にショールームができ、店舗接客中心のスタイルになったこと。もうひとつは、社長の計らいで販促企画やチラシ制作にも携わるようになったことだ。やることの幅が広がり、成長意欲が増した。

「制作物はスケジュールが肝でした。明確に締切があり、間に合わないとどうにもならない。この時の経験が、今のスケジュール管理に生きていると感じます」

𠮷川さんは今、サイボウズOfficeでスケジュール管理をしている。タスクには必ず締切をメモし、逆算して行動する。加えて、締切日とセットで行動が起きた日も記録を残すのがポイントだ。

例えば、顧客から質問を受け、後日回答にした場合。質問がいつ来たのかと、いつまでに回答するかを記録する。

「3日で返答しても、中には遅いと言われるお客様もいます。かかった期間がわかれば、それならその方には次は2日にしよう、と対策ができるんです」

こうして顧客ごとの日程感覚を把握することができ、それぞれに合った対応ができている。



会話のきっかけになる
子どもたちの待ち受け画面

リフォーム営業メインになってからも壁にぶつかった。特に人見知りの𠮷川さんにとって、初回の接客は「できることなら避けたいくらい苦手」だと言う。

苦手意識を薄めるために、顧客を楽しませようという意識を持って打ち合わせに臨む。「お客様にも楽しんでもらいながら、自分もモチベーションが上げられるように工夫しています」

工夫のひとつが持ち物の親しみやすさ。iPadの待ち受け画面を、3人の子どもの写真にしていて、これが会話のきっかけになる。

「画面を見て、お客様から話題にしてくださることもあります。仕事中、自分の癒しにもなっています」

iPadケースはお気に入りのオレンジ色、スマートフォンのカバーには、好きなアニメのステッカーを忍ばせている。こうした小物は話題作りになり、自分のテンションを上げるのにも一役買っている。

▲𠮷川さん愛用のアイテム。スケール、三角スケール、バインダー、iPad、筆箱、パソコン。バインダーは好きなカラーのオレンジのものも持っていて、使い分けている。



目の前で困っているのに
何もせずにはいられない

𠮷川さんが大切にしているのは「お客様のために、可能性を探る」こと。困りごとに対して、自分にできることはないかと試行錯誤するのが常だ。

エコ・トップには、数年前まで施工スタッフが在籍していて、簡単な配管の水漏れや詰まりなら、その場で対処していた。

今はスタッフがおらず、通常ならこうした現場は業者対応になる。だが𠮷川さんは、小規模な水漏れ・ドレンの清掃など、自力でできる補修はやってのける。施工スタッフに技術を学び、できる範囲で即対応をしているのだ。

「営業がやらなくてもいいことですが、目の前で困っている人がいたら、何もしなくてはいられなくて。『100%直せるかわからないけれど、やってみますね』と断りを入れて作業します」

この𠮷川さんの姿勢に対し、顧客からは「家のことなら𠮷川さんに任せておけば安心ね」と嬉しい言葉が寄せられることも多い。

▲いつでもメンテナンスできるように、車に工具を積んでいる。ドライバー、モンキーレンチ、脚立など。施主からは「職人なの?」とつっこまれることも。



得意を伸ばす方針で売上1.4倍増

同社の営業部は2人。部での売上目標は月に1800万円。大小の規模を合わせて月約40件進行している。決して低い目標ではないが、順調に達成している。

堅調な理由のひとつは、2021年5月から始めたイマガワリフォーム主宰のリフォーム営業専門学校。同じく少人数で実績を上げている会社なので、刺激も受けるという。

もうひとつは働き方の変革。

「スケジュール管理が苦手なら、得意な私や女性スタッフがフォローする。その分、あなたの得意な接客をもっと伸ばしていこうよ、とそれぞれの得意を伸ばす方針に変えました」

こうした改革により、特に同僚の売り上げが目に見えて伸びた。一昨年は5000万円、昨年は7000万円、今年度には1億に達成する見込みだ。



失敗やミスから学び
変わることで成長できる

𠮷川さんは「経験が増してやり方は確立してきていますが、型にはまるのは避けたい」と常に己の変化を求める。

「折に触れて、社長が成長のきっかけをつくってくれるのでありがたいです。リフォマガのクイズへの挑戦も『やってみたら知識が増えるんじゃない?』と言ってくれたから」と𠮷川さん。リフォマガの力試しクイズでは、50回以上の満点記録を誇っている。

起きた出来事やまわりのスタッフからの言葉をきっかけに、自分自身が変えられるという。

例えば案件を失注した時。なぜ断られたのか、原因を聞けていたとしても、話していることが全てとは限らない。どこが良くなかったか、言葉選びは適切だったか、何のタイミングが悪かったのか?失敗に対してとことん向き合い、原因追求をする。

すると「次はこうしよう」と、トライ&エラーから新しい行動パターンが生まれる。

「自分とは違う発想を持つまわりのスタッフからも、気付きを得ることは多いです」と𠮷川さんは言う。変化の機会を逃さずチャレンジし続ける𠮷川さんの成長は、まだまた止まらない。



「何かしたかったので、物件探しから一緒にやりました」

築40年の中古物件フルリノベーション。物件探しに苦戦していた施主は「アフターフォローが良いから」と友人の勧めでエコ・トップを訪ねてきた。𠮷川さんは物件探しから尽力し、最終的に満足のいく仕上がりとなった。

リノベーションの仕様決めは、女性スタッフも同席で行う。奥さんと打ち解けやすく、発想も広がるためだ。

クロスなどにこだわりがあるが、シンプルなテイストが好きな施主。玄関ホールはごちゃつかないよう、廊下幅を広くして開放的に。お気に入りの鳥柄クロスは、クローゼットの内側に張った。さりげないおしゃれに施主は大満足だった。



リフォマガ2023年8月号掲載

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リフォマガ

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