熱・水に強く汚れを落としやすい キッチン壁

施工性よいパネルが普及 

タイルも根強いファン層あり

キッチンまわりの壁には、十分な耐火性が求められる。そのため、古くからタイルが多く用いられてきた。ただし、タイルには目地の汚れを落としにくいという欠点がある。

タイルに代わり、広く使われるようになったのがパネルタイプの壁材だ。パネルは継ぎ目が少なく、目地汚れが気にならない。優れた清掃性が人気だ。

また、タイルに比べ、施工しやすい点も普及している理由と言える。パネルの中には、既存のタイルを剥がさずに、その上から貼れるものもあり、リフォームにもってこいの建材とも言える。

パネルの素材は、メラミンやアクリルなどの不燃化粧板、ステンレス、ホーローなどがある。フラットで単調になりがちなパネル材だが、最近では種類が増え、選択の幅は広がりつつある。

一方、タイルの人気も復活の兆しだ。タイルの質感や多様なデザインは、こだわり派にとっては大きな魅力。最近では汚れにくい目地材が登場し、タイル人気を後押ししている。

掃除しやすさを優先するか、デザインなどのこだわりを優先するのかで壁材を選ぶことになる。まずは顧客の希望を引き出すことが大切だ。最適な壁材を提案したい。

フラットで清掃性が抜群のパネル。撥油・撥水効果など表面に特殊コーティングを施したものもある 写真提供/TOTO▽

油汚れも簡単に拭き取れる 写真提供/ TOTO▽

【知っ得豆知識】キッチンは火気使用室

プランニングは法令順守で建築基準法や消防法により、キッチンは火気使用室と見なされるため、法令に基づいた内装材で仕上げる必要がある。万が一の出火の際に延焼を最小限に食い止められるよう、不燃材を使うのだ。使用できる建材には、国土交通省による不燃認定番号がついている。

壁の表面だけでなく、下貼り材も耐火仕様にする必要がある場合も。特に、ステンレスなど熱を伝えやすい材質の場合は、気をつけたい。

また、法令に基づき市町村が制定している条例もあるため、工事の際にはしっかりとした確認作業が必要だ。

【キッチン周りの壁のポイント】

◆熱や火に強く、耐火性がある

◆油汚れに強く、汚れ落ちがよい

◆臭いがつかない

◆水や湿気に強い

◆見た目も気に入ったものにしたい


手入れが楽な「パネル」、自由度が高い「タイル」

・不燃化粧板〈色柄も増え、選択の幅も拡がった〉

パネルの中でも最も施工性に優れている。軽いので作業しやすい。切削が楽にでき、リフォームにも向いている。

UV塗装などの技術向上により、色柄の選択肢も増えた。色調はマット調、鏡面調やパール調など豊富。柄も石目、木目、モザイク調などから選べる。

○フラットで掃除がしやすい

╳単調な印象になりがち


・ホーロー〈マグネットによる専用収納ラックも〉

美しい光沢が特徴で、高級感がある。表面はガラスのため、臭いや汚れが染み込むことがない。傷にも強く、金属タワシでこすっても傷がつかない。ベースが金属なのでマグネットが使えるのも特徴で、専用の収納パーツを用いて壁面を収納スペースにすることができる。

○ 傷や汚れに強く、耐久性が高い

╳ 他のパネルに比べ、高コスト



・ステンレス〈機能性優先、クールなイメージ〉

パネルとしては古くから使われてきた素材。熱に強く、油汚れも落としやすい。ステンレスキッチンと合わせるとプロの厨房のようなキリッとした印象になる。フッ素コートなど特殊なコーティングが施されたものもあり、より清掃性が向上している。

○ 清掃性に優れ、清潔感がある

╳ 無機質な印象になることも



【オリジナルな壁に仕上がる】

キッチンタイルは耐火性、耐水性、耐久性などすべてに優れていて、古くから使われてきた壁材。また、種類も多く、組合せ次第でオリジナルな壁を作ることができるため、根強いファンも多い。タイル自体は汚れに強いが、問題は目地材。最近は、汚れやカビに強い目地材が開発されている。

○ デザインが自由自在

╳ 施工に手間がかかり、コスト高


【プロの視点】 パネルの厚みもしっかり見積もる

キッチンパネルの一般的な厚さは3 ㎜か6 ㎜。製品により厚みが異なるので注意が必要になる。

キッチンの両サイドが壁の場合、クリアランスや建物自体の歪みも含めて、現調時にしっかり採寸しておくことが重要だ。数ミリの違いでキッチンが収まらないという事態になることもあるからだ。

特に、既存のタイルを残したままパネルを貼る場合、キッチンが収まらなければ、急遽、タイルを剥がして施工することになり、コストが余計にかかるだけでなく、時間もかかり、工期に支障が出てしまう。

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