KURASHIをたのしむVol.24 日頃から災害時を想定し「もしも」に備えることが大事です

至る所で頻繫に発生する災害。整理収納アドバイザーにして、防災備蓄収納マスタープランナー、防災士の熊田明美さんは、「今、大地震などの自然災害が起きたらどのような行動をしたらよいだろうかと考えることが備えの第一歩」と話す。

▲「NiceLife」代表 防災備蓄収納マスタープランナー整理収納アドバイザー、防災士 熊田明美さん

千葉県出身。リフォーム会社に3年ほど勤務したのち、多彩な資格を生かして独立。2017年には「NiceLife」を設立し代表に。個人向けに整理収納サービスや防災アドバイスを行うほかに、認定講座やセミナーの開催、講演活動、メディア出演・掲載など幅広く活躍中。



東日本大震災がきっかけ

熊田明美さんが防災を意識するようになったのは、東日本大震災だ。自宅周辺が液状化し、親戚の家も地盤沈下で傾き、叔母は一時耳が聞こえなくなった。災害が発生すると、建物だけでなく、身体や心にも大きな影響があると身に染みた。

被災後、本気で防災を学び始めた熊田さんは、整理収納アドバイザー、防災備蓄収納マスタープランナー、防災士をはじめ、食に関する資格など15以上を取得した。多角的な知識をもとに、防災や整理収納の講座、セミナーの開催を中心に活動し、整理収納と防災備蓄による快適で安心な暮らしを提案している。

「収納自体の安全性、大型家具家電の転倒・落下防止は基本です。防災を意識し、家にある不必要なものは減らして命を守り、命をつなぐ防災備蓄をすることが大切だと考えています」と熊田さんは話す。



防災は日常生活の延長線上にある

では大地震を想定して日々快適に暮らすには、どう対策したらよいのだろうか。

危険度が高いキッチンは、特に注意が必要だ。冷蔵庫や食器棚は転倒防止器具を取り付けて、電子レンジやオーブンも耐震ジェルマットで飛ばないように固定する。熊田さんは、「調理台の上に包丁が出ていると飛んでくる可能性もあり、危険なものは出しっ放しにしないように」という。

家族が長い時間を過ごすリビングは、避難経路に物を置かないようにする。飾り棚などには割れる小物を置かない、または素材を見直し割れない素材に変更。小物の下には、滑り止めマットや耐震ジェルマットを敷く。

寝ている間は無防備だから、寝室に背の高い家具はなるべく置かない方がいい。夜中の停電に備え懐中電灯を枕元に、非常用持ち出し袋や靴はベッドの近くに用意する。

熊田さんは普段から災害時も使える防災グッズの使用をすすめる。

「人感センサーライトやソーラー充電器、ドアノブや出口に貼る蓄光シールは日常でも使えますし、もしもの際にも役立ちます。防災は日常生活の延長線上にあると考え、日頃から防災にも利用できるものを使うことが大切です」



非常時も快適に過ごせる工夫を

自宅のマンションは築11年が経ち、あちこちリフォームした。熊田さんは非常時にも心地よく過ごせるように、普段の生活にも気を配っている。

例えば全ての窓にLIXILの内窓「インプラス」を設置。結露の発生を抑え、寒い時期に停電しても室温が下がりにくい。トイレにアイカ工業の抗菌パネルで腰壁風に仕上げると、掃除も楽で、菌の心配も減った。キッチンの食器棚は天井まで隙間のないサイズを選択し、ぴったり収まる。冷蔵庫まわりの壁には、アイカ工業のキッチンパネルを貼った。防火や壁の汚れ防止のためで、粘着式の転倒防止グッズの固定力も上がった。

「コンセントが足りなくて、納戸などにコンセントを増設。簡単な工事で費用もあまりかかりません。延長コードでつまずく心配もなくおすすめです」と熊田さん。リビングは壁の梁に合わせて壁面収納を据え付けた。普段使いの茶碗は割れにくい「コレール」、インテリアには割れない花瓶、手ぬぐいタぺストリーなど破損の危険がない素材を選びつつ楽しんでいる。

「災害時を想定し、平時と同じような生活を送るためにはどうしたらいいかを考え、日々備えていくことが大事です」と熊田さんはアドバイスする。



熊田さんの災害時を想定した暮らし

▲リビングの壁面収納。テレビは、吸盤の付いたタイプを購入して転倒を防止し、棚はすべての段に滑り止めシートを敷く。左の棚にある青い鳥の絵は災害時にはトイレになる

▲手ぬぐいタぺストリーをインテリアに。手ぬぐいは災害時に包帯として使える

▲キッチン。食器棚は既製品だが、上置き棚は1cm単位のオーダーが可能で天井にぴったり収まる。電子レンジ、トースターの下には耐震ジェルマットを敷く

▲冷蔵庫は粘着式の転倒防止グッズで固定。アイカ工業のキッチンパネルを壁の横と奥に貼っている

▲玄関収納の一部を防災備蓄庫に。取っ手の部分には人感センサーライトをかけ、収納下のキャスター付きのケースにも水を備蓄



リフォマガ2023年1月号掲載



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