熱貫流率「1」を切る高断熱ドアも登場
断熱性能で遅れをとっていた玄関ドアが、窓ガラスと同レベルまで追いついた
玄関ドアの断熱性能を高めることで、廊下や階段の「冷え」が緩和され、家の中の温度差が少なくなる
冬になると居室やリビングの扉を閉めて暖房の熱を廊下に逃がさないようにするが、玄関廊下・階段は逆に寒くなってしまう。
その上玄関ドアから熱を奪われると更に居室との寒暖差が大きくなる。これでは例えトイレや洗面室に暖房を入れたとしても、廊下に出る時にヒートショックの危険にさらされてしまうだろう。
窓断熱だけでは断熱は不十分だ。
玄関ドアの断熱も含めて断熱計画をたてて、快適な室内環境を整えたい。
【知っ得豆知識】熱貫流率(U値)ってなあに?
熱の伝えやすさを表した値
壁やガラスを通じ、熱エネルギーが高い空間から低い空間へ伝わる現象を熱貫流と呼び、その熱の伝わりやすさを表す数値を熱貫流率と呼びます。
ちなみに熱貫流率(U値)は、単位「W/㎡・K」で表されます。これは内外の温度差が1度あったとき、面積1㎡あたり、1時間にどのくらいの熱が流れるかを表します。この数字が小さいほど、断熱性に優れた建材と言えます。
【断熱ドア選びのポイント】
◆断熱ドアは厚みがあり、重量感もある。気密性も高いため、開け閉めが現状より重たく感じることもある。ショールームで実際に開閉を試してみるとよい。
◆採用に当たっては居住地の省エネルギー基準(住宅の断熱や気密、冷暖房についての基準)を考慮して、地域条件に応じた断熱仕様の商品を選ぶことが基本。
◆開き戸だけではなく、引き戸タイプの商品も充実している。
◆一般扉同様、カバー工法対応品とそうでないものがあるので注意。
【熱貫流率1 を切る高断熱ドア】
高断熱ドアInnoBest D70(002デザイン)
樹脂部材の配置や扉位置を最適化し、躯体と玄関ドアの断熱ラインを揃えることで高い断熱性U 値0.93W/(㎡・K)を実現した。
【熱貫流率1.22と高断熱でありながら、トリプルガラスを採用して、ガラス面積を大きくとっている】
YKK AP
高断熱ドアInnoBest D50(108デザイン)
熱の出入口にな室内側と室外側のガラス2枚にはLow-Eガラスを採用。また、熱伝導率
の低い樹脂スペーサーを使用し、中空層には断熱性能の高いアルゴンガスを封入。
断熱ドア「ディガード」の断面図
【プロの視点】採光面積が少なくなることを考慮して色選びを
断熱ドアはガラス部分が一般ドアに比べて少ない。例えば既存ドアの両サイドにガラスがあったり欄間があった場合は特に玄関の中側が暗く感じてしまう。そういう場合はなるべくガラス部分が大きいドアを選びたい。また内と外とドアの色が同じことを忘れずに。外側だけのイメージで選ぶと採光が少なくなって暗く感じる上にさらに圧迫感を感じてしまうこともある。
ドアの色を室内の建具合わせにするのもひとつの提案だ。玄関ドアの色は窓のサッシに合わせる必要が無いので、実際にショールームに行ってイメージに合う色を選びたい。
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